一乗寺・修学院を訪ねる
一乗寺といえば、何を思い浮かべるだろうか。やはり、ラーメン街であろうか。詩仙堂や圓光寺といった紅葉の名所もある。修学院といえば、何を思い浮かべるだろうか。やはり、修学院離宮であろうか。今回は、王道を外した旅をしてみることにする。京都遊覧記第15回。
金福寺、狸谷山不動院。曼殊院、赤山禅院を今回は紹介する。
1.俳人と狸
まずは、一乗寺エリアから散策した。詩仙堂や圓光寺といった観光地は、常に客足が絶えないが、他にはどんな寺社仏閣があるのだろう。そんな考えから、今回訪れた一乗寺。まずは、詩仙堂の南に位置する金福寺を訪れた。
どんな景色が広がっているのだろう。
新緑の中に飛び込んでみる。
金福寺は大河ドラマ第1作『花の生涯』のヒロイン・村山たかが出家した地と伝わっている。村山たかは『花の生涯』の主人公・井伊直弼と恋愛関係にあったため、様々な苦労に見舞われた。桜田門外の変の後、出家するために訪れた金福寺。彼女はこの地で、何を思っていたのだろうか。
芭蕉庵。松尾芭蕉が京都で滞在していたとされる庵を、芭蕉を敬愛する与謝蕪村が再興したものだ。庵を手がけた与謝蕪村の墓も境内に位置する。
京都の西側が見渡せる。知られていない京都の穴場だ。
金福寺から詩仙堂の方角へと進む。詩仙堂からさらに奥へと進んでみる。
アップダウンの激しい坂道を15分ほど歩くと、狸谷山不動院へとたどり着く。たくさんのタヌキ。どうやら自然に集められたものらしい。不思議なこともあるものだ。
「不動さん」として親しまれている地。ガン封じのご利益を求めて、登る人も多い。
250段の石段を登り切れば、絶景が待っている。
迫力ある舞台。舞台は清水寺だけではなかった。
光が絶妙に差し込んでくる具合もいい。
森林に切り取られた京都の街並みを味わうことができる。本尊・不動明王の迫力が凄かったので、ぜひ見てほしい。
2.台所と猿
続いて、修学院エリアを散策する。紅葉の名所・圓光寺を通り過ぎて、辿り着いたのは曼殊院である。
比叡山に建立されたお堂が起源となった曼殊院は、皇室に縁のある門跡寺院であるため、様々な寺宝が所蔵されている、また、台所としての役割を持つ庫裏(くり)も見応えがある。当時、使われていた台所を見ることはなかなかできないので、とても興味深かった。さらに、「黄不動」の通称で知られる不動明王像が所蔵されていた。迫力ある黄不動を、実際に目の当たりにしてほしい。
小さな桂離宮と称される庭。限られた敷地を最大限に生かした空間美に酔いしれてしまう。どこか広いと感じてしまう庭園の奥行きを感じた。
曼殊院からさらに北へ進むと、修学院離宮が位置している。さらに北へ進むと、旅の最後の目的地・赤山禅院に到着する。京都御所の北東・鬼門には延暦寺があるため、都の秩序は守られているという話を一度は聞いたことがあるかもしれない。実は、方除けの役割を担っているのは、延暦寺だけではないのだ。
何か違和感を感じないだろうか?
檻に閉じ込められた猿がいる!鬼門である北東の反対側である南西には、干支で考えると申(猿)がいる。そのため、猿が方除けの神として鎮座しているそうだ。ちなみに、なぜ檻の中にいるのかというと、夜中にしばしば悪さをするかららしい。あらあら。
話は逸れるが、方除けの考え方は、ある有名な昔話にも登場する。おなじみの「桃太郎」にも、鬼門ならぬ鬼が登場する。鬼門(北東)の反対側(南西)には、申、酉、戌がいる。桃太郎の仲間と一致することに気づいただろうか。昔話の背景に十二支が絡んでいるという事実に、昔話の奥深さといったものを感じる。
もうすぐ秋?いや、記事を書いている今は、桜が散りかけている季節であった。
それでは。
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