「たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説」(辻真先著)について
本日Noteデビューした平能哲也(ひらのてつや)と申します。 よろしくお願いいたします。
私はこれから、本業の専門である
・「危機管理=リスクマネジメント&クライシスマネジメント」
・不祥事等発生時の謝罪会見などに代表される「危機管理広報=クライシス コミュニケーション」
については適時まとまった原稿を発信していきます。
また、あくまで趣味の分野ですがもう一つの専門といえる「映画」「映画監督」研究もあわせて書いていきます。
その他にも、「音楽」は40数年聴き続けているジャズ、クラシック、1970年代くらいまでのロック、j-POPなど、そして同じく40数年のファンである「落語」、「美術」「神社仏閣」なども書いていきたい。
日々気付いたこと雑感は「エッセイ」の形で。 最初の投稿は「エッセイ」で、最近読んだ面白い本についてです。
タイトルの昨年発売されて評価の高いミステリー小説「たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説」(辻真先著 東京創元社)を書店で購入して読みました。最近は図書館で借りることが多いのですが、本書は最新刊で人気作なので、うちの近所の図書館を検索したら予約者30人とかになっていて。
概要は下記の出版社のウェブサイトを参照。
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488028107
私は昭和33年生まれ(63歳)なので、昭和24年のことはよく知りません。 ただし私は前述のように映画、特に古い日本映画を数多く観ているので、昭和24年公開の映画もその中にはいります。小津安二郎『晩春』や黒澤明『野良犬』などからその当時の街の雰囲気はなんとなしにイメージできます。
作者の辻氏は、ご自身の体験からその当時の名古屋や愛知県「湯谷温泉」について詳細な描写をされていて、東京生まれ育ちの者として新鮮な感じを受けました。名古屋には仕事で何度も行ったことがありますが、各地域に詳しいわけではなく、おまけに空襲で焼け野原になって復興過程の名古屋のこを読んだのは初めて。
男女共学になったばかりの高校の映画研究会と推理小説研究会の生徒たちがメインの登場人物なので、当然ミステリー小説や当時の映画(外国映画、日本映画)のタイトルや俳優などの単語がちりばめられていて、古い映画=クラシック映画ファンとしてはそれだけで楽しい。
私がこの作品で最も感動したのは、何といってもラストの文章のサプライズです。殺人事件のトリックや動機、犯人などミステリー小説の要素も楽しめたのですが、なんといってもこの小説はラストに至る構成が素晴らしい。
ミステリー小説なので「ネタばれ」は避けたいので、未読の方には是非オススメしたい作品です。
本作品についての批評や意見は、インターネット、SNSなどに沢山あり(note上にもおそらくあるかと)、私も読了した後にいろいろ読んでみたのですが、その中にはなかった私独自の解釈を一つ紹介します。といってもあくまで推測の域は出ませんが・・・
かなりレアな古いフランス映画に『アンリエットの巴里祭』(La Fete a Henriette)があります。
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督が1952年に撮った作品で、日本では1954年に公開。映画のジャンルとしては「喜劇」となっています。
この映画は以前DVDで発売されていたのですが確かレンタル禁止扱いで、現在は廃盤になっているようです。BS等でのテレビ放送も私の記憶では少なくともここ30年くらいは無いように思います。私はDVDを購入して観ていますが、断捨離でCDショップに売ってしまったので今は手元にありません。売るんじゃなかったと後悔しています。
この映画の主人公は二人の脚本家で、二人がストーリーを語ると、その場面が映像化されてという手法で、ストーリーの中の一組の恋人同士(アンリエット=ダニー・ロバンとロベエル=ミシェル・ルウ)がいろいろな事件に巻き込まれつつ、ラストは7月14日の巴里祭の晩に婚約するというハッピーエンドです。
ところがこの映画もラストにあっと驚くというか、なんとも洒落たサプライズ演出があります。私はこういう洒落た演出の映画が大好きで。
インターネットでこの映画を検索すると、ストーリー紹介がされているので「ネタばれ」がOKであればそれを見てください。
元に戻ると、「たかが殺人じゃないか」の作者の辻真先氏は、物凄い映画マニアでもあるので、本作は『アンリエットの巴里祭』からヒントを得たのではないか」と思っているのですが、どうでしょうか。 作者のインタビューでもそんなことは言っていないようなので、あくまで私の推理なのですが・・・
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