2010年代ベストアルバム 90-81 @もそそ
前回までの記事はこちら。
今回は90~81位までとなっております。
90. Tame Impala - Currents (2015)
この作品で本格的に天下を取った良い転機となりましたね。それも納得できるくらい、前作と比べてよりポップとなり、持ち味であったサイケ色もよりとっつきやすくなった。The Less I know Betterはこの年を代表するナンバーとなり、一気に世界的なスターへと。個人的に気に入ったのが、最初の曲であるLet it happenでの仕掛け、ゲームボーイに入れたソフトが壊れて同じ音しか出さずにバグった、みたいな展開があるのだけれども、一気にそのギミックを見せるのではなく、伏線かの如く、徐々に徐々に鳴っているリズムが狂い始めるのが驚かされる。この作品自体、浮遊感たっぷりのサイケポップで心地よいのだけど、他のアーティストとは一線離れた、音楽の技術、プロダクションや、人々を踊らせる魔法みたいなコードがこの作品には沢山あると思うので、みんなこれを傑作と呼ぶのだろうし、その事実に勿論納得できる。
89. Troye Sivan - Blue Neighbourhood (2015)
なんかどっかのレビューにこの作品にこれといった文句や指摘したい点はないと書かれたものを見かけたことがあるんだけど、まさにその通りでデビューアルバムからこんなに良いアルバム出せるなーと驚いた。今や世界的スターで2ndではもうちょっと華やかさが出た作品となった一方で、この1stはインディーポップさがあって、その点ではロック好きにもアプローチ出来てるんじゃないかなと思う。他にも2ndではプロダクションなど1stより良い音でよりメインストリーム感がある作品ではあるが、1stの今作では作品全体に比較的ちょっと大仰気味なアンセムがずらりと並んでいて、この点でインディーっぽさを感じられて、成熟した2ndとまだ青臭さが残ってる1stのどちらが好きかってなったら、こっちのほうが好きだっていう結論に達した。
88. Mitski - Be The Cowboy (2018)
2018年は女性アーティストの年であったが、この作品はまさにそれの代表的なもので、去年色んなメディアが年間ベストで上位に挙げていて、最終的に一年を代表する作品となった傑作。どの曲も1~2分台とあっさり終わってしまい、理解しようと追いかけようと思ったら、次の曲に行く次第である。そして作品の雰囲気はというと全体的に憂いや儚げなムードであり、アメリカのニューヨークを拠点とするシンガーながらも、音楽はアメリカというよりも異国感に溢れたサウンドでどこか懐かしさもある。でもメインはどちからというとMitskiのヴォーカルの方であり、これもまた儚げにしっとりと歌うMitskiの声には歌心があり、この歌唱があったからこその傑作だなと思う。1~2分台の楽曲ばかりで勝負に出てるなと思いきや、作品自体もとても良くてまさに一年を代表する作品なのも納得である。
87. Florence + The Machine - How Big, How Blue, How Beautiful (2015)
2015年にリリースされた3rdとなるこの作品はキャリア史上に壮大で美しい。前作までの路線はどちらかというとコズミックで音楽的にはエレクトロな側面も強かった。一方で今作はもっと自然的で人間的で伸び伸びとしたイメージへと変わり、前の路線とは違ったベクトルの美しさを持っている。その原因となっているのは、今作序盤でのオーケストラサウンドや、ピアノなどの生音が目立っており、それまでの音楽では感じられなかった新しい側面が見えたからである。表題曲のHow Big, How Blue, How Beautifulのオーケストラはほんとに美しくて初めて聴いた時は感動してしまった。
86. TWRP - Together Through Time (2018)
一回見たら忘れられない変装軍団の初のフルアルバム。B級感漂うコスプレを身にまとっている人たちから出す音とは信じられないほどの、しっかりとしたテクニックや繰り出すグルーヴのレベルの高さに驚かされる。そして作品自体も完全に80年代をリスペクトした出来上がりで、ファンクポップだったり、AORもあったりして、めちゃくちゃ夏にぴったり合う爽やかな作品となっている。ヴォーカルはDaft Punkみたいに声を加工して歌っており、そして幾つかのゲストアーティストを招いているので、アルバム全体に彩りがついており、「完璧に夏に合う作品」へと完成度を高めている。夏の暑い時期がまた来たら、最初から最後まで聴いて、爽やかさを感じ取ってほしい。勿論どの季節に聴いても良い出来である。
85. Death Grips - Government Plates (2013)
ここまで混沌や狂暴に満ちたインダストリアルノイズなサウンドなのになんでこんなに聴きやすいんだろうと思う。昔だったらイントロ3秒で「あ、もういいです」ってなったんだけど。こういったのも色んな音楽に好奇心を持って試してきた結果かもしれない。特に今年はJPEGMAFIAやInjury Reserveなど実験的なヒップホップを聴いて良さを見出してきたので、Death Gripsにハマるのも必然的だったのかもしれない。まだ今年知ったばっかのバンドとは言え、その衝撃的な音楽に魅力を引かれたのだけれども、これからもどんどん知っておきたいと思った。アルバムの感想が皆無なので言わせてもらうと、どの曲も面白い音が鳴っているなと思う。独特のリズムで、ロックで培った自分の知識からは全く別の方向で成り立っている摩訶不思議な曲のフォーマットに、聴いていて面白く感じながら、頭を振りたくなる。ロックばっか聴いてたらこうした先の読みにくい展開のある音楽に出会わなかったかもしれない。これだから音楽は面白い。
84. Bastille - Wild World (2016)
2010年代に最も推してるバンドの一つ。このバンドのインテリさがもっと認知されてほしい。1stのPompeiiのヒットシングルから前作から有名になったバンドだけれども今作に於いては、もっと世界を意識したような、規模の大きくなったポップロックへと進化していき、そして他には見当たらない要素としてこの作品にはほぼ全曲(全曲じゃないかもしれない)に、映画などの映像からの音声をサンプリングして自身の歌に入れ込んでいる。これによって、もともとの歌詞により解釈の余地を広げ、世界観をもっと深く構築している。前々のミックステープや、何なら今でもそうで、この手の技法はヴォーカル、ダンスミスのかなり得意にしているようで、最近のカバーソングにも平気で3~5つくらい他の曲を混ぜ合わせながらも完成度の高いマッシュアップを作り続けている。私はこのようなアイデアをしているバンドを他に知らなくて、色々なバンドを見てきたけど、賢いな!と思うのだけれども、日本でそういう所など、もっと知名度が向上されることを願う。
83. Father John Misty - God's Favorite Customer (2018)
タイトルとジャケットを見ると、このタイトル名はちょっと疲れた、憂いのある皮肉のように感じるのだが、今作はこれまでの作品より、ちょっとくたびれた感が出ているのだが、これがまた男のブルースを感じられて良い。そしてもとより、ジョシュア・ティルマンの歌唱も色気もグッド。作品自体も、一周まわって悟りを開いたかのような歌唱が聴こえてきて、なんかそういうのって不思議と説得力あるものだから、どんどんと声を聴くかのようにアルバムを聴き通してしまうし、曲もどちらかというと重い曲は無いから割かしこれまでのキャリアで最も聴きやすい作品なんじゃないかなと思う。
82. Linkin Park - A Thousand Suns (2010)
リンキンパークと言えば初期の音楽性に呪われたバンドであり、アルバムを出すごとに比較されてしまっていたが、かくなる自分もこの作品は最初そこまで好きじゃなかった。破壊力抜群のニューメタルロックは潜んでしまい、なんだか落ち着いてしまって激しさがなくなってしまったと。でも今になって聴いてみると出るのが早すぎた作品だと思う。サブスク全盛期に色んなジャンルのボーダーラインが無くなってきて、ヒップホップが人気な現在、この作品のロックだけに捉われない姿勢、ヒップホップ要素の強さや、アメリカの治安の悪化など考えると、この作品が今出てたらもっと多くの人に人気出たんじゃないかなあと思う。コンセプトのある作品で通しで聴くことも価値がある。2010年代に最も誤解されている作品の一つ。
81. Robbie Robertson - Sinematic (2019)
元々のザ・バンドでごく稀にヴォーカルしていたギタリストのロビーロバートソンだけども、他3人のヴォーカルが良すぎる上に、そこまで好きになれなくてソロを全然追いかけてないままだった。でも今年アルバムを出すと聴いて、しかもVan Morrisonと一曲出してると見たもんだから、曲を聴いてみたら、すごく素晴らしかった。めちゃくちゃ味がある。そして参加アーティストもクリスデイヴやピノパラディーノなど豪華で内容が益々気になって、いざアルバムを聴いてみると良い作品で驚いてしまった。ロビーの声は流石におじいちゃんだが逆に味があるし、元々映画音楽に携わっていたようだから、音響、音の響き方が凄い丁寧に作られ、豪華アーティストによるセッションも一流で、職人芸を感じるレベルの高い作品になっている。
次は7日~9日の間に出せたらなあと思います!
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