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2010年代ベストアルバム 40-31 @もそそ

こんばんは!前回の記事がこちらです!


40. Solange - A Seat at the Table (2016)

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8年ぶりとなるSolangeの作品は、個人的にはかなり異端な印象で、なぜなら21曲もあるっていうだけなんだけど、一曲二曲の後に人が話している小曲を全体に挟んでいて実質、歌となる曲は一般のアルバムと同じ。かなりユニークなアルバム編成で、それもこのアルバムのコンセプトは、女性の社会的地位の向上、自立、悲しみと癒しらしい。音楽を聴いているぶんには結構その点伝わるなと思うところが合って、スカスカな音の空間の中、Solangeのヴォーカルは姉のBeyonceとは異なるタイプで感情をこめて歌うよりかは、どちらかというと冷たいニュアンスが伝わってて、この辺のドライな歌唱が現在の社会に対しての思いなのかなという感じで、怒りを通り越しての悲しさや優しさなどがしっかりと伝わる。音数をかなりそぎ落としたR&Bな音楽性、Solangeのヴォーカルワークの存在感の大きさは間違いなく2016年の傑作ぞろいのアルバムの中でもかなり珍しいものだし、一年を代表する顔となるものとなっていると思う。

39. Slipknot - We Are Not Your Kind (2019)

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この作品に関しては結構時期てきなものが大きくて、と言うのも、今年の音楽シーンや、ロックシーンもどこか大人しくてそれは別に全然悪い意味じゃないんだけど、今年の名作は渋いものばかりでロックで評判高いものも、どちらかというとトーンは落ち着いたもので、「元気なものはないかな」とか思ってきた時に出たのがこれ。あと個人的に初期Linkin Parkみたいなニューメタル調な良作出ないかなと思っていたのも重なっていて、この作品においてはその需要を見事に適えるものであり、メタルファンからはこの作品の落ち着いた曲があるからか、音楽性がハードロック寄りかは分からないがやや賛否両論ではあるものの、個人的にはこれくらいのうるささはすごく丁度良く聴こえる。「ラップ+サビでクリーンヴォイス」のテンプレが世界中のバンドから量産されてきた中ではあるが、この作品においてはベテランバンドらしき安定感のある歌唱や曲のクオリティの高さに惹かれたし、かつラウド系な曲以外にもDavid Bowieを意識した曲もしっかり作られてるし、脳内に強烈なパンチもかましつつも、曲構成も練られていて、こういのが聴きたかったんだよなという元ラウドロックファンの数年の気持ちを叶える作品だなと思った。

38. Two Door Cinema Club - Beacon (2012)

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TDCCって結構実験的なバンドだよなと後々振り返って思ったのだが、この作品がリリースされたときはそんなことは一切思わなかったな。せいぜい前作のギターロックはダンスさせることに全振りしていて、今作はやや落ち着いたなとは思ったくらいなんだけど、聴き返してみると、前作からシンガロングできる曲が多かったが、今作でもその要素は形を変えて引き継がれていて、ギター要素もちゃんとありつつも前作にはなかったエレクトロ要素がプラスとなり、安定感がありながらもしっかりとシンガロングできる曲を作り上げていて、2ndとしては順当な進化を感じ取れる作品だなと思った。最初の曲のNext yearはライブ三昧のTDCCだからこそ書けるエモい曲だし、Somedayは1stを思い出すキラーチューン他、前半の6曲は全部アンセム級の曲になっている。この後はライブやりすぎて疲れてしまって活動も一時低下した印象のバンドであるが、無事に復活して出したアルバムはどれも個性があり、色々な作風を作れるバンドであることは分かるので、是非次も期待したい。

37.  Destroyer - Kaputt (2011)

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デストロイヤーとおっかないアーティスト名だなと思ったが、音楽を聴いてみると全然イメージと違うものであり、しかもそれはかなり予想を上回る傑作で驚いた。まず一番初めのChinatownのイントロの旋律の綺麗さに心惹かれる。この白黒のジャケットのイメージに合うどこかノスタルジックな音楽性になんでここまで惹かれてしまうのかというと、まずどの曲も旋律が綺麗だし、それを支える楽器隊が結構しっかりしていて、このジャンルにありがちな「ぼんやり続かせる」的な、退屈な展開はなく、楽器の演奏がすごく良くてついつい聴き入ってしまう。そしてその上に歌い上げるちょっと不器用なヴォーカルが逆に味が合って雰囲気が出ている。こういった洗練された演奏や優しくロマンチックのある曲は聴いていて非常に満足感あるし、これは一回聴いた時からこれは傑作だ!と驚かされるクオリティですごい気に入っている。

36. BROCKHAMPTON - Iridescence (2018)

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元メンバーAmeerが脱退した後かつ初めてのメジャーアルバムであることもあって、かなり気合いの入った作品である。実際Ameerと連絡を取っていたらしい噂があるのはまた別の話で、この作品において間違いなく上昇志向の高い作品になっているなと思う。前作となるSaturationとは打って変わってもっと実験的になっており、ビートはちょっとギラついた電子音が中心になっていて、その中でマイクリレーをこなすメンバー陣のラップはやっぱ人それぞれ個性があってカッコいい。とりわけJ’ouvertのJobaのシャウトはかなりガツンと衝撃があったし、今作からBearfaceも出番が増えて色々な曲に顔を出すようになった。攻撃的なトラックもあるが同時にメロウな曲も結構多く、こういったところが女性ファンの心をつかんでるなと関心する。アルバムの作り的に一から順番まで聴きたくなる作品であると思うのだが、こういったところが本人たちがThe BeatlesのAbby Roadを意識したといったところなんだろうか。Honeyなどの突然の転調といったところなど、ヒップホップらしからぬ展開のある曲が多いので、ヒップホップファンだけでなく、もっと世界に愛されるような作品を作りたいという意思を感じる意欲作である。

35. Fall Out Boy - Save Rock N' Roll (2013)

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ファンならわかるが活動休止前のギスギス感からいつ復活するのか全く予想つかない中で、突如復活してファンを驚かしたFall out boyが更にアルバム名として掲げたのが「ロックンロールを救う」といった頼もしさといったら最高だなと思ったよね。そしてそのタイトル名に合う通りにアルバムの音楽性は実にパワフルな出来となっており、パトリックのポップパンク界隈からは抜きんでてるソングライティング力がいかんとなく発揮しており、何もかも「ロック」的に踊らせたり、シンガロングさせたり、聴き入らせてしまう力のある曲で占められていて、「ロックンロールを救う」という言葉だけでなく、音楽でもちゃんと証明していて、リリースされたときはこういった力強いメッセージを掲げながら復活したFOBを見て何度も励まされたし、何度も何度も聴いた思い出深い作品である。今となっては2013年は一番ロックが充実した年であるなと思うが、そう思う理由にこの作品は深くかかわっている。

34. Mika - The Origin of Love (2012)

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正直失礼な話Mikaのこの作品をここまで上位にするヴィジョンが無くて、ランキングを作るにあたってちょっと聴いてみるか~の気分で聴いてみたんだけど、あまりにも完成された世界に驚かされた。
ここにはMikaにしかできないポップの世界があって、そのポップにしても、自身の声をロボ声にしてずっとコーラスに使った曲、ボップなリズムの曲、EDMを自己流にアレンジした曲やミュージカル風、バラード、80’s風のアンセムポップなど様々な形のポップがあって、かつMikaでしか聴けない音楽がここにあって、聴いていてこの完成されたポップに圧倒されて聴いていて楽しかったし、同時に感動すらも覚えた。Mikaって確かこのアルバム出す前は音楽活動にやや不穏なことを言及して、どっかで2nd出した後に引退しようみたいなこと見かけたんだけど、この3rdを出して日本でもすごく成功して、無事に音楽キャリアを築き上げた結果、何かのオーディション番組の審査員にもなったから、割とこの作品が本人的にも転機となる作品になったんだろうな。

33. Lost Cousins - In Scenery (2019)

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今年冒頭にドはまりした作品。自分は音楽を聴くときに重要な要素として、アルバム全体で見た時の整合性とか結構気にするんだよね。綺麗な流れで、中弛みすることなかったら、そのアルバムは好きになることがあるってざっくりな説明なんだけど、Lost Cousinsのこの作品、9曲30分くらいで非常にあっさりしてるんだけど、この時間の中で一切無駄なところがないんですよ。音楽性はインディーロックと言った所で、序盤はライブ映えしそうな曲で中盤にしっとりした曲、終盤に向けてインストを挟みつつ、美メロの曲と、全体の流れを見ると美しく完璧でそこがとても気に入っている。99位の記事で書いたthe Antlersは管楽器の音を交えた広大な景色が見える音楽と似たようで、Lost Cousinsはまだそこまで成熟した感じではないものの、爽やかさではLost Cousinsが持ち合わせていてここにThe Antlersみたいな成熟した感じがあれば、いよいよ自分好みのバンドになりそうなので今後も期待。兎に角収録時間の中で魅せてくれた音楽が完璧なのでこれを傑作扱いとなっている。

32. Janelle Monáe - Dirty Computer (2018)

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去年の年間ベストで一番か二番人気だったこの作品、最初聴いた時は良いなと思ったけど、そこまで人気になる理由が分からなかった。まあこのランキングそんな作品はそこそこ多いわけで当然のようにこの作品も後々好きになったわけですが、最初に気づいたのは「音の良さ」ですね。音がとても綺麗で滑らかに作られていて、その時点で聴いていて心地よい。ブライアンウィルソンを迎えた最初のトラックは、このアルバムの名作になる匂いがするし、そこからアンセム級のCrazy, Classic Lifeはただただカッコいい。そこから音が止まることのなく続く、take a byteもとても良い流れで美しい。中盤のScrewedはこのアルバム一番のアップテンポな曲でロック要素もありながら音がとても綺麗だから、ギターを聴くにしても、曲を聴くにしても綺麗で美しい。そこからGrimesを迎えて何曲か耳に残りやすいアンセムを作りながら、後半のSo Afraidや最終曲のAmericansで一旦内省的になりつつも最後には勇敢でドラマチックな展開を作り、この作品はほんと多彩なバラエティで驚かされつつも、アルバムにちゃんと流れが決まっていて、かつ音の綺麗さも高いし、ほんとにクオリティの高いアルバムだなと気づいた。

31. Stereophonics - Graffiti on the Train (2013)

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2013年はほんとに良いロックがあった年であったが、この作品は隠れ名作的な位置で、実際あんまりこの作品を語る人を見かけないんだけど、これは相当な名作だと思う。音楽的にめっちゃ渋い。渋いんだけど、めっちゃカッコいい。それはヴォーカルのケリーのハスキーな声がとても渋さに貢献しててこのヴォーカルの声があるからこそ、Indian Summerのアップテンポな曲も渋さが染み出てStereophonicsにしかない曲になったし、Been Caught Cheatingみたいなブルースも最近の若手バンドには表現できない味が出ている。こういったように渋さが前面に出た作品ではあるわけだけど、曲は不思議と聴きやすいのが自分が特に気に入ったところであり、Violins and tambourinesの最初落ち着いたところから徐々に熱くなるのもちゃんと「展開」が作られていて、ロックを聴いてる身としては非常に満足感が得られる。書き忘れたけどハスキーな声であるケリーは同時に歌もすごい上手いわけで、だからこそNo One’s perfectみたいなゆったりした曲も味が出て素晴らしい。次に出たStereophonicsの2015年の作品を聴くに、クオリティは悪くないんだけど、自分的には渋さが前面に出てたこのアルバムの方向性がとても好みである。

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