【薬の副作用】悪性症候群 ②
①はこちらです。
薬を処方された時にもらえる説明書には書かれていない事柄が多くあります。詳しく知りたい時はネットで薬品名を検索して調べた方が多くの情報を得ることができます。
副作用のような症状がある方は、もらっている薬のことをネットで調べてみてください。飲んでいる薬にどのような副作用があるかが詳細に出てきます。
もし、あてはまる副作用があったらすぐに医師に相談してください。減薬か副作用を抑える薬が処方されると思います。
減薬はとても時間がかかります。自己判断で一気に薬をやめてしまうと危険ですから、必ず医師の指示に従ってください。
今回は娘にどのような副作用が出ていたかを書いていきます。
【のどの渇き・水分の過剰摂取・尿量の増加】
入院している間 冷蔵庫にあるお茶や水がなかなか減らなくなったことで、娘が一人で異常なほど水分を摂っていたことがわかりました。
娘は過活動膀胱で元々トイレに行く回数が多いため、尿量が増加していることには誰も気が付きませんでした。
薬を中止してからはあまりのどが渇かなくなったらしく、過剰な水分摂取はしなくなりました。
【眼球上転】
眼球が勝手に上にあがってしまい、数秒間から数十分ほど白目になってしまう症状です(個人差あり)
主治医に相談したところ「抗精神病薬(リスパダール)が増えたため」と説明されました。
強迫や不安が強くなりすぎて増薬したばかりだったので、この時は眼球上転を抑えるための薬が新たに処方されました。
眼球上転は、薬局でもらえる薬の説明書にはない副作用です。この症状が出るようになってから娘のメンタル面は一気に悪くなったように思います。
【唾液過多/嚥下困難/口が勝手に開く】
食事の時だけでなく普通に過ごしている時にもよく咳込むようになりました。うまく表現できませんが「唾液で溺れてしまう感じ」です。
嚥下困難で薬や食事をうまく飲み込むことがスムーズにできなくなることが増え、次第に体重が減少していきました。
勝手に口が開いてしまう症状は入院中に出現しました。唾液量が増えているのでどうしても口からよだれがこぼれおちてしまいます。
よだれで不潔恐怖が悪化してしまい、手洗いを止めることができなくなりました。病院では強迫が悪化すると頓服が出ていたそうです。
【脂漏性顔貌】
これは薬の説明書ではなく、悪性症候群の症例の中にありました。
すべての人に出るわけではなさそうですが念のため記載します。
ニキビよりもつぶが大きくて真っ赤な吹き出物が大量に顔面に現れます。吹き出物の中心には脂肪と思われる白いかたまりが浮いているためかなり不潔な様相になってしまいます。
娘の場合は鼻のまわりに多く発生しました。洗顔もしっかりしているのですが、悪性症候群の症状が落ち着くまでほぼ消えることはありませんでした。
元からあったニキビが炎症を起こしていたのかもしれませんが、見た目は普段のニキビとはあきらかに違います。
【アカシジア(静座不能症)/振戦】
アカシジア(静座不能症)と振戦という副作用も入院中に出現しました。
アカシジアとは、じっとしていることができず「常に動いていたい」という欲求がどんどん強くなります。常に手足がムズムズしていてものすごく気持ち悪く、夜も不快な状態が続くので眠ることができないし睡眠薬も効きません。
振戦は身体の一部小刻みに震えるパーキンソン病のような症状です。
娘は主に手と足に症状が出ました。
アカシジアになるとあまりに苦しさに衝動的に自分を傷つけたり、 自殺したいとさえ感じ危険な行為に及ぶことがあるそうです。
この症状が出始めてから、娘の表情は乏しくなり口数も減りあまり動けなくなりました。アカシジアをまぎらわそうと動いてもすぐに疲れて横になってしまうため、家族が交代でマッサージをするなどしていました。
【突然の高熱/発汗過多】
突然 高熱(38度~40度)が出ます。悪性症候群の発熱は経口や経腸の解熱剤は効果がありません。
風邪の時とはちょっと違う汗のかきかたをしていたのがすごく気になりました。うまく説明できませんがじわっとした汗というよりも とめどなく流れ出る汗という感じ。タオルでふいてもどんどん湧き出てきます。
大量に吹き出る汗と嚥下困難で水分補給がうまくできなかったからか、救急搬送された時に脱水症状を起こしていると言われました。
【筋肉の硬直】
筋肉が硬直して自力歩行ができなくなります。人によっては硬直している部分に痛みを伴うことがあります。
前日までは自力でトイレなどにも行けていたのですが、手足が硬直してしまったため起き上がることもできなくなってしまいました。
アカシジアで身体を動かさないとつらいのに手足は硬直して動かせない状態。そこに痛みまで重なったため、あまりの苦しさに死にたくなったと娘は言っていました。
ここまでが娘に出ていた薬の副作用(悪性症候群)の症状です。
娘が悪性症候群と診断される決め手となった症状は「高熱」「筋肉の硬直」「CK値の上昇」でした。
CK値は驚くほど短期間で上昇していました。それはまた次の記事で詳しく書いていきます。
早期発見とは言われたけれど
娘が精神科病院を退院してから悪性症候群と診断されるまでの期間は一週間。
娘が助かったのは、硬直が始まってから比較的早く救急車を呼んだのと点滴の処置が早急に行われたからだそうです。
早期発見とは言われましたが、眼球上転という説明書に書かれていない副作用が出た段階で減薬をしていればここまで娘が苦しむことはなかったはずです。
もっときちんと薬のことを調べればよかったと反省しています。
悪性症候群になることはほとんどない(がゼロではない)
現在は副作用が出にくい薬が開発されているため悪性症候群になることはほとんどないようです。
娘の場合は、抗精神薬だけが原因で悪性症候群になったわけではなく、持病の治療のため強力な薬を服用していること、栄養不足・睡眠不足・脱水症状など様々な要因が重なって発症してしまったのだと思います。
ただ、悪性症候群以外にも似たような重篤な副作用はたくさんあります。はじめにも書きましたが、薬を飲んでいてなにか気になる症状がある方は一度ネットで薬の副作用を調べてみてください。
あてはまる症状があったら必ず医師に相談してください。自己判断で薬の量をかえることは大変危険です。
次回は悪性症候群の治療・治療後の話を書きます。
ここまでお読みいただきありがとうございました。