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海外事例研究 | アメリカ データドリブンな都市型ローカルストアの経営


はじめに

GEOTRAの伊藤です。

近年、日本では特定地域に集中的に投資し、顧客占有率において、競合企業よりも優位に立つドミナント戦略が重要視されており、米国では、日本よりも少し進み、小売店を経営する多くの企業が、居住人口及び滞在人口などの地理情報データを用いてドミナント戦略を策定しています。

本記事では、多くの企業の中から、データドリブンな独自の取り組みを行う米シカゴを中心に拡大するFoxtrot社による、データを活用して出店戦略やマーケティング戦略を策定し、実店舗販売及びEコマースの2軸で、サービスを展開する事例をご紹介します。

背景

Foxtrot社は、同社が厳選するローカルな商品を扱うチェーン店です。
実店舗及びEコマースの2軸でサービスを提供しており、アメリカで急拡大しています。

2013年にオンラインでのデリバリーサービスを開始し、その後、店内での顧客体験の向上によるリピーター増加を促進するために、実店舗経営を本格的に開始し、2023年8月時点ではシカゴとダラスを中心に、約20店舗を展開しています。

同社は、主に地元の商品の中から厳選された酒類と飲食物を取り扱っており、オンデマンドデリバリーを活用したオムニチャネルの「コーナーストア」というコンセプトで経営しています。

*オムニチャネル... ECサイトなどのwebサイトだけでなく、メールやスマホアプリといったその他のオンラインの接点、さらには店舗などのオフラインの接点も含めて様々なチャネルを連携し一貫した顧客体験を提供し、ユーザーにアプローチする販売戦略

Foxtrot社による他の競合企業との差別化戦略

Foxtrot社は、食料品や、酒類、日用品を中心に扱っていることからコンビニエンスストアやスーパーマーケット等を、地域内の競合企業として想定しています。競合企業からの差別化戦略として、オンラインショッピングの充実化の他、主に以下2つの取り組みを行っています。

カフェスペース・イートインスペースの充実化

店内の20-30%がカフェスペース・イートインスペースとなっています。同社は、買い物以外に仕事や休憩、会食等、様々な場面で利用可能な「サードプレース」を目指し、外観及び店内デザインを工夫しています。

更に、朝昼には、モーニング・ランチメニューを提供するカフェ、昼過ぎからは仕事を行うフリースペースとして開放、夜は同社が厳選した酒類を提供するバーにする等、時間帯に応じて姿を変えながら適切なサービスを提供しています。

オンラインショッピングでの注文後1時間以内での商品配達

同社は、30分程度の買い物時間を確保することが難しい多忙な生活者をマーケティングターゲットとして策定し、店舗付近の住民が、オンラインで商品を注文すると、一時間以内に商品の配送を完了するサービスを提供しています。

さらに、買い物の時間を短縮するために、オンラインで頼んだ商品を店舗で受け取るピックアップサービスも充実させています。

図1:Foxtro社の従来のコンビニエンスストアと異なる特徴
出典:Foxtrot HPより作成

Foxtrot社のデータドリブンな取り組み

Foxtrot社が進める、従来の企業と差別化する戦略を支えるのが、データドリブンな取り組みです。主に、以下二つの取り組みを行っています。

顧客情報データに基づく、厳選したローカルな商品の提供

オンラインショッピングや、実店舗経営で得られた顧客情報データに基づき、地域の「お気に入り商品」を、店内に多く陳列しています。商品の中には、ローカルなマイナー商品も含まれ、同社の独自性を高めることで、リピーターを獲得しています。

ターゲットの顧客層のニーズに合わせた出店戦略

同社は、図2のように、シカゴ市内の住民が多い地域や、オフィス街に多くの店舗を出店しており、オンラインでの販売データを分析し、配送先が店舗付近に集中していることを確認しました。
地域の特定エリアに店舗を密集させることで、①配送コストの減少や、②オンラインデリバリーの効率化、③店舗付近地域内でのブランドイメージの創出等があると考え、データに基づき、特定エリアに集中的に出店する、ドミナント戦略を策定しています。

図2:シカゴ市内のFoxtrotの実店舗の分布
出典:Foxtrot HP及びA Different Way of Looking at Density in Chicagoをもとに作成

最後に

ここまでご覧いただきありがとうございました。

本記事では、米国Foxtrot社の事例について、ご紹介しました。

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