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ツユクサナツコの一生を読んだ

僕の好きな作家さんのひとり(そんなにたくさんの作家さんを知ってるわけじゃない)が

益田ミリさん。

大学生のころに、初めて好きになった子のあだ名が“すーちゃん”で、

その子のことが気になり過ぎていたら、
ふと立ち寄った本屋さんで目に止まったのが

「すーちゃんの恋」だった。

それが、僕と益田ミリさんの作品の出会いだ。

ミリさんの“すーちゃん”シリーズは人気で、映画化されていたことなんかも後に知った。

そうそう、僕が好きだったすーちゃんは大学生だったけど、ミリさんのすーちゃんはもう少しお姉さんだなぁ。

それから、「僕の姉ちゃん」シリーズとか書店員の土田さんが主人公になった「世界は終わらない」も大好きだ。

ミリさんの紡ぐ言葉と、やわらかいタッチで描かれた登場人物たちのストーリーが心に沁みる。

ツユクサナツコ

僕は、個人的に最近
イエロー、黄色に目がない。

だから、目につく黄色のものが気になりがち。

そして、すーちゃんの本と同様の現象で、

タイトルが黄色だった
「ツユクサナツコの一生」を本屋で見つけた。

ハードタイプの表紙で、これは中々の大作だなぁと思った。

表紙に出ているのが、おそらくツユクサナツコという登場人物だと推測できた。


少々ネタバレになったら申し訳ないのだが、

物語は、コロナ流行2、3年目のころのことだった。

2023年の今の状況になって読んでいると、
まだまだ最近のことではあるが
「あんな日々もあったよなぁ」と
どこか懐かしく、そして
あの頃よりかは過ごしやすくなって良かったー
という安堵の気持ちになる。

ツユクサナツコさんの思いごとであるセリフを、脳みそで反芻すると

自分自身も「そうそう」「そうだったなぁ」と共感できた。あのころは噛み砕けなかった感情が、自然とほぐされていくようだった。


ツユクサナツコさんは、ドーナツ屋さんで働いていて、自宅ではマンガも描いている。

日々感じたことを

ツユクサナツコさんは、描く漫画の中の登場人物を通して語らせている。

これって、

ミリさんも漫画で、ミリさんが漫画家のツユクサナツコさんを描いて、これまたツユクサナツコも、、、
なんだかマトリョーシカみたいだな。でも、心の奥底の生身の部分が描かれているような感覚。

この本では、

いつも読んでいた

すーちゃんだったり、姉ちゃんを思う弟だったり、土田さんの物語のように

ツユクサナツコの物語を体験できる。

ただ、

僕はこれまで読んだ益田ミリさんの作品では感じられなかった、、、感情というか
描かれていなかったこと

と出会して、面食らった。

心が揺さぶられた。

偶然にも、

コロナ禍で僕自身にも訪れた出来事とある種、一致してしまっていたから。

それがどういう展開だとか、内容とかは
直接読んで見て、出会ってほしいなと思う。


そして、ひとつ言えるのは

ミリさん、この作品を描いてくれて

ツユクサナツコに出会わせてくれて

ありがとう。



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