【「佇まい(たたずまい)」~ファジル・サイ氏のピアノリサイタル番外編】
「いやぁ、あんな爆音のピアノ、聴いたことないよ。でも全然乱暴じゃないんだよね。で、すごく"佇まい"(たたずまい)がある人だよね。」
先日、行ったファジル・サイ氏のピアノリサイタルの帰り、ロビーで聞こえてきた会話。
声の主は、背が高い感じの良い青年、それを聞いているのは、またこれまた感じの良い若い女性。
その青年の感想に、「ホント!そうでしたね!」と思わず、合いの手を入れてくなった!が、見も知らない人から突然、話しかけられてもね…とそれはしなかった。
この青年の言ったこと、私も感じていたのだが、「佇まい」という言葉に当てはめることができなかった。
しかし、その青年が「佇まい」と発してくれたおかげで、ファジル.サイ氏の雰囲気を「言葉」で表すことが出来た。
そうなのである!
ファジル・サイ氏、ピアノが素晴らしかっただけでなく、「佇まい」に何とも言えない味わいがある御仁であった。
客席の万雷の拍手を受け、静かにそれを受けるステージ上は「わび.さび」といおうか、ステージ上は実は無音、「静寂」に包まれているのではないか?とさえ思わせる雰囲気を醸し出していた。
ファジル・サイ氏の「佇まい」に、「禅寺の庭」を見ているような感覚にさえなったのである。
ピアノの演奏に演奏家の全てが「体現」され、それが伝わるのがベスト!
しかし、演奏が終わった後の「佇まい」もトータルで演奏に含まれているのが、リサイタルやコンサートでの演奏になる。
この「佇まい」、CDやラジオじゃわからない。
テレビは、聴覚だけのCDやラジオよりはマシであるが、その場で生まれる雰囲気まで、汲み取るのは難しいように思う。
リアルの公演(講演)に足を運ぶ醍醐味は、演者の「佇まい」をも味わう時空間なのであると思った次第。
*ステージに立たない、スポットライトを浴びない一般人とて、「佇まい」は醸し出しているということも再認識。
帰り際に聴いた青年の語っていた「佇まい(たたずまい)」を”番外編”として、ご紹介。
#たたずまい #ファジルサイ