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海外事例研究|スペイン・バルセロナのスマートシティ化を促進するIoT基盤:Sentelio(センティーロ)

はじめに


GEOTRAインターン生の筒井です。

昨年度、スペイン/バルセロナ市の都市計画とその影響について、第一弾:歩行者空間の形成・スーパーブロック第二弾:消費行動のデータ分析の記事に分けてご紹介しました。

本記事では、バルセロナ市における、IoT基盤を活用したスマートシティ化への取り組み事例をご紹介します。

バルセロナ市のスマートシティ化への取り組み

バルセロナ市は、市民や観光客が便利な情報にアクセスし、生活を便利にするために、数多くのモバイルアプリケーションを開発・統合しており、バルセロナ市は国際的にオープンデータの先駆的な都市として認識されています。

利用者にリアルタイムの運行情報を提供するシステムなどの技術を活用し、新しいバス網の整備が進んでいます。このように、モビリティや交通機関でのデータ利活用が進んでいます。

バルセロナ市は、2000年から大規模なスマートシティプロジェクトを推進しており、センサーを用いた都市マネジメントに取り組んでいます。

2012年11月より、バルセロナ市主導で、「Sentilo(センティーロ)」というIoT基盤を開発し、街中に設置した各種センサーでデータを収集、一元管理しています。

バルセロナ市のサイトConnecta BCNは、バルセロナのIoTおよびスマートシティデータの可視化ツールです。このサイトでは、都市内で稼働しているセンサーやデバイスのデータをマップ上で確認できます。

このサイトは市民や研究者、都市管理者が都市のさまざまなデータを活用できるように設計されており、バルセロナのデジタルインフラを支えるSentiloプラットフォームのデータも活用されています。

図1:バルセロナのIoTおよびスマートシティデータの可視化ツール
出典:SentiloBCNから引用

IoT基盤「Sentilo(センティーロ)」について

Sentilo(センティーロ)は、バルセロナ市が都市のスマートシティ化を推進するために開発したオープンソースのIoTプラットフォームです。

Sentiloは、都市に関するデータを集約して活用するための基盤である「City OS」を構成する要素の1つとして位置付けられています。

その開発背景には、都市内のさまざまなインフラやデバイスから収集されるデータを効率的に活用し、リアルタイムでの都市管理やサービス向上を図る目的がありました。

バルセロナ市は交通渋滞、エネルギー消費、環境汚染などの課題に直面しており、これを解決するため、センシングデータを集積・分析し、住民の生活の質を向上させる必要がありました。

Sentiloはその一環で、都市のさまざまなシステムやデバイスを統合し、データの相互利用を実現するために2012年頃に導入されました。このシステムは現在、バルセロナだけでなく他の都市や団体でも利用されています。

図2:City OSのイメージ
出典:Barcelona Digital Cityより引用

 Sentlioを通じて、ごみ箱の使用状況・温度、湿度、大気汚染等の環境状況、様々なデータをリアルタイムに収集・活用することが出来ます。

図3:Sentiloでのデータ連携イメージ
出典:Barcelona Smart City: Value of data Citizen focused ...より引用

 以下がSentiloによる主な取り組みです。

 ①環境状況の監視
バルセロナ市内に設置されたセンサーが、温度、湿度、大気汚染などの環境データを継続的に収集し、リアルタイムで環境状況を監視。市民の健康に対する影響を把握し、対策に役立てています。

②交通管理
交通渋滞のモニタリングや、空き駐車スペースの検知を行い、交通の円滑化や効率的な駐車場利用を促進。市民に便利な交通情報を提供し、交通の流れを改善しています。

 ③ごみ収集の効率化
ごみ収集容器に設置されたセンサーが満杯になるタイミングを通知し、効率的な収集スケジュールを立案。これにより、収集コストの削減やごみ収集の効率化を実現します。

④エネルギー管理
街灯や公共施設のエネルギー消費を監視・制御し、消費量を抑えつつ市のエネルギー効率を向上させ、持続可能な都市づくりに貢献しています。

図4:Sentiloを通じた主な取り組み、当社作成

結果

Sentiloを活用したスマートシティの取り組みには、いくつかの具体的な成果が報告されています。特にごみ収集や街灯の管理といった分野で大きな改善が見られ、運用効率の向上やコスト削減が実現しています。以下にその事例をいくつか紹介します。

①ごみ収集の効率化

ごみ容器のセンサーが収集スケジュールを最適化し、コストの約25%削減が実現しました。また、無駄な収集が減り、CO₂排出も削減されています

②エネルギー消費の削減

街灯の自動調整により、約30%のエネルギー節約とCO₂排出削減が達成され、年間で37万ユーロ以上のコスト削減効果をもたらしています。

③交通と駐車の管理

駐車スペースや交通量のデータをリアルタイムで提供することで、交通渋滞が約20%緩和され、市内のCO₂排出も10%減少しました。

図5:Sentiloを活用した成果、当社作成

今後の展望

 バルセロナのSentiloは、持続可能な都市管理とエネルギー効率の向上を達成し、スマートシティの模範例として評価されています。

スマートシティは、テクノロジーの進化と共に都市の未来を大きく変えていく可能性を持っており、持続可能性と市民生活の充実を目指す都市運営のモデルケースとなりつつあります。

 今回はスペイン・バルセロナ市の例を紹介しましたが、当社GEOTRAでもスマートシティ化に向けた支援を行っています。

当社サービスをご利用頂いている、清水建設株式会社との取り組み事例をご紹介します。

清水建設は、社会課題や顧客ニーズの複合多様化に対応するため、従来型の建築・土木の設計・施工に加え、ビッグデータやデジタル技術を用いたまちづくりにも力を入れています。

自治体を中心とした関係者と連携したまちづくりを推進する中で、都市において交通・防災・観光は主要な課題であり、それらをビッグデータやデジタル技術によって解決できると考え、清水建設・GEOTRA・グルーヴノーツの3社が持つ強みを掛け合わせた、交通・防災・観光の最適化を図るためのデータ分析プラットフォームの開発に着手しました。産官学民の協力を通じて、全国の自治体との連携を深めています。

 詳細はこちらの記事から!

最後に

ここまでご覧いただきありがとうございました。

本記事では、スペイン・バルセロナにおけるSentiloの事例についてご紹介しました。

GEOTRAでは、独自の個人情報保護技術により、人々の動きや行動目的などが高粒度に可視化された人流データ、GEOTRA Activity Dataをご提供しています。更に人流データのご提供に留まらず位置情報データ全般に関する利活用促進のためのご支援を行っております。

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