子どもにとっての小1の壁こそ注意が必要!親が家庭でできること
小1の壁。
本来は子どもが小学校に入って経験するさまざまな変化・困りごとのことです。
親、とくに母親に訪れる「小1の壁」が話題になることがありますが、大切なのは「子どもにとっての壁」を親が見つけて対応していくことです。
私は言語聴覚士として10年間、就学前のお子さんのことばと心の発達の療育に従事していました。
小学校に入学したあとのお子さんの心の変化や、つまずきの背景にあるモノを現場で見て「小学校入学は子どもにとって、とても大きな変化なんだ」と深く感じています。
この記事では、私の娘が小学校の入学してしばらくの間、気をつけてかかわっていたことについて紹介します。
親は自分の仕事の変化に頭を悩ませることもありますが、お子さんのメンタルが安定することを最優先で、家を安心できる場所にすることを心がけてください!
小学校に入って変化すること
保育園や幼稚園から小学校へ入学することで、お子さんは時間の使い方や環境が大きく変化し、今までの生活からの変化に戸惑うことも多いです。
6~7歳の子どもの成長にどのように向き合えばよいかを発達や学習の観点から考察しながら、私は娘とていねいに関わっていきました。
「小1の壁」にみられる以下の変化で、子どものメンタルに異変が出ないか十分に気にかけていました。
環境
学習
新しい友達関係
時間の使い方
環境
初めて行く場所には不安やストレスは大きいです。
ここでは何が起こるのか、何をすればいいのか、の見通しをたてる力も未熟です。
学童を利用するお子さんであれば、さらに場所や人の変化に対応していかないといけません。
時間・場所など決まりや守ることが多くなります。
学習
入学してすぐは、娘の学校では学校探検や上級生との交流などがあり、午前中で下校することが多かったです。
慣れてくると、少しずついすに座って先生に注目をしながら話を聞くという時間が増えてきます。
学習する準備が整っていることが大切で、いすに座り続ける体力も必要です。
先生のいう事を一度に理解をする
長い話を聞き分ける理解力と記憶力
正しく先生や友達に注意を向ける
集中をして自分の意欲をコントロールする
など、いくつもの力を働かせて学習に取り組みます。
新しい友達関係
初めて一緒のクラスになった友達とコミュニケーションをとることで、友達が増えて楽しい時間も増えます。
遊びを通して友達関係が親密になり、ことばを通じた理解や表現ができ一段とコミュニケーションスキルも高まっていきます。
相手の事を考えたり、想像しながら心が豊かに育っていきます。
一方、ことばの使い方がうまくいかなかったり、友達との距離感がとりにくいなどで、トラブルになることもあります。
決められた時間と場所で、他の子どもと一緒に過ごすことは、お子さんにとって大きなストレスになることもあるのです。
時間の使い方
小学生になると、保育園や幼稚園の時のように、自由に過ごす時間が極端に減ります。
学校は教科学習だけをするところではありません。
学校では時間の使い方を自分で考えて、決まった時間で決まったことをすることになります。
時間は感覚的にとらえにくく、時間感覚や概念は1年生ではまだまだ育っていないこともあります。
学校では、時間がきたらすぐに切り替えて次の工程に進む場面が多いです。
例えば
体育の時間までに体操服に着替えて準備をして運動場や体育館に移動をする
図工の時間では、お道具セットを用意・片付けをする
決められた時間内に、給食を食べて片づけや歯磨きをし終える
トイレに行くタイミングに気をつける
など。
一度にいくつかのことを同時に考え、時間を気にしながら行動をしていきます。
家を安心できる場所に
私が大切にしていたことは子どもにとって「家を安心できる場所にすること」
1日学校に行って、元気に帰ってきただけでも花マルです!
学校で、すでに子どもはがんばっています。
環境の変化と時間の使い方に戸惑いながらも楽しんでいる様子は頼もしくもあります。
下校した子どもには「先に宿題をして!」ではなく、子どもが一番やりたいことをさせていました。
何も考えず楽しく好きなことをするように。
学習面は気にしない!!
わたしの娘がよく楽しんでいたことは
・お絵描き
・アクアビーズ、アイロンビーズ
・ピアノ
・工作
・パズル
などです。ゲーム機は持っていません。
リラックスして心と体を休めるための家で、娘のやる気をなくすような声かけはしないように気をつけていました。
「宿題は?」「先生の言うこと聞けた?」「ちゃんとできた?」などは言いません。
わたしは勉強に関することを細かく言わず、笑顔で明るく接していました。
勉強をするようには言いませんでしたが「学習の基礎になる力」を育てるための取り組みをしっかりとしていました。
机に向かって、教科書で習った同じ文字を何度も書いて練習するような宿題より、学習の基礎になることはたくさんあります。
次に家庭でできる「学習の基礎をつくる方法」を紹介します。
家庭でできる「学習の基礎をつくる5つのこと」
ここでは、言語聴覚士のわたしが意識していた家庭でできる「学習の基礎をつくる方法」を紹介します。
学習の基礎になる力をしっかりと家庭で育ててあげることが、何より重要だと考えています。
ポイントは「勉強以外のことを充実させる」です。
きっちりと机に向かった読み書きなどの学習はしません。
以下は家庭でできる「学習の基礎をつくる5つのこと」です。
生活習慣を身に付ける
体力をつける
細かい作業ができる
コミュニケーション力をつける
集中力をつける
生活習慣を身に付ける
生活習慣の中でとくにわたしが意識していたのが「睡眠」です。
小学1年生の子どもに必要な睡眠時間は約9~11時間とされています。
睡眠は体とこころの休息と、注意力・記憶を高めるために必要と言われます。
寝る・起きる時間を決めて習慣化させると、他の生活習慣も安定するので子どもも見通しをたてて行動ができます。
1日学校で過ごした子どもは、脳も体もとてもつかれています。
自分では感じていないストレスも抱えているかもしれません。
親として一番気をつけていたことは、20時半には寝室にいって布団に入り、21時には睡眠できるような生活リズムを整えたことです。
21時に就寝するには、帰宅後の過ごし方を細かく親が誘導する必要があります。
入学して、夏休みが始まるまでには特にしっかりと生活リズムが整うように気をつけていました。
21時に就寝すれば、朝6時半くらいに起床でき身じたくは間に合います。
朝スムーズに起きられることで、その日の学校生活をゆとりをもって送れているようでした。
その他の習慣で大切なのは「食事」です。
わたしは決して料理が上手なわけではありませんが、何とかバランスよくなるように。
そして、家族みんなで食卓を囲って、笑顔で会話ができるような空間になるように意識していました。
食事、睡眠のリズムが崩れないように、規則正しい生活を作ることが一番の母としての仕事でした。
体力をつける
重いランドセルを背負って、小さい体で毎日歩くには体力もいります。
わたしの家は自然に囲まれた地域にあります。
放課後や休日は山や木、畑や川で遊ぶように心がけていました。
体幹や腕の力をつけるような木登りあそびや、ロープにつかまってターザンの様に遊んだりしていました。
その他にも、おにごっこ、なわとび、ボール遊びなど、娘がやりたい遊びを取り入れていました。
体を使う遊びには、以下の効果があります。
走る、飛ぶ、回るなど、体を大きく使う遊びを繰り返すことで、椅子に座り続ける筋力がつく。
学習に必要な目の動きや姿勢の調節ができるようになる。
大きな声で笑ったりしゃべったりすることで、肺活量も増え心肺機能も働く。
遊ぶことで体力がつき、楽しい経験もかさなり親子の会話も膨らみます。
細かい作業や遊びをする
指先を細かく動かす動作は、ことばの発達にもよい影響があります。
娘は、折り紙、工作、パズル、ブロック、レゴ、アクアビーズなどが好きで、細かく指を動かして作業をしていました。
このような遊びは、形・図形ものの位置、比較、など算数的な考え方の育ちにも影響するので、普段からも遊びの中によく取り入れていました。
小学1年生が身に付けたいのは、量、時間、速さ、順序、まとめて考える、分ける、などの力です。
日常生活の中で感覚的に身に付くように、遊びの中で経験してもらいました。
生活の中では「お手伝い」もおすすめです。
洗濯ものをたたむ、料理をする、そうじをするなど、手先を動かして作業をするのでとても頭を使います。
お手伝いを通して親とコミュニケーションを取る時間が増えます。
ことばも覚えて知識がつき、知識は別の場所で生かされて知恵となって発揮していきます。
コミュニケーション力をつける
小学1年生は、自分の気持ちを現すことばをたくさんもってはいません。
家では娘とのコミュニケーションを密に取るようにしていました。
わたしが学校の話を娘に聞く時は、答えやすい質問、思い出しやすい内容にするように心がけていました。
「学校どうやった?」という聞き方は子どもは答えにくいです。
具体的に聞くと、答えやすく記憶がつながって自分から話すことも加わります。
例えば
「昼休みは外で遊んだ?」「〇〇ちゃんと教室で何をした?」「体育館で遊ぶ時は誰と行くの?」と、状況や時間の流れに沿って具体的に聞くと答えやすいです。
学校であったことを記憶できているかや、どんな風に話を組み立てているかを確認しながらコミュニケーションをとるようにしていました。
家で親に話しを聞いてもらえると、子どもはうれしく「受け入れてくれている」と感じます。
豊かな表現力や、思考力を育てるためにもことばを使ったコミュニケーションを!
集中力をつける
5分でも10分でも、何かに集中する時間を作るようにしていました。
家では学校の勉強のことではなく、娘の興味や関心のあることを集中できるようにしていました。
外で体を使って遊ぶことでもいいですし、お部屋でお絵描きやパズルなどをすることでもいいです。
とにかく「非言語」の力を使うことを集中して続けられるように取り組むことをおすすめします。
子どもをとにかくほめる
親として子どもにできる事は、これだけでも十分です。
子どもは「自分はできるんだ」「お母さんにほめられて本当にうれしい」こんな風に感じることで、自己肯定感が高くなります。
うまくできた事、新しく覚えた事、体験した事を親子で話し、子どもをおおいにほめることです。
〇〇したらおかしをあげるのような成果報酬ではなく、「うれしい」「力になれた」「うまくできた」という小さくても「できる・うれしい経験」をしっかりつくることです。
遊びの中で具体的にほめる
子どもがやりたい遊びをとことん一緒にすることで、ほめる機会をつくります。
チャレンジしたこと、好きで集中できたこと、家族のためにできたことなどどんな小さなことでもかまいません。
具体的なほめ方
いすにすわって30分もお絵描きできているね!すごい!
アクアビーズでカラフルにたくさん作って器用だね
お友達に書いたお手紙の字をよくかけているね
作ってくれたお味噌汁がおいしいよ
など、娘がやったことに声をかけてほめるようにしていました。
スキンシップをとる
わたしは、お風呂の時間、寝る前など娘と一緒にいる時間にスキンシップをとるようにしていました。
時々ぎゅっと抱きしめて頭をなでてあげることも大切です。
1年生の子どもは、気持ちや体の状態の変化をことばにする力はまだまだ未熟です。
自分が感じているストレスには気が付かない、ことばにできないことがあります。
母親からのあたたかいスキンシップで、心を満たしてあげられるように。
わたしは娘が布団にはいった時に、足のふくらはぎと足の裏をマッサージしてあげていました。
娘はそれがとても好きで、一緒に話をするうちにいつのまにか眠っていました。
まとめ:小1の壁の子どもの変化を知って親が家でできることを大切に
新しい環境に身を置く小学1年生は、心も体もしっかり成長していきます。
親は家を安心できる場所にすることを最優先に、子どもの自己肯定感を高められるような関わりを大切にしていきましょう。
わたしは娘が保育所まではフルタイムで勤務していました。
子どもに見られる小1の壁をしっかりサポートしていきたいと思い、時短勤務を経て、転職をしました。
下記記事で働き方を変えてよかったことを紹介しています!
小学1年生の子どもの心をサポートするには「時間」が必要です。
子どもにゆっくり向き合える時間と環境を作ったことで、子どもの発達や成長を感じることができました!