優しさについて

半年に一回、歯のクリーニングに行っている。
家族でお世話になっているところだ。
担当の女性が明るく可愛く仕事ができる。
無理矢理に口を開けさせることがない。
強引に引っ張ることもしない。
細かく気遣いながら、素早く確かに進めてくれる。

あぁ、とても丁寧に私を扱ってくださる。

と、感動しながらクリーニングは続く。
ふと、小さい頃のことを思い出していた。
兄と二人兄妹だったが、それぞれに部屋が与えられたとき。
私は当たり前のように角の洋室を自分のものとした。
隣の畳の部屋が兄のものとなった。

当たり前だと思っていたけれど、もしも今。
我が子たちにあの部屋を与えようと思ったら
きっと洋室の取り合いになる。

兄は本当にこだわりなく和室にしたのかもしれないし、畳の方が好きだったかもしれない。
でも、やはり私への優しさがなかったとは言いきれない。

歯をクリーニングされながら、数十年前の兄の優しさに触れて、泣きたくなった。

誰かに大切にされること。
丁寧に扱ってもらうこと。
これがきっと、優しさだ。

優しさに触れたとき。
人は心が揺れて気持ちがゆるんだり
嬉しくて泣きそうになったり
ふっと無防備になるのかもしれない。

優しくなりたい。
小さい頃からずっと思っていた。
ということは、私は優しくない。

でも、優しさが何かを大切に扱うことならば。
具体的に動いた先に、優しさが身につくかもしれない。

お手本となる人たちを思い浮かべながら
優しい人を目指す。

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