マネージャー日記 その6
背番号「10」が意味すること
明日は大好きな先輩方の引退試合、最後の部活です。
どんな時も前向きで努力を惜しまない、先輩方のプレーに魅了されて入部を決意した私にとって、大好きな先輩方の引退試合はどれだけ頑張っても直視できません。
思うようなプレーができず、自分自身に苛立つ姿。
リーグ戦期の大切な時期に大けがをし、ベンチでただひたすらに応援することしかできなかった姿。
マウンドに立って守り切りたいのに、エースの座を譲った姿。
引退まで一度もスタメンになれなかった姿。
先輩方の苦しくて真っ暗な表情に何度も立ち会ってきました。
マネージャーの私は何かができるわけではなく、ただひたすらに見守ることしかできませんでしたが、そんな先輩方の姿を見てきたからこそ、引退試合は最後までずっと笑顔でいてほしいなと心の底から思います。
今日は先輩方にとって最後の練習日。
普段通りマネージャー業に徹しようと思いましたが、やはり折に触れるたびに心が落ち着かない私がいて驚きました。
きっと先輩方は私の何倍も落ち着かなかったんだろうなと思います笑
大学野球は学生として野球に携われる最後の機会です。
もしかしたら、これが人生最後の野球になるかもしれない。
最後のノックで一球一球を丁寧に追い、砂まみれになっている先輩たちの顔は本当に清々しかったです。
「最後だということを考えないようにしてる。俺は普段通り練習する。」と部活1ストイックな副キャプテンは言っていましたが、練習終了後、しっかりと3塁側のベンチで円になって思い出を語り合っている先輩方の姿を見て、本当に素敵なチームなんだなと思いました。
変な人ばかりでデコボコな先輩方ですが、なぜか気づいたときには一つになっていて、無邪気に笑いあっている。
どんなに辛いときでも励ましあって互いに切磋琢磨しあっている。
大学生になった今でも目標をもち続けて全力でプレーする先輩方の姿は、どんなに優秀なプロ野球選手よりも輝いて見えます。
明日の引退試合、先輩方にとって純粋に野球を楽しめる日になりますように。
背番号「10」が意味すること
野球において、唯一背番号「10」を背負えるのは、キャプテンです。
先輩方の代のキャプテンは、走攻守全て完璧にそろった野球の申し子のような存在です。
先輩が守るショートは鉄壁。
1年生のときからスタメンで今では4番バッターです。
私は先輩のプレーが本当に大好きで、人生で出会った選手の中で最もかっこいいと思っています。
しかしながら、先輩は野球だけではなく、人間としても本当にかっこいい。
常に視野が広くて周りへの気遣いを忘れません。
チームメイトの調子が上がらない時、
自分自身もプレーや采配など気を遣うことは山ほどあるのに、真っ先に声をかけに行きます。
新入生がチームに馴染めていない時、
1番最初に話しかけに行くのはいつもキャプテンでした。
先輩がかけてくれる「大丈夫だから」の一言のおかげで、何人の心があったまったことか…。
常に先頭を切り、果敢にチャレンジし続け、誰よりもチームのことを考えているキャプテンが発する「大丈夫」だからこそ、本当に「大丈夫」って思えるのです。
困ったときにはいつでも手を差し伸べてくれて、
楽しいときは一緒に笑ってくれて、
辛いときには「頑張ってること知ってるから」と声をかけてくれて、
「先輩が引退しちゃうの寂しいんです」って伝えたときには「最後楽しもうね」って言ってくれて…
大好きでたまらないキャプテンが引退してしまうのが、こんなにも寂しいんだなんて思っていなくて自分自身もびっくりしています。
私の大好きな先輩のプレー、しっかりと目に焼き付けなきゃなと思います笑
最後に、
キャプテンに「明日の試合楽しみにしています!」と伝えたら、
「頑張るね」じゃなくて「頑張ろうね」と言ってくれた。
先輩の人柄と野球への想いはこの一言に詰まっているなと思っています。
マネージャーは見守ることしかできませんが、キャプテンの一番のファンとして純粋に野球を楽しむ一日にしたいと思います。
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