定点カメラ#1 キックオフ
自主映画制作を始めた。連載「定点カメラ」では、その七転八倒の過程を、定点観測的に記録する。
2022年3月16日 なかま集め
寺尾都麦のInstagramに1つのストーリーが投稿される。
監督、寺尾都麦。大学生。監督には、既に映画制作の経験がある。約1年をかけて制作した初監督作品、『ブルートピア』は、2022年3月に公開された。
それからひと月も経たないうちに、監督の心には、「新しい映画を撮りたい」という気持ちが芽生えていた。
このストーリーが投稿されたのも、『ブルートピア』初回上映会からわずか4日後のことである。
このストーリに反応した変わり者が複数人。
4月10日 集結
監督が1作目の制作メンバーや、映像/音楽制作のノウハウを持っている人、親和性のありそうな人に声かけ。
LINEグループに集められたのは11人。その後、即座にチャットツールslackのグループが作られる。初日にして、いい動きをしたメンバーを賞賛する「 #ファインプレー」チャンネル や 日々の何気ないことをつぶやく「#雑談」チャンネルが用意された。監督の前作での気づきが生きる。
slackには、カスタムスタンプを登録できる機能がある。初日からこんなスタンプたちが追加された。
メンバーが集まった直後、監督が送った言葉。
”映画撮ってなきゃ生きた心地がしない。このままだと女の子口説くことしかやることがない”
”映画撮りたいけど、「これならいける!」っていう確信がなくてビビり散らかしてる”
4月14日 初回ミーティング
zoomにて、キックオフ開催。
初対面のメンバーがほとんどのため、まずは自己紹介からスタートする。
映画に恋をしている監督、その監督に恋をしている事務。この世で唯一監督と社会との掛橋になれる荷物番。小説家志望の経済学部と京都イチの器用貧乏。夢を諦めきれなかった携帯ショップの店員。カメラマン志望の経営者。太陽の塔の従業員と、ミニシアター応援団の長。加えて突然誘われた東京の芸大生と、ベース売りのギタリスト。
自分の世界観を持った人ばかりだ。これから1年間、絶望を共にするであろうチームの仲間に向けて、監督は話した。
“一緒に「良い」作品を撮ろう。自分たちが「良い」作品だと胸を張れる作品。自分たちが一番のファンになれる作品を撮ろう”
その後は、現段階でのプロットや今後の動きを確認する時間となった。脚本作りと並行して、資金調達や、広報も進めねばならない。
現時点での年間計画。スケジュール通りに進むはずはないけれど。
4月 企画詰める / 広報スタート / 資金集め方法確定
5月 脚本完成 / 資金集め / 撮影メンバー集め・カット割
6月 キャスティング / ロケハン / 撮影スケジュール(仮) / 機材予約
7月 本読みと演技指導 / ロケハン / 撮影スケジュール・カット・日々スケ
8月 リハ / 撮影(2週間)
9月 映像編集
10月 整音 / カラー / 音楽制作
11月 完成
12月 公開
現時点で揃っているもの:監督の熱意。
現時点で足りないもの:プロット、脚本、撮影メンバー、チームの結束、メンバーの士気、撮影資金(110万?)、キャスト、知名度、etc……。
始まったばかりの映画制作。歩幅は決して大きくないが、このチームの歩みを綴ってゆこうと思う。