【春のお彼岸、不思議な出会い】~袖触れ合うも多生の縁~
「どこから来られたとですか?」
関西から戻ってきた博多駅・・
両親と夕飯に寄ったおうどん屋さんで
隣の席の60代くらいとお見受けするおじさんに声をかけられた。
「いえ、こちらに戻ってきました」と答えると、
「あー、福岡の方でしたか」
話はそこで終わるかと思っていたが、
横にいた両親に話し続けられた。
自分はカメラマンであること、今日も写真を撮りに博多駅に来たこと、など話された。
そしてご自身のリュックから、
「よかったら、作品を見てください」と両親に作品の入ったファイルを見せてくださった。
美しい風景から、人物写真、その中には
一世を風靡するアイドルの写真もあり、
その写真が”プロのカメラマン”であることを証明する1枚に思えた。
もちろんアイドルの写真がなかったとしても、見せてくださった写真は素晴らしく、”美しさの一瞬を切り取る技”はさすがにプロだなあと感銘した。
単にお話好きなおじさんかと思っていたが、語られる内容は含蓄が有り、両親も私もいつの間にか聞き入ってしまった。
福岡市郊外にお住まいのその方は、地域の消防団に入っていること、地域の神社の活動にも携わっていること、両方の活動とも高齢化で大変になっていること他、諸々話され、趣味はホラ貝を吹くことまで語ってくださった。
「人生下り坂になっている今が一番幸せですたい。
若い時はがむしゃらに上り坂を登って、周りを見る余裕がなった。
でも、今は下り坂をゆっくり風景を見ながら、楽しみよります。」
思いがけず「深い話」をうどん屋さんで聴かせていただいた。
極めつけは、「1枚、私の写真をあげまっしょ。(あげましょう)ここで会うたのも、何かのご縁ですたい。この紅梅と白梅の写真がよか。これをあげまっしょ。天国のごたる風景でしょうが。」
と自分の作品を我々にくださるという。
確かに選んでくださった写真の風景、天国とも極楽浄土とも言える風景。(高齢の両親にはこの風景は希望になる?)
が、もちろん固辞した。
とんでもない、そんな大切な写真をいただくわけにはいかない。
しかし、先方も、「いやいや、SDカードに入っとりますから、これが最後の1枚じゃなかですから。」
それでは、名刺をいただけたら…と頼んだが、「忘れました」と言って、お名前も教えてくださらない。
父は、やおら立ち上がり、うどん屋さんのおねえさんにマジックペンを貸してくれるように頼み、借りたマジックペンをそのおじさんに渡して、写真の裏に名前を書いてくださるよう頼んだ。
ここで写真をいただいた記念になる。
写真の裏にお名前を書いていただき、「またいつかどこかでお会いしましょう」と別れたおうどん屋さんののれんの前。
家に戻って、今は鬼籍に入った伯母が作ってくれた
お人形さんの横にいただいた写真を置いた。
近いうちに額縁に入れよう。
不思議な出会いだった。
これぞ”「袖触れ合うも多生の縁”?
”春のお彼岸”が取り持つ”一期一会”なのだろうか。
いやいや、またいつかどこかでばったり再会出来るそうな…
そんな期待を持って、写真を飾らせていただこう!
早く額縁、買いに行かなくっちゃ!
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