エヴァンゲリオンシリーズに登場するドイツ語まとめ
文責 wowota
25年前に放送が始まった『新世紀エヴァンゲリオン』。2007年にはRebuild版である『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの制作も開始され、未だその人気が衰える様子がありません。2021年にはヱヴァンゲリヲン新劇場版全4部作の完結編『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』も公開され、最終興行収入は102億円を突破し、初放映から四半世紀以上たった今なお絶大な人気と評価を見せつけました。
そんな『エヴァ』および『ヱヴァ』ですが、作中には数多くのドイツ語の単語が用いられていることをご存知でしょうか?原作者の庵野秀明がどのような意図を持ってドイツ語を入れていたのかは定かではありませんが、第2外国語でドイツ語を学ぶものとして、ここにその単語を列挙し、それぞれの意味と作品での使われ方・発音をまとめようと思います。ご存知の通りエヴァは難解で設定もはっきりしないものが多いので、詳細がわからないところは僕自身の解釈で話させていただきます。(最新作のネタバレを一部含むのでご注意ください。物語のメインとなる内容には触れていません。)
注:
『新世紀エヴァンゲリオン』:1995年より放映された原作となるテレビシリーズ。なお、ここではそれに続く劇場版作品群『EVANGELION:DEATH(TRUE)^2』『Air / まごころを君に』も含む。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ:2007年より順次劇場公開されたRebuild版。それぞれの作品は『:序』『:破』『:Q』『シン・エヴァ』で略されることが多い。
Nerv
作品中の発音:「ネルフ」
登場作品:『新世紀エヴァンゲリオン』・『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ
ドイツ語の意味:神経
エヴァを見たことのある人なら誰でも知っているであろう、主人公たちが所属するNERV本部。設定では国連直属の非公開組織ということになっており、汎用ヒト型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオンを保有し、襲来する「使徒」の殲滅を目的とする組織です。NERV本部は、現在の芦ノ湖近郊に位置する第3新東京市のさらに地下、謎の巨大地下空間ジオフロントに位置しており、ピラミッドのような外見をしています。第一司令室のモニター表示がカッコいい!日向くん達が座っているあのイスはとても快適そうで、オンライン授業がつづく大学生としては、家に一つ欲しいです。
Seele
作品中の発音:「ゼーレ」
登場作品:『新世紀エヴァンゲリオン』・『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ
ドイツ語の意味:心・精神・魂
NERVの意思決定を担う秘密結社で、預言が書かれた「裏死海文書」をもとに「人類補完計画」の遂行を目的としています。こちらは存在そのものがごく一部の人間しか知らず、作中でも謎の組織として描かれています。モノリスのような石板が会話する演出は印象的で、一度は見たことがあるかもしれません。コロナウイルスの流行が本格的に始まってからは、あの会議形式がオンライン会議さながらだとしてネット上て一時話題になったりもしました。実は、アニメ版の初期では石板ではなく人が話し合っていました。(オンラインであることに変わりはないのですが。)
Gehirn
作品中の発音:「ゲヒルン」
登場作品:『新世紀エヴァンゲリオン』
ドイツ語の意味:脳・脳髄
もともとはSEELEの下部組織として、「人類補完計画」の遂行に必要な研究などを担う機関でした。その後解体され、そっくりそのままNERVに改編されました。主人公碇シンジの両親である碇ゲンドウ・ユイもこの組織に努めていました。本編でもあまり語られることのない組織で、『新劇場版』では言及がありません。NERVの「神経」・SEELEの「魂」・GEHIRNの「脳」の関係性が面白いですね。
Wille
作品中の発音:「ヴィレ」
登場作品:『:Q』・『シン・エヴァ』
ドイツ語の意味:意志
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』に初めて登場した、NERV壊滅を目的とする組織です。『:破』と『:Q』の間の作中で語られることのなかった期間、いわゆる「空白の14年」の間に結成された組織です。作中で語られていないためその経緯は想像する他ありませんが、元NERV作戦指揮官出会った葛城ミサトを最高責任者とし、多くの元NERV職員が所属しています。青をイメージカラーとし、NERVの赤と面白い対比になっています。
Wunder
作品中の発音:「ヴンダー」
登場作品:『:Q』・『シン・エヴァ』
ドイツ語の意味:奇跡
WILLEが所有する巨大な戦艦で、正式名称はAAA Wunderです。主機の動力としてEVA初号機を採用し、重力制御によって飛行します。『:Q』でいきなり登場して飛んだので、詳しい仕組みは不明です。とりあえずカッコいい!元々はNERVが建造中だったものを加持リョージ率いる反NERV勢力が強奪した。『シン・エヴァ』では加持の願いを体現する機体であったことが判明します。
Nemesis
作品中の発音:「ネーメズィス」
登場作品:『:Q』
ドイツ語の意味:応報
NERVが所有する戦闘兵器です。『:Q』で初めて登場し、WILLEを苦しめていました。「ネーメズィスシリーズ」としてコード4Aから4Cまでが登場し、WILLE側のシステムにはパターン青(使徒を表すパターン)で識別されます。設定ではEVANGELON mark.04とされており謎の多い機体です。僕の推しはコード4Bです。あの攻撃がたまらない。
Kredit
作品中の発音:「クレーディト」
登場作品:『シン・エヴァ』
ドイツ語の意味:信用貸し・クレジット
「サードインパクト」「ニアサードインパクト」を生き延びた人々が集団生活を営んでいる、「第3村」を支援するWILLEの組織です。主に食料や医療物資の供給、他の村との交易を担当しているようですが、詳細は不明です。イメージアイコンがかっこいいです。
Buße
作品中の発音:「ブーセ」
登場作品:『シン・エヴァ』
ドイツ語の意味:贖罪
アダムスたるNHGシリーズの1番艦で、後に加持リョージが強奪してAAA Wunderとなる機体です。元々の主機はEVANGELION mark.09およびEVANGELION mark.09Aであり、イエローをイメージカラーとしています。劇中ではWunderがmark.09Aに侵食を受けた際に、ジャックされたモニターの中に文字で登場します。鳴き声は高いです。(Wunderの時ですが。)
Erlösung
作品中の発音:「エアレーズング」
登場作品:『シン・エヴァ』
ドイツ語の意味:救済
NERVが所有するNHGシリーズの2番艦です。主機はEVANGELION mark.10であり、イメージカラーは赤色です。『シン・エヴァ』劇中で唯一完成形として登場し、その脅威的な火力でWILLEのWunderを圧倒します。偽造コクーンの海から登場するシーンは圧巻です。鳴き声はWunderよりはやや低いです。
Erbsünde
作品中の発音:「エルブズュンデ」
登場作品:『シン・エヴァ』
ドイツ語の意味:原罪
NERVのNHGシリーズ3番艦で、EVANGELION mark.11を主機とし、青をイメージカラーとしています。Erlösungより完成度は劣りますが、強力な主砲2門の連続攻撃でErlösungと共にWunderを挟撃します。鳴き声はNHGシリーズで最も低く、少しくぐもっています。Wunderに張り飛ばされる時の鳴き声はすごくカワイイです。
Gebet
作品中の発音:「ゲベート」
登場作品:『シン・エヴァ』
ドイツ語の意味:祈り
NHGシリーズの4番艦です。主機はEVANGELION mark.12でイメージカラーは白となっています。NERV所有のNHGシリーズの中で最も完成度が低く機関砲は付いていません。ですが、偽造コクーンの中からWunderを急襲し、行動不能まで追い込んでいます。あの時の絶望感はすごかったですね(汗)。鳴き声は比較的高く、NERV所有のNHGシリーズでは最も高いでしょう。(なぜ僕が戦艦の鳴き声に付いて詳しく言及しているかは、本編を見ればわかるでしょう。)
Opfer
作品中の発音:「オップファー」
登場作品:『シン・エヴァ』
ドイツ語の意味:犠牲・生贄
「アダムスの器」と呼ばれるEVANGELION mark.09からmark.12までの呼称として、「エヴァオップファータイプ」が用いられています。四つの機体はそれぞれNHGシリーズに対応し、アドヴァンスドアヤナミシリーズが搭乗してNERVの作戦遂行を掩護します。本編でも詳しくは語られていないので、詳細は不明です。8号機にビビりちらかすmark.12がカワイイですね。
ここまでエヴァンゲリオンシリーズに登場するドイツ語単語を調べてみましたがいかがだったでしょうか?いちファンとしては語り足りないところもあるのですがキリがないので、ここで一旦終わりとさせていただきます。「NHGシリーズってなんやねん」「主機とは?」などの疑問が生まれるかもしれませんが、ここは本格的な考察の域に達してしまうので、ここでの言及は控えます。気になる方はぜひエヴァンゲリオンを観てみてください。
参考文献
・クラウン独和辞典
・アクセス独和辞典(電子版)
おまけ
『エヴァ』を見てみたいけどどれを見ればいいかわからない!!という人へ
エヴァはたくさんの作品があり、タイトルも難解なのでどの順番で見ればいいのかわからないという人がいらっしゃると思います。そんな人のために大まかな順番と、個人的にオススメの視聴順をお伝えします
まず、エヴァンゲリオンシリーズは大きく分けて『旧アニメ版』と『新劇場版』に区別されます。
『旧アニメ版』とは原作にあたるテレビアニメ全26話と、それに続く劇場版群を指します。ここで「群」という単語を用いたのは、これらの映画は何回かにわたって小さな編集が加えられ、その度にタイトルが変更されてきたという経緯があるためです。現在視聴できるのは『EVANGELION:DEATH(TRUE)^2』とその続編の『Air / まごころを君に』の二つです。『DEATH:(TRUE)^2』はテレビアニメ版の第壱話から第弍拾四話までの内容をまとめたもので、テレビアニメ本編にはない描写も見ることができます。『Air / まごころを君に』はサードインパクト前後を描いた物語で、テレビアニメ版の第弍拾四話から繋げて見ることができます。
『新劇場版』は『旧アニメ版』を踏まえた演出がありながらも、独立したストーリー展開を持った、劇場アニメシリーズです。順番としては『:序』『:破』『:Q』『シン・エヴァ』の順になります。独立したストーリーなので『旧アニメ版』を観ていなくても楽しむことができます。
次に僕オススメの視聴順です。先にお話した通り、『新劇場版』はそれだけで独立したストーリーを持っているので、『最新作を観たい』『エヴァに触れてみたい』という人に最適でしょう。エンターテインメント性を重視しているので、エヴァを全く知らない人でも十分楽しめると思います。(『:Q』『シン』にはびっくりするかもしれませんが...)『とても時間がない』という人でもどれか一つの作品だけを楽しむことは可能です。それぞれが一本の映画作品としてまとまっているので、気になったものは観ちゃいましょう。(ただし『:Q』を一本だけで見るのはあまりオススメしません。『:Q』それ自体はかなり完成度の高い作品ですが、詳細があまり語られないので、「エヴァ初めて」という方が観ると撃沈する可能性が高いです。)『:序』『:破』『:Q』『シン』を一通り楽しむことができ、「もっと観たい!!」という欲が出てきたら次は『旧アニメ版』です。第壱話からどんどん観ていきましょう。こちらはかなり大人向けの作品になっていますが、中学生だった自分が観ても相当面白かったです。最後に『旧劇場版』です。エヴァが怖いイメージと共に語られるの原因の9割はこの作品にあると言っても過言ではありません。ただし、ストーリー構成は相当な出来になっており、作画も日本アニメ最高峰に位置する作品なので、観てみる価値は十分にあると思います。(注:精神的な余裕があるときに観てください。)また一通り『旧アニメ版』を観た後に『シン・エヴァ』を見ると、また違う感動があると思います。
以上、一人のエヴァ好きがエヴァについて語ってみましたが、他にも面白い作品がいっぱいあるので、色々みてみてください。気が向いたらエヴァもどうぞ。
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