本願寺・東寺を巡る
久しぶりとなりました。京都遊覧記第14回。本日は、本願寺、そして東寺を訪れた話がメインになります。
五条大橋から東寺までを歩きました。
1.個性あふれる地
五条大橋から本願寺を目指して、西へと進む。最初に訪れた市比賣(いちひめ)神社は、途中に位置していた。
ビルの中に組み込まれているのだろうか?なかなか興味深い立地だ。市比賣神社は、女性の守り神として代々信仰されてきた神社である。
名水、天之真名井(あめのまない)。歴代天皇の産湯として使われたという逸話も残る。上にあるダルマがかわいらしい。
何かわかるだろうか。これは、カード塚と呼ばれているそうだ。使わなくなったカード類をここで供養することができる。なんだか現代的な空間だな、と感じる。
続いて訪れたのは、文子(あやこ)天満宮。
菅原道真の乳母・文子が夢のお告げから、道真を祀ったことが始まりとされる。この逸話から、北野天満宮の前身となったという逸話も残る。
文子像。お告げを受けたものの、祠を建てるほど裕福でなかった文子は、自宅に祠を建てたと伝わる。全国各地にある天満宮発祥の地、なかなか由緒のある神社だ。
2.東本願寺
文子天満宮から南に下ると、大きな敷地が見えてくる。東本願寺の飛地境内、渉成園だ。詩仙堂を手がけた石川丈山が作庭を手がけたことでも知られる。
入場料(500円)を支払うと、大きめのパンフレットをもらった。
背後にはビルが立ち並ぶ。大都会の中のオアシスのような場所であろうか。
ベストタイミングで、太陽の光が注いでいる。
綺麗な庭園。作られた当時は、後ろにビルが控えていることはなかったであろう。後ろに広がるのは、まっさらな空。どこか都会を感じてしまう景色に、少し残念な気持ちになってしまうのは、私だけではないだろう。
訪れた時は、一部で土砂の取り払いを行っていた。現在は、取り払いが終わっているらしい(そもそも、記事を書いている時期が遅すぎるのだ)。
奇妙な構造をしている。傍花閣と呼ばれる門らしい。実際に中に入って、どんな構造をしているか調べてみたい。
ここもよさげな雰囲気。お茶でもしたくなる。飛地境内としてこんなに広い庭園を持っている東本願寺は、どんな寺院なのか。ますます興味がわいた。
渉成園を後にして、まっすぐ東へと進む。
東本願寺。京都駅周辺はビルが立ち並んでいるが、その中でも存在感を発揮している。
広い!迫力ある御影堂だ。建築面積は東大寺大仏殿を上回るそうだ。見るからに大きな建築物にしばらくの間、圧倒されてしまった。
阿弥陀堂。柱1本1本に迫力がある。
寝転んでしまうほど、気持ちのいい空間。そういえば、こんなことを思い出しました。
子供のためにと出かけた旅であっても、
この町からは、親もたくさんのヒントをもらうことができます。
自分さえよければいいなんてわけがない、とか、
諦めないことはかっこいいぞ、とか。
今年の夏休みに聞く親の言葉は、
きっと子供を強くする。
だって、この町の過去は、君たちの未来のためにあるのだよ。
ーーー「そうだ 京都、行こう。」2011 夏・本願寺界隈
本願寺を取り扱ったCMを引用しました。私はこのCMが大好きで、本願寺の印象とうまく合っているな、と感じています。本願寺と「照り返すような夏の暑さ」のコラボレーション。暑い夏、本願寺のお堂で寝転ぶ。物語が始まりそうで、わくわくしてしまいます。
3.西本願寺
東本願寺を後にして、そのまま西へと向かい、西本願寺へと辿り着いた。
迫力ある阿弥陀堂。
寝転びたくなる広い空間。本願寺はやっぱり広い。そもそも東本願寺と西本願寺は何が違うのか。休んでいると、ふとそんな疑問が頭をよぎった。
織田信長と争った石山戦争が示すように、本願寺は非常に強い勢力を持っていた。信長は本願寺を攻略するため、一部の勢力に懐柔政策を仕掛けた。その結果、和睦派と徹底抗戦派に僧兵が分かれてしまったのだ。信長と本願寺は和解を成立されるものの、本願寺で和睦派と徹底抗戦派との間に軋轢が生まれた。そして、それぞれ別の寺院を建立することとなった、という次第なのだ。かといって、現在でも仲が悪いわけではなく、現在は同じ浄土真宗の門徒として、務めに励んでいる。
東と西に分かれている本願寺から、日本史を知ることができた。やっぱり京都には考える種がたくさん眠っている。
4.東寺
上洛する時に必ずと言っていいほど、目にする東寺。しかし、意外と行ったことがない。今回は、東寺を改めて訪れてみた。
東寺塔頭・観智院。
光が差し込んだ手水鉢。なんだか落ち着く。
「長者の庭」と呼ばれている。落ち着いた雰囲気でなかなかいい。
観智院には、宮本武蔵が描いた「鷲の図」が所蔵されていた。剣豪の迫力あふれる筆致を見ることができるので、ぜひ訪れてほしい。
東寺金堂。金堂や講堂に所蔵されている仏像は、どれも美しかった。京都で様々な仏像を見ることができるのは、三十三間堂と東寺をおいて他にない。
五重塔。やはり東寺に来たからには、これを見ずには帰れない。
それでは。