定点カメラ#23 主題歌探し・後編
前編の振り返り
主題歌にはどんな音楽を使おうか。流石にゼロから曲を作るのは大変だから、誰かの曲を使わしてもらおう。誰に頼む?曲の雰囲気は?いつまでに決めなきゃいけないんだ!
頭を抱える『キャンバス』制作チームのメンバーたちであった。
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中学生の頃、寝る前にラジオを聞いていたのを思い出しました。22時に始まる『SCHOOL OF LOCK』は、ラジオの中の学校。私はリスナーではなく生徒だったのです。そしてロックのスペルはLOCK。未来の鍵を握ることが、多くの若者がこの学校に通う理由でした。そこで初めてインディーズバンドの音楽を聴き、夜の勉強机で鳥肌を立てたことを覚えています。
これが『キャンバス』の主題歌を探すことに繋がりました。インディーズバンドを探す方法を思い出したのです。
2023年11月25日
使い古したイヤホンを耳につけて
画面越し、誰よりも輝いてる、
あいつを眺める午前2時
『Eggs』はインディーズバンドの活動を支援している音楽プラットフォームです。中学生の私はここでいろんな曲に出会いました。
どうやら僕とあいつは、住む世界が違うみたいだ
コメント欄に、僕の存在自体否定された気がした
あれから7年経って、Eggsに並ぶバンドのほとんどが同年代になっていました。お兄ちゃんとお姉ちゃんたちだったのに。
許せない事を許して、嘘も着きなれてしまって
満身創痍で綴った言の葉、これで良いと思った生き様
なんとなく惹かれたグループの名前をクリックしていきました。彼らがつくる音楽の一覧が表示されて、気になるタイトルの曲を1,2曲聴きます。音楽的に良いか悪いかなんてわからないから、好きか好きじゃないかで判断することにします。
無意味だって、自己満足なんだって、
思ってしまう日もあった
それでも僕は、 ここで生きたいと思ってしまった
探し始めて1時間くらいした時、愛知県のある3ピースバンドを見つけました。アーティストページに移動した瞬間、私は「これかもしれない」と思ったのです。
僕が僕で良かった、僕が僕で良かった
僕だから歌える歌があって
あなただから聞こえた声があるんだ
『キャンバス』がこの曲のためにつくられたのか、それともこの曲が『キャンバス』のためにつくられたのか。
天才じゃなくて良かった
才能が無くて良かった
どうか、どうか、届きます様に
膝を抱え声を殺し泣いていたあの日の夜を
越えていけますように
主題歌。映画の後味を決める重要な1曲は、ビシッと決まったのではないでしょうか。
文責:あきら