私がジャニー喜多川氏の性加害事件を知ったのは月刊誌「噂の眞相」だった。
写真=沖縄「ナガンヌ島」のビーチ(2013年撮影)
明日10/2の午後2時から、ジャニーズ事務所の記者会見がある。
前回の9/7の(謝罪)記者会見も大きな関心を集めたが、今回は新社名や今後の組織、被害者への具体的な補償など、会見の冒頭で説明されるであろう内容を考えると、前回以上の大きな関心を集めているように思われる。YouTubeで紹介されていた案内状には2時間(予定)とあるが、前回のような質問の多さからいうと2時間で終るとは到底思えない。
私はこれまで30年ほど、仕事(危機管理・広報コンサルタント)の関係で、危機(事件、事故、不祥事など)発生後の「(謝罪)記者会見」を数多く(以前はテレビニュースや新聞記事、最近はYouTubeでの完全ライブ配信)視聴し、必要に応じて検証、分析もしてきたが(9/7については私が作成しているYouTubeの「企業危機管理セミナーチャンネル」内で)、今回の一連のジャニーズ事務所の(謝罪)記者会見は、従来の(謝罪)記者会見とは少し異なる要素がある。
それはジャニーズ事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」が2023年8月29日に公表した「調査報告書」の中で指摘されていた
「メディアの沈黙」。
ジャニー喜多川氏の性加害について噂レベル(実際にあったことが週刊文春との裁判で認定されたのだが)という姿勢で、一切報道してこなかったという点だ。要は、ジャニー喜多川氏、メリー喜多川氏の生前は、そんなことを報道したら二人に激怒され、ジャニーズ事務所のタレントが使えなくなる=視聴率や部数が減る=売上、利益が減ることを恐れて、目をつぶっていたということだろう。極めてシンプルな理由である。
9/7の(謝罪)記者会見でのメディア記者からの厳しい質問を聞きながら
「ジャニー喜多川氏とメリー喜多川氏の生前に、同じような質問をするべきだったのでは。生前はできなかったくせに、何をいまさら!」という感想を持った方は多いのではないか、私もその一人である。
正に、昔ツービート時代のビートたけしが言っていた歴史的なギャグフレーズ「赤信号みんなで渡れば怖くない」の状態。
メディアの沈黙と批判されている中で、唯一沈黙せずに告発していたと認識されているのが「週刊文春」だ。さらにいわゆる「暴露本」(これは非常に印象の悪いことばであって本来は「告発本」というべきだろう)の出版社もそれにあたるだろう。私は興味もなかったので1冊も読んでいない。なので具体的な内容は知らないのだが・・・
週刊文春の記事が出た当時(読んだ記憶はかすかにあるのだが)から最近までジャニーズ事務所のタレントに興味もなく、無関心だった。
ただし、ジャニー喜多川氏、メリー喜多川氏の生前に、「週刊文春」とともにメディアの中で沈黙していなかった月刊誌がある。それがタイトルに書いた「噂の眞相」である。
「噂の眞相」(略称:ウワシン)は今から19年前、2004年4月号で休刊してしまったので、本noteへ投稿、愛読している若い人(現在65歳の私からすると50歳くらいまでは皆若い人に入る:笑)たちの中にはまったく手に取ったことが無い雑誌かもしれない。例えば今40歳の人であれば休刊は21歳の時だ。
21歳の頃にウワシンを読んでいたのは、よほどメディアやジャーナリズムに興味のあった人だろう。私自身21歳の頃=大学生時代は、もっとお洒落な男性誌などを読んでいた。
普通雑誌の休刊は「発行部数が減少傾向で売れていない=赤字」「スキャンダル的な記事、重大な誤報記事掲載等の批判の責任を取る」などが理由だが、ウワシンは売れていた「黒字雑誌」であるにも関わらず休刊した、珍しい例だ。名誉棄損などで裁判になった記事も多かったのだが・・・
私がウワシンを最初に買ったのは、いつごろか覚えていないが、少なくとも休刊になった2004年までの10年間くらいは、毎月欠かさず買って(値段も500円を切っていた、確か470円くらい)毎月楽しみに読んでいた。
その中でジャニーズ事務所関連の記事、特にジャニー喜多川氏の性加害(ウワシンでは別のワードが使われていたが)については、主にウワシン記事情報で知った。といってもあまり興味がなかったので流し読みをしていたように記憶している。ほかに政治家、官僚、文化人、作家、芸能人などのスキャンダラスな記事が毎月たくさん掲載されていて実に面白かったのだ。
特に作家のスキャンダル(多くは男女関係や不倫)は文藝春秋や新潮社ではなかなか書けないと言われていて(真偽はともかく)、ウワシンが最も得意とする分野だった。とにかくウワシンは何の忖度なく、知り得た情報はなんでも書くというスタイルで、そのジャーナリスティックなスタンスが多くの読者を獲得していたと思う。
バックナンバーは結構なボリュームだったので大分前に処分してしまったのだが(今考えると貴重な雑誌だったので取っておけばよかったと後悔)、休刊号(2004年4月号)と同時期の休刊記念別冊の2冊は今でも大事にとってある。
久しぶりに休刊号をパラパラとめくっていたら、ウワシンの巻頭のモノクロ写真グラビアには、何と9/7の記者会見にも登壇していたジュリー・景子氏が「ジャニーズ後継者」として紹介されていた。「3年B組金八先生」に生徒役で出演していた景子氏のスクショ写真も。
文章の一部を引用させてもらうと「~(略)~先頃ジャニー喜多川によるジュニアへの「ホモセクハラ」をめぐる高裁判決が確定したが、これにより本誌が再三報じてきたジャニーの「少年愛趣味」もついに立証されたわけである。だが、にもかかわらず、ほとんどのメディアは相変わらず沈黙を守ったままだ。情けない!~(略)~」
やはりウワシンは当時沈黙していなかった。
ウワシンといえば何といっても有名人は、編集発行人の岡留安則(おかどめ・やすのり)編集長だ。
岡留編集長は、ウワシン休刊の後、東京から沖縄・那覇市に引っ越し、そこでも執筆活動や言論活動をされていた。残念ながら2019年1月に71歳の若さで亡くなられた。
私は沖縄・那覇で2回(2013年6月と2014年6月)岡留編集長と会うことができた。
その2年は、沖縄・那覇市で沖縄県、市町村の管理職員への「危機管理研修」(2013年=2日、2014年=1日)の講師の仕事で那覇のホテルに宿泊、その合間をぬってインターネット等で知った岡留編集長が実質オーナーの那覇市内のバーに行ったところ、岡留編集長がそのバーにいらして・・・
2013年に初めてお会いした時は、興奮気味にウワシンを毎月買っていた愛読者だったことと、今回那覇に来た理由を述べて簡単な自己紹介をした後、持っていた新書(「編集長を出せ!『噂の真相』クレーム対応の舞台裏」:ソフトバンク新書2006=表紙写真)にサインをねだると、岡留編集長は「サイン入りだと古本屋で売れなくなるよ」と。もちろん「売りません。家宝にします」と伝えると、笑いながら私の名前宛にサインをしていただいた。もちろんツーショット写真もある。そしていただいた名刺も今では宝物である。
翌年の2014年は1年前に一度お会いしていたので、その時も前述の休刊記念別冊にサインをしていただいた。特に2014年は、バーの客(結構な繁盛店だった)が帰った深夜、朝の3時ころまでカウンター席で2人で飲みながら、ウワシン時代の面白いエピソードなどを聞かせていただいた。タクシーでホテルに帰る私をバーのあるビルの前の道まで見送っていただき。
本当に貴重な体験だった。
岡留編集長と生前会ったり、飲んだりした人はみんな同じことを言うのだが、ウワシンのような雑誌の編集長なので強面で少し怖い方かと思うと(お顔は少し怖い:笑)、実に優しい方だった。語り口も実に紳士的で。
現在、岡留編集長が生きていらしたら、当然今回の件で各メディアからいろんなコメントが求められていただろうし、もしかしたら自らYouTubeチャンネルをすでに立ち上げていて、そこから発信していた可能性もある。
ジャニーズ事務所に対してだけでなく、当時の沈黙のメディアに対しても的確な厳しい意見を述べたに違いない。それが聞けなかったのが誠に残念である。
メディア関連ではないのだが、私が趣味として40年以上どっぷりつかっている日本映画の世界(特に旧作日本映画)。
映画監督、俳優、映画スタッフ、映画評論家などこれまで数多くの方と知り合い、親しくさせていただいてきたが、その中の一人が東宝出身の映画監督=小谷承靖(こたに・つぐのぶ)監督(2020年12月、84歳で死去)。
私が敬愛し、個人的に研究を続けている成瀬巳喜男監督の3本の助監督、そして川島雄三監督は1本(『箱根山』)の助監督など。
その小谷監督が、フォーリーブス主演の映画『急げ!若者 TOMORROW NEVER WAITS』(1974 東宝)の監督をしている。インターネット上の作品紹介には製作=田波靖男(脚本も)、ジャニー喜多川とある。
この映画は、小谷監督から電話があり「今渋谷の名画座で私が監督をしたフォーリーブスの映画が上映されているので、たまには私の映画も観てください」と。その時に観に行った。
さすがに私も世代的にフォーリーブスは知っていたので、なかなか楽しんで観賞した。内容は思ったよりシリアスだったが。友情出演とかでデビューしたての郷ひろみも出演していた。
小谷監督も今生きていらしたら、今回のジャニーズ事務所の一連の騒動をどのようにコメントしたか、と考えてしまう。
明日10/2のジャニーズ事務所の記者会見は、またYouTubeでのライブ配信を見る予定。メモをとりながら個人的に検証、分析して、本noteと前述のYouTubeチャンネルにアップする予定だ。
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