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映画制作日誌|(監督)〜恋をしている〜

photo: @1989 CristaldFilm

2021年、夢だった映画制作を始めた。

映画を愛し、そして映画には全く愛してもらえずに、長い長い片思いを続けてきた自分。
かれこれ10年近くのあいだ告白をすることなく諦めてきたのに、大学3年生の初夏、ひょんなことをきっかけに映画制作を始めてしまった。
最初で最後の告白のつもりで始めた映画制作だった。

6月中旬に始まった映画制作は、9ヶ月間の熱愛を経て終結。
それで諦めがつくはずだった。


寺尾都麦(テラオツムギ)です。21歳、学生。
映画監督のフリをしています。趣味は映画鑑賞と旅と読書。
カメラを触っているときと、映画の話をしているときがすごく楽しいです!
最近知った自分の特性は、好きなものに正直すぎる性格だということで、例えば好きになった人には"押して引く"ができないタイプで、とにかく押して押して押してしまうし、別に好きじゃない人には愛想笑いすらできません。

昨年映画制作を始め、諦めがつかずまた新たな仲間とともに制作に挑戦し始めています。このnoteでは映画日誌として日々の記録をしていきます。独りよがりの文章や広報にならないように、頑張ります。よろしくお願いします。


~つづき~

6月中旬に始まった映画制作は、9ヶ月間の熱愛を経て終結。
それで諦めがつくはずだった。

ありがたいことに、上映会には200名ほどの人々が足を運んでくれ、内容に関する嬉しい言葉も多かった。

ただ、それと同時に表現しがたい数々の感情が自分の体を包んだ。

作品を観てくれるということ、何かを感じ取ってもらえるということに対する言葉にできない幸福感。
優秀なメンバーの力を最大限発揮できなかったという罪悪感。
作品のクオリティへの羞恥心。
能力や才能のない自分への悔しさ。
自分はこの作品のためにもっと努力ができたのではないかという後悔。
制作が終わってしまう寂しさ。

「まだ映画を作っていたい」と叫ぶ自分。
「こんなの続けてたら心も体も死んじゃうよ」と引き止める天使。
「映画なんて消えたらいいんだ」と嘲笑する悪魔。

その自分を置き去りにしていく"映画"という存在。


告白してみて、思わせぶりな態度だけ取られて、少し愛してもらえた気もして、けどその夢は一瞬で、心をぐちゃぐちゃに乱されたのに名前や容姿すら覚えてもらえてなかった、みたいな。

ヤリ捨てされたら人はこういう気持ちになるのだと思った。

上映会が終わってからも、天使と悪魔の葛藤は続いた。


もうあんな捨てられ方はしたくない。
苦しみたくない。夢を見たくない。

「映画なんて作らないよ」自分に言い聞かせるように周りにそう言っていた。

その通りになるはずだった。

もしかしたら、映画を作ろうかな…とボソッと言っているだけで、
今でも自分は、成功しなかったときの言い訳ばかり考えているのかもしれない。

しかし今自分は、また新たな仲間を集めている。
脚本と睨めっこを続けている。機材の値段ばかり調べている。
映画のことばかり考えている。

人間を撮っていたい。
人間という美しくて醜い生き物の内側を、ずっとずっと写していたい。
写すことで認めたい。映すことで抱きしめたい。

映画は、今でも自分をトリコにしたままだ。


映画を愛し、そして映画には全く愛してもらえずに、長い長い片思いを続けてきた。

この恋は、実るのだろうか。


2022.4.19 都麦


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