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サクッと解説&私見 | 元MRが語る今話題の肥満症薬と製薬メーカー(投資家目線)

今日のnoteはこんなテーマで書いてみたいと思います!

あ、完全に経済ジャーナリスト後藤達也さんのnoteの感じをパクらせていただきました🙇🙇🙇(怒られそう・・・。後藤さん、勝手にすみません!)

でもね、後藤さんのnoteは、マジで課金する価値があるので、個人的には超オススメです!

書籍も最近出されたので、noteのサブスクまではちょっとという方は、こちらを購入されてもいいかもしれません!(株初心者の人でも、めちゃくちゃわかりやすく投資を学べます!)

ということで、まずは"推し活"からスタートしたこのnoteですが、まずもって、なんでこんな記事を書こうと思ったか?からお話ししたいと思います。

私、製薬会社に勤める人間として前から思っていたことがあるんですよね。今まで業界の仕事を通じて得てきた知識をもとに、このnoteを読んでくださる皆さんに何か還元できるものはないだろうか?って。

noteを書いている中で、今までの知識の掛け合わせというか、スキルの掛け合わせというか、そんなことを提供できたらいいなって思っていたところで今回の投稿ネタを思いついた次第です。


今、投資の世界では、エヌビディアを中心とした生成系AIの話題でかなり持ちきりじゃないですか?(実際、来週の決算発表もドキドキです。。)

でもそんな表舞台の反対側、言わばプロ野球中継における"副音声"的なところで盛り上がりを見せているのが、「肥満症薬」メーカーに対する投資。

世間の目が圧倒的にGAFAMやマグニフィセントセブンと呼ばれるITジャイアントに向いている中、虎視眈々とその"神セブン"に迫りつつあるのが、「イーライ リリー」と「ノボ ノルディスク」という肥満症薬の製薬メーカー2社なんですね。

日本経済新聞記事(画像にリンク貼付)より引用

この急激な上昇を受け、イーライ リリーの株式時価総額は、既にテスラを上回りました。また、ノボ ノルディスクも先日LVMH(ルイヴィトンの会社)を抜き、欧州での株式時価総額トップ企業となりました。

でもね、みなさん知りたくないですか?なんでこの2社なの?って。
そもそも、肥満症薬ってそんなに売れるの?って。

今日はその辺りについて、製薬関連産業に20年勤務する著者が、独自の目線で解説&私見を皆さんにお伝えしたいと思います!


そもそも2社は、糖尿病治療薬の老舗製薬企業


製薬会社というと、なるべく早期の段階から当たりそうなくすりのタネシードを見つけてきて、それを保有するバイオベンチャーと提携あるいは企業買収することで新薬の開発を行い、FDA、PMDAといった規制当局から承認を得て世に広く販売し、利益を得るというのが一般的なビジネスモデルになります。

一方でこの2社は、糖尿病治療の源流とも思われるインスリン製剤を世に広めてきた会社なんですね。インスリンが発見されたのが今から約100年前の1921年。その頃からこの2社(正確には、前身となる企業)は、インスリンや糖尿病治療と深く精通し、糖尿病領域でのビジネスを確立してきたんですね。

そんな糖尿病治療薬の開発を進めていく中で、まるで兄弟のように「糖尿病」といつも隣り合わせにいたのが「肥満症」という疾患。糖尿病領域にどんなに画期的な新薬が生まれようとも、2型糖尿病患者さんの治療の根っこにあった問題が「肥満症」。

この"そもそも論"をなんとかしないことには、どうやったって糖尿病治療への影響が出てしまう。糖尿病治療の効果・効率性コスパ・タイパを上げるためにも、「肥満症をどげんかせんといかん!」というのが、この2社には長年想いとしてあったんだろうなって思います。まさに長年の歴史が創り上げてきたシナリオなんですね。

肥満症薬のメカニズム作用機序自体は、実は新しいものではない


今話題に上がっている「ウゴービ」「ゼップバウンド」という2つの肥満症薬は、カテゴリーとしては、「GLP-1受容体作動薬」と呼ばれる区分に分類されるものです。

この作用機序のくすり(第一世代)は、実はもう10年以上前から糖尿病治療薬として販売されてきた実績があるんですね。言わば今回新たに発売されたGLP-1受容体作動薬の第二世代のものなのです。

実は、第一世代の頃から、この種のくすりに関する"体重減少効果"については言われてきたことでした。ですので、シナリオ自体が最近になって生まれてきたわけではないんですね。

言い換えるなら、第一世代で使いづらかったところを改良して、より患者マーケットの広い肥満症治療にも十分対応できるようにした製品が、第二世代のGLP-1受容体作動薬と言えるかもしれません。

iPhoenなんかで考えてみても同じですよね?初代iPhoneより、後継機(たとえば、iPhone 3Gなど)の方が売れましたよね?あれと同じことです。

要は、世に既に出されている同系統の製品がそもそもあって、それをより使いやすくしたから、今回満を持して世界中で発売されはじめた。というのが現在地だと私は理解しています。

この新しい肥満症薬は、本当に売れるのか?


投資家目線では、みなさんココが気になるところだろうと思います。😎

ですが、結論からいうと「わからん!」の一言ですw

まぁ売れることがめちゃくちゃ期待されているので、株価が爆上がりしているわけですが、今はまだ完全に期待が先行して株価が上がっているだけなのです。アメリカで発売されてからも1年も経っておらず、イーライ リリーの製品に至っては、ようやく昨年末からアメリカで「さぁ今から売り出すぞ!」といった段階です。

株価急上昇の要因、それは恐らく、触れ込みでの薬剤そのものの効果性の高さ。(つまりは「めっちゃ痩せれるらしいよ。」といった噂。)

私は肥満ではありませんし、そもそも日本では、まだ発売前(投稿時点では)ですので、当然使ったことはないのですが、Webサイトでいろんな情報を見た限りでは、製品としての効果性は恐らく本物だろうと思います。(あくまで個人的な予想です。)

だが、しかしです!これ、ボタンを一つ掛けちがえて、間違った知識や情報・噂がブワっと世の中に広まってしまったら、製品の良さが生かされないまま売れなくなっちゃうシナリオも十分にあり得る話だなって、私思うんです。

添付文書を読んでも、適応となる患者さんについてはこう書いてあります。

肥満症 ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当 する場合に限る。
・ BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する。
・ BMIが35kg/m2以上

ウゴービの国内添付文書より抜粋

ここにめちゃくちゃ大事なことが書かれていますね。

  • そもそも、それなりの肥満でなければダメ
    (ダイエットしたい女性がみな使えるわけではない)

  • いわゆるメタボ疾患を複数持ち合わせてないとダメ
    (やっぱり、ただ痩せたいだけではダメ)

  • 食事・運動療法を行なっていないとダメ
    (ラクして痩せたいではない)

そもそも、ここまで自身の肥満症に”真摯”に向き合える人が、世間一般(というより多くはアメリカ人に)どれくらいいるのだろうか?って思うんですよね。私には若干??です。

また、この薬による”治療”が、患者さんご本人の"Quality of Life(生活の質)"や、"Well Being(幸福度)"をどれくらい改善するのか?というのも気になる点です。

患者さんご本人の意思が、「体重をダウンさせることで、もっとアクティブに、より精力的に毎日を過ごせるようにしたい!」というものであれば、きっとこの薬は大きく患者さんの"Quality of Life"や"Well Being"を改善してくれるでしょう。

ですが一方で、「週末は家でゴロゴロ、Netflixを見ながら、ポテトチップスをつまむひと時(いわゆるカウチポテト)が幸せ」といった思考の患者さんにとっては、この肥満症薬での治療は、きっと苦痛でしかないでしょう。

肥満症で悩まれている方々が、いかに「日々の生活をより健康的なものに変えたい!」と思うかどうかが、このマーケットが拡大していくか否かにかかっていると私は思います。

私が期待している肥満症薬のある未来


最後にこんなことを書いて今日のnoteを終わりたいと思います。

ここまで書いてきたように、正直ね、私どっちにも転ぶ可能性あるなって思うんです。

  • 思っていた以上に売れる!
    (名実ともに、神セブン入り!)

  • 思っていたほど売れない・・
    (株価急落。とまではいかないと思いますが、横ばい。)

結局は、くすりって効果性どうこうの前に、使う人の"Quality of Life"や"Well Being"が高まるか否かが大事だと思うんですよね。どんなによく効くいいくすりが仮にあったとしても、多くの場合において、くすりは補助的なものでしかない。これは使う側の私たち患者が肝に銘じておかなければいけないことなんです。くすりは、ドラえもんの道具とは違うんですよ。

だから、今回のケースでも、使う患者さんの中でマインドセットチェンジがセットで起こらないといけないんだろうなって私は思っています。

  • もっと彩り豊かな食事を楽しもう。

  • 自分らしい身近な運動を継続しよう。

こういった行動変容とセットになって初めて、くすりが適切に評価され普及し、ひいては素敵な未来が形成されるんだと思います。

したがって、私が肥満症薬メーカーの2社の方に期待していることはこんなことです!

ぜひいろんなレストランやランニングシューズメーカーとコラボして、日々がワクワクする健康的な食生活、運動生活を実現できるワークショップとかを開催して欲しい!

そして、是非とも、私が今投資しているランニングシューズメーカーさんとコラボして、肥満症患者さんが自ら運動したくなるような"ノボシューズ"、"リリーシューズ"的なコラボ商品を発売して欲しい!!

あ、ちなみにOnASICSが私の推しです✨ ^^)/ 

最後に半ば暴言ともいえる発言を入れてみましたがw、もし、これをお読みの2社の社員の方がいらっしゃいましたら、是非ご検討くださいね!^^

あと、2社への株式投資は必ず自己責任でお願いします!!

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました✨

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