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【現代アート】反英雄を記念するニューヨークの巨大鳩
作家情報
イバン・アルゴーテ / Ivan Argote
1983年、コロンビア生まれ 。フランス・パリ在住コロンビア出身。彫刻、映像、インスタレーションなど多岐にわたる作品を手掛けている。彼の作品は、社会的、政治的なテーマを扱い、都市空間や公共の場における人々の関係性を探求することが多い。
作品紹介
〈Dinosaur / 恐竜〉2024年
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導入
ニューヨーク市マンハッタンのでのHigh Line台座プロジェクト4回目(高架線路を再利用して作られた線形公園)のコミッションワークで制作された作品。約五年間、このプロジェクトに取り組んでいた。
「恐竜という名前は、彫刻のスケールと、今日の私たち人間がそうであるように、何百万年も前に地球を支配していた鳩の祖先を指しています」
形状
歩行者や車が通る道路の上に展示されている。モチーフである鳩を超写実的に拡大している。いつも見慣れた鳩が、鑑賞者を見下ろす構図は特殊な体験であるだろう。また、道路から見上げると、突然巨大な鳩が出現する。
素材
アルミニウム
ニューヨークで象徴的な鳩
制作方法
鋳造により造形している。また、自動車用塗装と特殊コーティングを手作業で施している。
※搬入・スタジオ制作などについての映像 約6分
効果・意図
街にいる特別ではない見慣れた生物に敬意を示すできるだけ大きなモニュメントをつくれば面白いのではないかと考えた。
モチーフとなった鳩は、おそらく1800年代にヨーロッパを経由して米国に初めて到着した。彼ら鑑賞用の鳥として飼われ、また、第一次世界大戦と第二次世界大戦では、軍間のメッセージを伝える役割として活躍した。しかし、テクノロジーの進歩により役割を終えた。この鳩の起源を作品によって強調することで、鑑賞者に、誰もがある程度移民であることを思い出させる。
反体制・反英雄の記念碑 ― 都市景観の中でその匿名性を祝いながら、名誉ある人物でも偉大でもない偉人に敬意を表して建てられた古典的なモニュメントに対して、本作は、野生でも、飼いならされてもいない鳩のほうが、社会への貢献を称えるに値する可能性が高いとユーモラスに示唆している。
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関連作品
引用まとめ
Ivan Argote ウェブページ 2025/2/19現在
High Line ウェブページ 2025/2/19現在