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脱力の火ぶつ
真夜中
畦道(あぜみち)を歩いていた
飲み過ぎた
足元がおぼつかない
こりずに何度も深酒をしている自分に可笑しさを感じながら、のんびり歩いていた
どこからか地面を勢いよく蹴る音や、素早く払う音、力強く踏みしめる音が聞こえる
音の方へ目をやると、住宅街の中に不自然に存在する丘からその音は聞こえていた
うっすら明るい
火を灯している
こっちは酔っ払っていて、気が大きくなっている
この異様な状況を探索しよう
丘の中へ足を踏み入れる
すぐに辿り着けると思ったが、謎めいた音までは意外に距離があった
というよりも完全な獣道で息が切れた
あと少しで、音の正体が分かる
勢いよく身を乗り出そうとした瞬間
『好奇心は猫をも殺す』ということわざが頭をよぎった
一度息を整えて、そぅっと頭だけひょっこりと持ち上げてみた
ん?
理解するのに時間がかかった
人の腰の高さまでの焚き火の周りを誰かが
舞っている
息を呑んだ
今まで見たことのない動きだった
一言でも声をあげたらこの空間の結界が壊れる
そう直感で感じ取った
さっきまで気を大きくして、意気揚々と音の正体を暴こうとしていた自分がみるみるうちにちっぽけな存在になるのがわかった
何なんだこの状況は、、、
これが火(ヒ)を止(ト)める=ヒトの姿なのか
あれが審神者(さにわ)なのか??
あの時たしかに
脱力の火ぶつをみていた