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【ナビタイムジャパン様登壇】インバウンド人流データ活用の最前線!観光地域づくりに向けた分析事例セミナーレポート(24/10/02開催)



はじめに

こんにちは!GEOTRAインターン生の筒井です。
今回は、10月2日に開催したナビタイムジャパン様×GEOTRAのWebセミナーの概要をご紹介します。
 
本セミナーでは、観光地域づくりにおけるインバウンド人流データ活用の分析事例について議論しました。
ナビタイムジャパン様にご登壇いただき、ナビタイムのビックデータを活用した最新インバウンド動向や、観光分野でのデータ利活用に関するポイント、また今後の展望について考察しました。

アーカイブ動画はこちらから!

第1部「ナビタイムのビッグデータを活用した最新インバウンド動向」
株式会社ナビタイムジャパン 永森様

人流データから見るインバウンドの最新トレンド

2024年8月の訪日外客数は293万人で、2019年を上回る人数で推移しています。2024年4~6月の訪日外国人旅行消費額は2兆1,370億円(2019年比68.6%増)と、インバウンドマーケティングの重要性はさらに増しています。

図1:インバウンドのトレンド
出典:ナビタイムジャパン様資料より引用 

2024年春における、訪日外国人滞在数増加率ランキングTOP10は以下となっており、1位は神奈川県の南足柄市となっています。

図2:2024年3月~5月に滞在が伸びた場所(2023年3月~5月比)
出典:ナビタイムジャパン様資料より引用 

ナビタイムジャパンのご紹介とデータを活用したインバウンド取り組みについて 

ナビタイムジャパンは、「経路探索エンジンの技術で世界の産業に奉仕する」という経営理念のもと、世界初のナビゲーション技術「トータルナビ®」をコア技術として、「移動」を軸に公共交通から地図、観光など利用シーンに合わせた様々なサービスを展開しています。

図3:「移動」を軸としたさまざまなサービス展開
出典:ナビタイムジャパン様資料より引用 

移動データ事業部、MaaS/移動データ事業では、MaaSに関する企業連携などを行い、移動ビッグデータを活用し、道路交通分析や移動需要予測など、交通の最適化やまちづくりなどのコンサルティングを行っています。 
また、訪日外国人向けのアプリ、webサイト、リーフレットなどを用い、旅行前の準備や旅行中の移動や現地体験、旅行後の体験共有などといった、旅マエ、旅ナカ、旅アトまで一気通貫でサポートを行っています。

今回ご紹介するインバウンドデータは、訪日外国人向けのアプリの利用者から許諾を得た、日本国内でとれるGPSデータとなります。
データは、2分間隔で取得しているので移動経路、また国籍などの属性情報も含めた詳細なデータが取得できます。

図4:訪日外国人向けサービスの種類
出典:ナビタイムジャパン様資料より引用 

データの活用事例

観光領域におけるデータの活用事例をご紹介します。 

インバウンド観光客が見つけた”日本人が知らないとっておきの観光資産”として、山梨県の新倉富士浅間神社が挙げられます。
データ分析によって、河口湖から外れた下吉田駅周辺に旅行者が集中しており、インバウンド観光客が、日本人が知らない場所を訪れていたことが明らかになりました。

図5:インバウンドならではの観光スポットの発見
出典:ナビタイムジャパン様資料より引用 

また、国籍による旅行行動の違いがあることがデータ分析によって明らかとなっています。
上高地及び周辺の山岳景勝地(長野県松本市)では、大正池や河童橋はアジア人旅行者、周囲の焼岳や穂高連峰には欧米人旅行者の滞在が見られます。

図6:国籍による旅行行動の違い
出典:ナビタイムジャパン様資料より引用 

ナビタイムジャパンは、主に、4つの観点で分析したデータを提供しています。また、データを提供するだけではなく、インバウンドGPSデータのほか、地域に関するデータの蓄積・分析できる環境を整備する、データマネジメントプラットフォームの構築のご支援も行っています。

図7:データの分析メニュー
出典:ナビタイムジャパン様資料より引用

鉄道利用者の移動動態

交通分析の一例として、鉄道利用者の移動動態を分析した事例をご紹介します。

訪日外国人観光客の鉄道利用パターンを、国籍別に分析し、どの路線の利用が多いかをカラー別で地図に示しました。(赤色…利用者が多い路線) 
図8にある上の地図が台湾、下の地図が米国となっています。
米国の観光客は、東海道新幹線沿線の利用が多く、台湾の観光客は軽井沢や関西圏近郊への移動が多いことが明らかになりました。
データを活用することで、「どこから来て、どこを通って、どこへ行くのか」という人の移動に関する詳細な分析が可能になります。 

図8:鉄道利用者の移動動態
出典:ナビタイムジャパン様資料より引用

まとめ 

コロナ禍で人々の観光スタイルが大きく変わってきたことで、データを使って根拠を示しながら判断し、施策を立てていくことが重要です。
データをどう使うのかを考える際に、まず、何がしたいのか、課題を明確にすることが、有効なデータ活用につながります。

図9:今後の展望
出典:ナビタイムジャパン様資料より引用 

第2部「人流データ×モデリング技術を用いた観光分析・交通シミュレーションの最新事例」
株式会社GEOTRA 樋田 

「GEOTRAのテクノロジー」

KDDI Location Dataやその他公的データに、複数のデータ加工・プライバシー保護技術を掛け合わせ、都市の人の動きに関するデジタルツインを構築しています。
GEOTRA Activity Dataは、ひとりひとりの移動がわかる「非集計トリップデータ」です。再現した仮想人流データを用いることで、シミュレーション予測が可能となっています。
企業内に蓄積した多様なデータに、数理モデリングを組み合わせる事で、事業価値向上及び業務効率化を実現することができます。 

図10:GEOTRAのテクノロジーについて
出典:当社資料より引用 

観光を取り巻く状況と観光DX・データ活用事例

2030年政府目標に向けて、観光DXが重要になっています。
訪日外国人旅行者数、旅行者による消費額共に、2030年の政府目標とは依然として大きな開きがあり、政府目標を達成するためには、高付加価値化や泊数増加など、新たな観光施策の立案が必要です。 

当社は、観光データ分析にあたって、①人流データ分析、②レポーティング、③次期施策の算定という流れで、初期段階の分析基盤の作成から具体的なアクションプランの策定まで伴走支援しています。

図11:観光データ分析活用の流れ
出典:当社資料より引用

インバウンド分析事例

<観光振興施策:富田林市様>
富田林市は、寺内町を始めとした歴史ある街並みが残る観光都市であり、観光客を中心とした人流を把握することで、観光資源を最大限に活用した来訪者誘因施策を立案したいという狙いがありました。そこで、大阪府富田林市における観光活性化を目的に、人流データを活用した移動動態分析を実施しました。

■富田林市の取り組みはブログでも紹介しています。詳細はこちら

<訪日観光客の消費動態調査:泉州エリア>
泉州13市町(9市4町)における外国人旅行者の決済データ(三井住友カードと連携)をもとに、同エリアの外国人旅行者総数および旅行消費総額を算定・レポートの作成を行いました。
データを活用することで、既存の観光施策の効果を検証し、今後の観光戦略を検討する際の試金石にしていただきました。

図12:観光分析 分析事例(※グラフはイメージです)
出典:当社資料より引用

人流データと機械学習による交通シミュレーション事例

GEOTRAは人流データや決済データ等の多様な位置情報ビッグデータと機械学習モデルを掛け合わせることで、お客様の業務効率化や事業価値向上、また意思決定の高度化に資するシミュレーション・予測モデルの開発を行います。まちづくりから防災まで、機械学習を用いた幅広いシミュレーションに対応可能です。

図13:シミュレーションのユースケース
出典:当社資料より引用

<交通渋滞対策:鳥取県様>
鳥取砂丘周辺の交通渋滞緩和に向け、鳥取県全体の交通流を再現しました。
その再現データを実測データ(トラフィックカウンターデータ)と比較することにより、データの精度検証と改善を行いました。
交通渋滞時の現状把握や道路通行止め時の周辺道路への影響の把握、道路整備効果の可視化により、渋滞緩和に向けた施策検討が可能になります。

図14・15:事例①交通- 観光地の渋滞対策・交通マネジメントにおける活用
出典:当社資料より引用

まとめ

当社ではナビタイムジャパン様との連携も行っており、お客様のご要望に応じて、ナビタイムジャパン様のカスタマイズ性の高いデータを用いつつ、当社の技術を応用しながら、新しいユースケースや分析事例をご提供しております。

図16:データを掛け合わせた社会課題の解決
出典:当社資料より引用

ご興味を持たれた方は、ナビタイムジャパン様や当社GEOTRAにご連絡ください。

詳細については、ぜひ本セミナーのアーカイブ動画をご覧ください!

最後に

ここまでご覧いただきありがとうございました。
 本セミナーでは、ナビタイムジャパン様にご登壇いただき、ナビタイムのビックデータを活用した最新インバウンド動向をご説明頂くとともに、観光分野でのデータ利活用に関するポイントや今後の展望についてご紹介しました。
 
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GEOTRAでは、独自の個人情報保護技術により、人々の動きや行動目的などが高粒度に可視化された人流データ、GEOTRA Activity Dataをご提供しています。更に人流データのご提供に留まらず位置情報データ全般に関する利活用促進のためのご支援を行っております。

また、GEOTRAは、まちづくり領域の計画・調査・データ分析に関わる方の成功を支援するための会員制コミュニティ「INCITY」を開始しました。

INCITY Membership にご登録いただいた方には、今回の勉強会のような人流データ活用に関するイベントや、会員限定のコンテンツが見られるMembership Siteにご招待します。

分析事例などのコンテンツを共有し、まちづくりの領域での新たなデータ分析・ユースケースの発展に寄与してまいります。

 【「INCITY」詳細ページはこちら▶ https://www.geotra.jp/incity

〇具体的な活動(抜粋)
【勉強会・限定イベント(INCITY Meetup)】
まちづくり×データ活用をテーマに、会員限定の勉強会・イベント「INCITY Meetup」を企画しています。都市工学や交通工学などの有識者、自治体やデベロッパーなど、まちづくりの実務者が登壇し、現場の知見や専門性、具体的な事例に基づいた情報発信を行っています。
【セミナーアーカイブ】
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