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【危機管理広報】~昨日のフジテレビ社長会見について一言~

組織(企業など)や個人(芸能人など)の事件・事故・不祥事発生後に行われることのある「謝罪・説明記者会見」「緊急記者会見」(以下:会見)。

インターネット記事などの見出しや専門家のコメントの中でたまにあるのが「史上最低の会見」「会見に点数をつけると0点」という言葉。

読者の関心をひく目立つフレーズであることは理解するが、私はこれに疑問や違和感を感じていた。過去に発言や態度で酷いと思われる会見は数えきれないほど見聞きしてきたが(最近では主にインターネット・YouTube中継を視聴)、とりあえず中継等によってオープンな姿勢を示しているのだから、0点という評価はあり得ないだろう。

会見を開き、記者クラブ等に属していないインターネットメディア、雑誌、フリーランスの記者も参加OKとし、インターネットやテレビ中継を許可している点だけでも30点くらいはあげてもいいのでは。
これはなんでも0か1に単純化しようとする「デジタル思考」の弊害とさえいえるのでは。これまではそんな風に考えていた。

昨日のフジテレビの社長(定例)会見は、もしかしたら「史上最低の会見」「0点=一応会見を実施したので5点くらいの会見」と言えるのでは。
それくらい酷い会見だった。

すでに、数多くのメディア、インターネット記事、SNS等で大炎上しているので、いまさら同じような意見を言うのもどうかと思うが、私が今回の会見での最大の✖と考えるのは、

「インターネットやテレビ中継及び動画撮影すらNGにしていた」

点だ。

一例として、一昨年2023年7月の「ビッグモーター会見」も、よく史上最低の会見というフレーズが記事やSNSに飛びかっていた。確かに会見自体は、多くの失言もあり酷いものだったが、今回のフジテレビのようにフリーランスの記者を排除したり、インターネットやテレビ中継や動画撮影を禁じるようなことはしていない。

事件、事故、不祥事の当事者が、社会に向かって説明や謝罪の会見を実施するにあたって、中継や動画撮影を禁止するなど、前代未聞といっていいだろう。
私は仕事柄、基本的にはリアルタイムで会見のネット中継を視聴してきたが(長い場合は2時間半とか)、今回はそれもできなかったので、会見の内容については具体的なコメントは難しい。出席した記者のレポートをいくつか読むと「外部の弁護士等の調査委員会を作る」「回答を差し控えたい」という回答が多かったようなのだが・・・

会見までのフジテレビ側との出席交渉については下記のニュースサイトENCOUNTの記事が詳細で参考になった。

危機管理広報(クライシス・コミュニケーション)の対応で絶対にやってはいけないこと

「炎上やネガティブ報道を長期間にわたり続けさせてしまうこと」

である。理想的には一度の会見で、話せることはすべて正直に説明し、記者からの厳しい質問にも冷静に誠実に回答し、短期間で収束させること。

私は自治体や企業向けの「危機管理広報(クライシスコミュニケーション)研修やセミナー」の講師の時に、このポイントを強調して話している。

今回のフジテレビの対応は一言で言えば「(マイナスの)想像力の欠如」だ。
これは過去の数えきれない、企業や芸能人などの不祥事の危機管理広報対応に共通する。「こういう発言をしたら」「こういうこと(=中継NG、記者クラブ以外のネットメディア、雑誌、フリーランス記者の出席不可など)をしたら」、社会からどのような批判を浴びるだろうと想像するのは、極めて簡単なことだと思うのだが・・・

個人的には、今回の会見をはじめとした危機管理広報対応において、弁護士や危機管理広報の企業や専門家が関与していたのかに関心がある。



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