海外事例研究|データドリブンで進化するショッピングモール運営
はじめに
GEOTRAインターン生の筒井です。
以前、米国におけるデータを用いた飲食店の経営戦略にアプローチした事例について取り上げました。
本記事ではショッピングセンターにおける、GPSデータや人流データを活用したマーケティング・運営戦略の最適化の事例をご紹介します。
事例1:Location iQのショッピングセンター訪問者追跡
Location iQ社(豪州)は、スマートフォンの位置情報データを使い、ショッピングセンター内の人の流れをリアルタイムで追跡しています。
人流データを通じて、訪問者数、訪問時間、滞在時間、混雑エリアを把握することが出来、それをもとにテナントの配置改善、ターゲティングの最適化、イベント効果等の把握が可能になります。
同社は2019年から携帯電話の位置情報データを活用しており、2023年1月には位置情報関連データなどの処理・分析を手掛けるNear社(米州)と提携しました。
Near社は、モバイル広告やSDKなどから収集した位置情報データを提供しており、同データをもとに、訪問者の行動や位置を正確に分析することが出来ます。
これにより、ショッピングセンターを訪れる人々の動向を詳細に把握出来ます。
Elara Village シドニー北西部での事例
Elara Villageは、シドニー北西部のマースデンパークに位置するスーパーマーケットを中心としたショッピングセンターです。
この施設には、スーパーマーケットに加えて、隣接するショップ、医療センター、コミュニティセンター、ラーニングセンターなどが含まれています。
Location iQ社は、これらの施設をエリアごとに区分けし、Near社のGPSデータを活用して、各エリアへの訪問者数や、エリア間の行き来について分析を行いました。
以下のマップは、Elara Village内の施設をエリアごとに区分けしたものです。
以下の図は、各施設の訪問者の居住地を表しています。
訪問者がどこから来るのかを把握することで、地域別により効果的な集客を行うことができます。
図3のグラフは、エリア間の相互訪問を表しています。
この図では、コミュニティ センターへの訪問者のおよそ40%が小売センターにも訪れています(図3右)。
Location iQ社は、ショッピングセンターの所有者・開発者と協力し、従来の小売用途に加えて、補完的な非小売用途を組み込むことで、ショッピングセンターの機能を最適化・向上させています。
これにより、1つの場所で利便性の高いさまざまなサービスを提供できるようになり、来客者の利用頻度や滞在時間が増え、さらに周辺エリアへの訪問も促進されます。
事例2:Placer.aiによる位置情報データ活用
Placer.ai社(米国)は、位置情報データを使って顧客の動線を可視化することで、顧客の特性や行動を明らかにし、適切な店舗配置や運営をサポートします。
具体的な取り組み例を紹介します。
店舗最適エリアの特定
Placer.ai社のデータを活用し、人口統計的及び心理的特性、来店者数の分析から、店舗設置に最適な場所を特定することが出来ます。
図4では、エリアの顧客の世帯収入などの人口統計や競合他社とのターゲットの重複度合を踏まえ、適合性スコアを算出しています。
店舗のパフォーマンス評価
商圏と小売店の来店者数データを競合他社と比較し、店舗のパフォーマンスを測ります。
顧客が他にどこで買い物をしているかを明らかにし、顧客の嗜好を理解することで、より効果的なターゲットアプローチをすることが可能です。
以下の図5は、来店者数、来店頻度、平均滞在時間を競合他社と比較したグラフです。
顧客の嗜好分析
クロスショッピングデータ(複数の実店舗やオンラインショッピングモールなど、様々な販売チャネルで商品を購入した顧客の行動データ)を活用し、他店舗や目的地との顧客の重複を測定します。
顧客の行動や目的地を確認することで、顧客の嗜好を理解し、顧客に適切な商品を提供する施策を講じることが可能となります。
図6では、他店舗との商圏の重複(図右上)や、顧客がどこから来て、どこへ向かうのかという人流分析(図右下)を表しています。
これらの事例は、GPSデータや人流データを活用してマーケティングや運営戦略を最適化する事例であり、データドリブンな運営の好例として、他国や本邦のショッピングモールでも応用可能です。
最後に
ここまでご覧いただきありがとうございました。
本記事では、ショッピングセンターにおける、GPSデータや人流データを活用したマーケティング・運営戦略の最適化の事例についてご紹介しました。
当社のnoteでは、他にもデータドリブンな経営戦略の事例を掲載しています。興味のある方は是非ご覧ください。
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