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1980年代ベストアルバムランキング50-1

100~51までの記事がこちら。

50位~

50. Philip Glass - Glassworks (1982)

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アメリカ出身の音楽家。彼の音楽はミニマルミュージックと呼ばれるようで、wikiによると音の動きを最小限に抑え、パターン化された音型を反復させる音楽などと書かれている。本人はこの呼称を嫌っているそうだが。まあ自分は最初そんな理屈なんか知らずにこの作品の美しい音楽に陶酔してたんだけど、確かにそう言われるとピアノや変な電子音の鳴り方がパターン化されててその反復でこんな綺麗な音楽作れるんだ!って改めて感心する。世界観的にクラシック音楽そのもので上品な演奏でリラックスできる。改めてコメント書きながら感心してるけど、パターンの反復でこんな美しいもの作れるんだ。。すごいな。。。ってなっている。

オススメ: 「Glassworks: Opening」「Floe」

49. Dire Straits - Brothers in Arms (1985)

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51位の作品で取り上げたものの次作にあたる。めちゃくちゃ売れたことでも有名であり、全世界で3千万枚を超えたとか。前作のプログレなアートポップ路線とは違ってこちらはポップロック。「Your Latest Trick」ではサックスの良い音で始まりつつ、ギターとの絡み方がほんとセンス良すぎる。曲の後半でもサックスソロがあるし、だいたい曲の後半にサックスソロがあるポップはだいたい好きだなー。「Walk of Life」なんか垢ぬけたブルースロックといった感じで、兎に角、音の鳴り方が同時代のポップロックより抜きんでてて、さすが優秀なプロデュース能力もあるマークノップラーの手腕だなと感じる。この作品はBrit Awardsでも最優秀ブリティッシュアルバムとしてノミネートされたり、グラミー賞でも「Money for Nothing」が最優秀ロックパフォーマンス賞を受賞している。

オススメ: 「Walk of Life」「Your Latest Trick」

48. The Replacements - Pleased to Meet Me (1987)

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78位にも取り上げたアメリカのロックバンド。このバンドの代表作「Let It Be」「Tim」といったオルタナロックより1stのハードコアパンクのほうが好きであり、この作品もそこまでかなと思ってたけど、最終的にThe Replacementsの作品で一番のお気に入りになった。爽快すぎるロックンロールで、特にドラムの力強い叩きっぷりが素晴らしい。「Alex Chilton」のイントロのギターの音からもう好きだし、「I Don’t Know」はやる気のあるNirvanaって感じの曲調で好き笑 一方、「Nightclub Jitters」ではジャズっぽかったり、「Red Red Wine」はthe Replacements流ハードロックといった感じでヴォーカルの強烈なシャウトがめちゃくちゃカッコいい。

オススメ: 「Alex Chilton」「Red Red Wine」

47. Prefab Sprout - Steve McQueen (1985)

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イギリス出身のロックバンドであり過小評価されていることで有名なバンド。Prefab Sproutの今作、ジャケ、音楽、ヴォーカルのパディマクアルーンの声、女性バックコーラス等何から何まで「青春」を体現している。音楽は華やかなでありながらも他のポップロックバンドでは表現しきれない繊細さとアレンジの秀逸さはまさに過小評価と言われるべき実力の高さである。

オススメ: 「Appetite」「Moving The River」

46. The Waterboys - A Pagan Place (1984)

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スコットランド出身のロックバンド。80年代のThe Waterboysは4thにあたる「Fisherman’s Blues」のフォークロック路線が評判高いけど、自分はこの2ndアルバム。このアルバムは4thよりも作品の熱量も高く、そしてヴォーカルの熱量もかなり高まっている。それがカッコいい。声色的にそこまで太いものを持っているわけでもないのに、半ば叫びながら歌っているのを聴くところに痺れる。語り口調なヴォーカルはBob Dylanと比較されるのも分かるけど「All the Things She Gave Me」なんか、バックコーラスと重ねて重厚なサビのメロディラインを構成したり、サックスソロを挟んできたりとアメリカンロックに近い情熱を感じるね。個人的にBruce Springsteenっぽさも感じたけど、多分これは私だけだろう。世間的にはU2のフォロワーと見られていたようだ。あとは「Red Army Blues」っていう8分の長尺の曲があるけど、これは大名曲。この作品の良いとこが一曲に全部詰まっている名ロックバラード。

オススメ: 「Red Army Blues」

45. Nick Cave & The Bad Seeds - Tender Play (1988)

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71位でも取り上げた同バンドの5thアルバム。冒頭の一曲目「The Mercy Seat」から後半にてただ微妙に歌詞を変えながらただただ同じフレーズをひたすら繰り返すとこに狂気を感じる。Nick Caveのこのバンドのデビューアルバムから聴いていたけど、おどろおどろしさがここに極まっている。そして二曲目の「Up Jumped the Devil」も声色を低くうねったような歌い方しながら、サビではコーラスを重ねたりして聴きやすさを覚えながらも、でもやっぱ恐ろしげな要素を感じる。と中期以降のTom Waitsっぽいところがあるかな。冒頭二曲のインパクトがデカいが、それ以降はポップな曲調もあったり、しっとりとしたバラードがあったり意外にバラエティ豊かな作品だ。まあAmazonにあるレビューによるとNick Caveはこの作品はあんま気に入ってなくてヘロイン中毒で集中できなかったとか。まあNick Cave程の芸術家ともなると自信や本人が気に入ってる作品ほど難解になりがちだから、あながちこの作品は入門編に良い作品かもね。

オススメ: 「The Mercy Seat」「Up Jumped the Devil」

44. Brian Eno & Harold Budd - Ambient 2: The Plateaux of Mirror

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アンビエントミュージックの祖、Brian Enoと同じジャンルを取り扱い、ピアニストのHarold Buddによる共同作品。この作品の魅力は何といってもアンビエント特有の浮遊感に漂う美しいピアノの音色。Buddによるピアノの音色はソフトであり、それによって作品全体に優しさや愛が伝わってくる。ストリーミング全盛期の今の時代、夜にイヤホンしながら歩いて聴くのも良いし、勉強しながら聴くのも良い。寝る前に聴くのも良い。非常に癒し効果の高い作品だ。こんなのが世に出てるのが非常にありがたい。

オススメ: 「First Light」「An Arc of Doves」

43. Dinosaur Jr. - Bug (1988)

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85位でも取り上げたアメリカのロックバンドによる3rdアルバム。85位に取り上げたアルバムよりかは幾分かパンクでポップになった気がする。相変わらず気だるそうなヴォーカルとノイジーな演奏でも曲調はポップというマジック、こんなグルーヴを聴くとなんだか泣けてくる。「Budge」なんかポップ通り越して泣きメロ。

オススメ: 「Budge」「They Always Come」

42. The Cure - Disintegration (1989)

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The Cureの最高傑作とも呼び声が高い作品。陰鬱でメランコリックな世界観ながらもそこに儚い美しさが魅力。前作の「Kiss me, Kiss me, Kiss me」がポップでかつバラエティ路線で人気沸騰、カルトバンドから世界的に人気なバンドになって、今作もほんとは売れ線でいけよとレコード会社に言われたものの、ヴォーカルのロバートスミスはそれを無視。初期のように暗い憂鬱な作風にしたけど結果めちゃくちゃ売れたっていう背景があるんですけど、そんな文脈は置いといて一曲目の「Plainsong」の美しさは凄く、壮大なシンセの音に包まれて、綺麗なギターの音色、ヴォーカルの儚げな歌唱で感動もの。2曲目の「Pictures of You」もその流れに続いてるけど今回はギターがより前面に出ていて、鳴り続けるギターの美しき音色も感動もの。「Lullaby」ではロバートスミスのウィスパー気味な声色で歌う中、リズミカルのドラムなど陰鬱なイメージのあるこの作品だが、この曲はポップで聴きやすい。暗い作品だと言ってきたが、ただ暗いだけだとレコード会社も頭を抱える展開になったであろうが、この作品には陰鬱さにThe Cure独自の美しさを加え芸術に昇華し、最終的に80年代を代表する作品となった。

オススメ: 「Plainsong」「Pictures of You」「Lullaby」

41. Wipers - Youth of America (1981)

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アメリカのオレゴン州のロックバンドによる2ndアルバム。Wipersはちょっとねえ、、かなりカッコいいバンド。90年代のグランジバンドにかなり影響の大きいバンド。演奏も荒っぽくて音質も悪いんだけど、それでもキレッキレな感じが素晴らしい。大まかにいえばパンクバンドでスピードがあるけど、歌もしっかり聴かせるのは後世のグランジっぽさもある。「Youth of America」という曲は10分くらいあって、複雑な展開のない、音質の悪いベースをメインとしたグルーヴが続くけど、それに合わせて頭を振りたくなるし、「When It’s Over」も、演奏メインの曲で、しかもハードロックっぽい高揚感のあるギターを聴かせながらも歌全体はパンクさを忘れてない。逆に「Taking Too Long」や「Can This Be」は歌は荒い演奏だけどポップで聴きやすい。30分で終わる作品なんで気軽に聴いてもらいたい。

オススメ: 「Youth of America」「When It’s Over」

40位~

40. New Order - Power, Corruption & Lies (1983)

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ここにきて個人的80年代4大ロックバンドその④がやっと登場。言わずもがなJoy Divisionを前身としたバンドで4大ロックバンドの中では一番ダンスロック要素がありますね。一曲目の「Age of Concent」のギターのフレーズから泣かせにかかってきてる。ヴォーカルの下手な歌いっぷりが逆に爽快。ここでばっちりとした歌心があったら何かガッカリしちゃいそうと思うまでに。でもまあ演奏やヴォーカルが下手とか実際そんなん気にならないし、この不安定さがマジック起こしてるんだと思う。「5 8 6」や「Ecstacy」などはお気に入りの曲なのだが、作品全体的に面白いリズム感がクセになるので高評価。

オススメ: 「Age of Concent」「5 8 6」「Ecstasy」

39. Talking Heads - Remain in Light (1980)

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Brian Enoと組んだ4番目のアルバム。まあ80年代のロックアルバムといえばこれ!みたいなとこあるよね。でも大昔に最初聴いたときは難解で好きじゃなかったんだけど。。。。それから色んなジャンルの音楽を介してようやくこのアルバムの凄い所に気がついた気がする。「Born Under Punches(The Heat Goes on)」では奇怪な演奏が始まったかと思ったら、シンセの「テレレーテレレーテレレー」という音がクセになる。その上コーラスは重ね録りして妙にキャッチーさがあるし、、、後半にくる「the heat goes on」と繰り返す歌詞も中毒性があり、最終的に全部が一緒になる展開はほんと狂っている。今作は演奏のリズム感の斬新さが評判されがちだが、ヴォーカルパートももはや一つの楽器と化して、そのリズム感に狂気を吹き込んでいる。「Crosseyed and Painless」や「The Great Curve」とかがそう。前半はほんと80年代の中でもベストな展開だが、後半のゆったりとした曲などで個人的にやや失速するのは残念ではあるが、総評としては名盤であると思う。

オススメ: 「The Great Curve」

38. The Stone Roses - The Stone Roses (1989)

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イギリスのマンチェスターで結成されたロックバンドのデビューアルバム。唐突ですが、Princeの2ndアルバム「Prince」(1979)の一曲目「I Wanna Be Your Lover」を聴いた時、「これもう80年代の音じゃーん」って思いました。今回のThe Stone Rosesのこの作品を聴いて「これもう90年代の音じゃーん」って同じような感想が出てきた。音楽性はフォークロックにサイケやダンサブルな要素が出てきた感じ。彼らの音楽ってマッドチェスターっていうジャンルと定義されていて、当時の時代のダンスミュージックの台頭にロックが融合したみたいな感じに言われている。この作品は一言で言えば、サイケなんだろうけど、確かにこの独特のロックサウンドから成る浮遊感には妙な甘美な心地があって、これがいわゆるドラッグで得る幸福感に近いものなのか・・・?って思った。個人的ハイライトは「Waterfall」から続くこの曲を逆回転した「Don’t Stop」の流れ。逆回転といえばthe Beatles。The Stone Rosesなりのイギリスロックに対するリスペクトでもあったのかなと感じる。何よりこの作品は後の90年代を代表するOasisの影響元をひしひしと感じるので、彼ら無くして90年代のロックは何か別の物になったのかもしれないね。

オススメ: 「I Wanna Be Adored」「Don’t Stop」

37. The Smiths - Meat is Murder (1985)

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93位でも書いたThe Smithsのセカンドアルバム。そこでも書いたけど、The Smithsの音楽って80年代に活躍したロックバンドの中でも特異な存在だよね。ポップな音楽性なのにひしひしと皮肉なスタンスが伝わってくる。ちなみにこの作品はThe Smithsの中でも政治的メッセージが強い。2010年にギタリスト、ジョニーマーのインタビューでこの作品がきっかけで菜食主義者の人が増えたって言ってたからそう考えるとすげえ影響力だと思う。モリッシーの相変わらず伸びの良い歌声は美しいけど、改めてジョニーマーってすごい。「Barbarism Begins at Home」のイントロの疾走感はあるんだけど、上品さが損なわれて感じがめっちゃくちゃカッコいいし、「Nowhere Fast」のさりげないギターソロとかとにかくカッコいい。1stから洗練されてて好きですね。

オススメ: 「Barbarism Begins at Home」

36. The Blue Nile - Hats (1989)

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スコットランドのグラスゴー出身の音楽グループによるセカンドアルバム。落ち着いた夜の雰囲気に浸りたい程にこれほどピッタリな作品は中々ない。美しく洗練されたシンセポップといった感じで、現代でいったらHONNEの1stみたいな、雰囲気のあるナイトタイムのために存在するように思う。そういった意味でこの作品は衰えを知らない「色褪せない」という言葉がぴったりだろう。「The Downtown Lights」という曲はまさに暗い夜に照らしてくれる街灯のような、そっと寄り添ってくれる優しさや温かさを感じるポップな作風だし、「Let’s Go Out Tonight」では、ひっそりとした雰囲気のある曲で、シンセやピアノなど前に出て主張しない中、ヴォーカルのソウルフルな歌唱が心に歌の良さが浸透してくる。「Headlights on the Parade」は打ち込みを用いたアルバムの中でもキャッチーさが分かりやすい曲で、6分という長さの中、徐々に聴き手の高揚感が増す演出が美しい。きっとこのアルバムはおそらく何年たってもリスペクトされる作品になるだろう。

オススメ: 「Headlights on the Parade」

35. Iron Maiden - Seventh Son of A Seventh Son (1988)

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72位でも紹介したメタルバンドによる7作目の作品。この作品はバンド初シンセを導入し、プログレ要素も強い作品として認識されている。プログレってまだイマイチ分からないんだけど、自分は曲調がコロコロ変わるからかそこが飽きずに楽しめたのがかなりポイント高くなってここまでの順位にきましたね。「Infinite Dreams」では序盤の渋いギタープレイが聴けたかと思ったら徐々に展開が盛り上がって3分くらいから曲調が変わったり面白い。「The Evil That Men Do」はこの作品でもっとも人気の曲であり私も一番好きだ。イントロの哀愁あるギターソロから全体の演奏が始まる時に鳴るベースの音がめっちゃゴリゴリで凄すぎて笑う。サビのいぶし銀の効いた歌唱の脇で鳴っているギターの音がカッコいい。表題曲の「Seventh Son of a Seventh Son」は作品で一番長い10分近くある曲で、これが一番プログレなのかな?前半は歌メインなキャッチーさがウリだし、後半の演奏メインパートは最初から緊張感溢れる静かめな雰囲気からギターソロが始まってさっきの静かなパートから爆発的な演奏グルーヴになるとことかかっけえすね。Iron Maidenは80年代のメタルでも特に気に入ったバンドですな。

オススメ: 「The Evil That Men Do」

34. Prince - 1999 (1982)

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何の前情報を調べずに何となく初めて買ったPrinceのアルバムがコレ。最初聴いた時は一曲は長いしアルバムも長いし、そこまでハマらなかったんだけど後々Princeという男の魅力に気づいてからはこの作品のポップな中毒性の良さを見出した。「Little Red Corvette」は特にお気に入りの曲で、「リ~ルレッ!コーベ!」ってどうしても耳にこびりつくキャッチーなメロディとフレーズが好き。あとは「D.M.S.R.」もがっつりファンクグルーヴとシンセが絡み合う感じが80年代感あってこっちも最高。「Lady Car Driver」も茶目っ気のあるメロディで良い。長尺のアルバムも内容が充実してたらご褒美だよね。

オススメ: 「Little Red Corvette」「D.M.S.R.」「Lady Car Driver」

33. Depeche Mode - Some Great Reward (1984)

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91位でも紹介したアルバムの前作にあたる、4作目の作品。Depeche Modeは一作目から順々に聴いてたんだけど最初の芋っぽさからどんどんと良くなってきてこの作品の「People Are People」にたどり着いた時、あまりの成長っぷりに感動した。インダストリアルなイントロからシンガロングできるキャッチーなサビはめっちゃかっこよいし、AメロBメロサビの流れも好きだ。「Master and Servant」からでも分かるようにインダストリアルとエレクトロから成る不気味な雰囲気とポップな音楽性に惹かれてDepeche Modeの80年代で一番お気に入りの作品になったと思う。

オススメ: 「People Are People」

32. N.W.A. - Straight Outta Compton (1988)

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カリフォルニアのコンプトンで結成されたグループ。あまりにも有名なジャケットの作品。眼が覚めたらこんな人達に覗かれてたらクマに遭遇したがの如く寝たふりをしたいところ。ギャングスタラップの立役者としてレジェンド的存在のグループであるが、じゃあ一体どんな音楽してるのかいと思って聴いてみたら結構自分に合っててよかった。それぞれのマイクリレーがカッコいいのは勿論、一曲目二曲目のビートにあるギターの音が案外ファンクなノリで踊れる。歌詞は過激な事言ってるんだろうけど。
その次の「Gangsta Gangsta」のIce Cubeのラップが硬派で良いし、Eazy-Eのちょっと高い声のラップも映える。「Express Yourself」は明るいファンクなビートでDr. Dreのラップが良い。まあヒップホップ好きならこの作品を聴いて私よりもっと多くのことを感じ取れるんだろうけど、単に私はビート、フロウやラッパーの声とか曲として楽しめるのが多い良い作品だったね。

オススメ: 「Straight Outta Compton」

31. Kate Bush - The Dreaming (1982)

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イングランド出身の女性シンガーソングライター。Kate Bushを聴いてて思ったのは、単純に自分のリサーチ不足も主な理由でしょうが、80年代において女性アートポップのジャンルにおいてはKate Bushが強すぎるって感じた。今作、The DreamingはKate Bushのセルフプロデュース。とあって超超異質な作品。一曲目の「Sat in Your Lap」のドタバタしたドラミングやピアノからのサビでKateの甲高い歌声といったり、「Leave It Open」の不気味に加工した声で怪しく歌うがやたらリズミカルで頭が振れたり、表題曲「The Dreaming」は民族音楽的なワールドビートを用いてサビはもはや呪術。でもどの曲もポップとしての体裁は整っていて狂気とポップが両立した傑作。怪しさが目立ちがちだけど、「Night of the Swallow」は美しいバラード。

オススメ: 「The Dreaming」「Night of the Swallow」

30位~

30. The Fall - This Nation's Saving Grace (1985)

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イングランドのロックバンド。いやあこのバンドはかなり凄い。ポストパンク系で初めてかなり虜になったバンド。この作品は8作目にあたる。The Fallのロックはほんと聴いてて楽しいよ。Arctic MonkeysとかFranz Ferdinand好きなら聴くべき。あとはKasabian好きもいけるかもしれない。The Fallはジャンル的にはポストパンクではあるけど、ロックの敷地の中でやりたい放題やってる自由な感じが良い。今作はキャッチーな曲が多いけど、売れ線を狙っているわけでもなさそうで尖っててカッコいい。「Barmy」のヘタウマな印象に残るギターフレーズの上にのっかる歌メロはキャッチーで聴きやすい。一方「L.A.」はキーボードで疑似エレクトロ感を出しつつ、バンドの演奏が光る曲。「Spoilt Victorian Child」はパンクな曲調と「静」のパートに交互になるなど、このバンドの作曲センスは私のツボを押しまくりましたね。

オススメ: 「Barmy」「Spoilt Victorian Child」「L.A.」

29. New Order - Low-Life (1985)

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40位でも紹介したイギリスのバンドの3枚目のアルバム。一曲目の「Love Vigilantes」のギターの甘酸っぱさから最高でやっぱり上手くないヴォーカルの歌唱が逆に味が出ている。一曲目がバンドサウンドがメインだが二曲目の「The Perfect Kiss」はシンセが前面に出ていて、これは踊れるダンストラック。しかし中盤はやや暗い雰囲気が続くがこれがまたカッコいい。「Sunrise」は壮大なシンセから疾走感のあるメロディへと続くのが超カッコいい。面白かったのは最終曲「Face Up」。一分近くのイントロが高揚感と疾走感あるカッコよさなんですけど、歌い始めのヴォーカルの音ハズし具合にはずっこけたね。でも許せる。この時代のこのバンドはそういったマイナスな側面もプラスに働いている。

オススメ: 「Sunrise」

28. The The - Infected (1986)

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イギリスのバンド。とはいってもヴォーカル、マットジョンソンのソロプロジェクトみたいなもの。3rdからバンド形態を始めたそうだが、今回はセカンドアルバム。The Theは一周回って特徴的すぎる(ほんど一周回ってって表現にぴったり)名前だけ聞いたことあって、何となく難解なイメージだったけど、案外ポップで聴きやすい。表題曲「Infected」はアップテンポな曲で歯切れの良いドラミングが気持ちいいし、サビでのエコーがかかった女性バックコーラスとマットジョンソンのヴォーカルの絡め方が良い。それは「Heartland」という曲でも見られる。というかこの曲は滅茶苦茶好きで、ジャジーなピアノから大人の色気を出しつつ、オーケストラの演奏でゴージャズ感を出しつつ、さっきの引き合いでも出した女性コーラスとのシナジー。最高のポップソング。最終曲「The Mercy Beat」もゴージャス感がありつつ売れ線とは違うコマーシャルではないがキャッチーな曲で良い。バンド形態を始めたと言われた次作は個人的にハマらなかったので、ソロでやっていたほうが才能が爆発していたのかもしれない。

オススメ: 「Heartland」

27. Prince - Controversy (1981)

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4作目に当たる今作は80年代のPrinceの作品の中でも特に「キレ」を感じる作品だった。なんでだろうか、作品全体的にタイトな出来で、ジャンル的にはいつものファンク、ポップな路線は相変わらずなんだけど、ロックの要素も強いかなと感じた。表題曲の「Controversy」のグルーヴは気持ち良くて7分なんてあっという間。全体的にスピーディーな展開で8曲37分という気軽さも「キレ」の良さに貢献している。一番好きな曲は「Ronnie, Talk to Russia」なんだけど、この曲はもはや2分という短さからプリンス流パンクロックといった感じで勢いのある曲調がクセになる。Princeで一番最初に勧めるとしたらこのアルバムかもしれない。

オススメ: 「Ronnie, Talk to Russia」

26. David Bowie - Scary Monsters (And Super Creeps) (1980)

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イギリスのミュージシャンによる13枚目のアルバム。前作のブライアンイーノと組んで作った「ベルリン三部作」の後に制作された作品。色々な音楽を吸収したニューウェーブな作風。ミュージシャンは他者のミュージシャンに影響などを受ける流れはあるが、ボウイの場合、70年代はアルバム毎にスタイルを変え続けているから、この作品はそれまでのボウイの総括したものと見れるかもしれない。なぜなら、次作の「Let’s Dance」はまた違う路線に踏み始めたので。A面にあたる前半は、ポップな曲で固められつつ、結構実験的要素もあってクセになる。「Ashes to Ashes」「Fashion」はまさに「ベルリン三部作」の実験を活かして作られたようなアートポップ。B面はA面に比べるロック色が強くなっており、実験的であったA面と比べると見劣りはするかもしれないが、「Teenage Wildlife」は壮大なロックで素晴らしい。ギターソロはクレジットで見るとKing Crimsonのロバートフラップによるものだろうか、かなりテクニカルでカッコよい。バラエティ溢れながらそれぞれがカッコよい名盤だ。

オススメ:「Scary Monsters(and Super Creeps)」「Ashes to Ashes」「Teenage Wildlife」

25. Public Enemy - It Takes a Nation of Millions to Hold Us Back (1988)

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68位でも紹介したヒップホップグループによるセカンドアルバム。ヒップホップのジャンルでこの作品が最上位。Public Enemyのビートは主にかなりアグレッシブなのでそれがグイグイくる感じと、ラッパー達も硬派にラップしていてカッコよい。歌詞は攻撃的なものが多いらしいが、音だけ聴いててもダンサブルで自然に身体が動いてしまう楽しさがある。この人たちだけに限らず、サンプリングの引き出しと自由さの面白さには感銘を受けてしまうと強く思ったのは、「She Watches Channel Zero?!」のギターサウンドはスラッシュメタルバンドのSlayerの「Angel of Death」から取っていると知った時。原曲だけ聴いているとメタルにしか思えないが、サンプリングしたほうを聴くとちゃんと「ヒップホップ」になっていて面白い。というか、スラッシュメタルから引用していくんだ~という驚きもある。ボムスクワッドというプロデュース集団と実際にラッパー達が起こしたシナジーによって作られたアグレッシブなヒップホップの名盤だと思う。

オススメ:「She Watches Channel Zero?!」「Night of the Living Baseheads」

24. Pet Shop Boys - Introspective (1988)

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既に1stや2ndでこのコンビを信頼していたので、6曲7~9分という長尺アレルギーな私でもこの作品はヤバいぞという期待を寄せていた。そして見事にこれはかなりクオリティの高い作品だと見出した。どうやら調べてみると、既に作られたシングルなどをリミックスして作ったようだ。試しにこのアルバムに収録されている「Domino Dancing」の短いほうを聴いてみると本来のPSBを感じる哀愁とエレポップが混じった曲であったが、このアルバムにあるほうはディスコチックでもっと踊れる曲となっている。この作品に含まれている6曲はそれぞれ違った面白さのあるアプローチがあり通しで聴いていても飽きない。「I Want a Dog」のピアノソロはジャジーだったりと。PSBの自信と勢いを感じる作品だ。失敗するわけがない。

オススメ: 「I Want a Dog」「It’s Alright」

23. Peter Gabriel - So (1986)

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イングランド出身のミュージシャン。プログレロックバンド、Genesisの元ヴォーカルであり、この作品までに4枚出している。それらはアートロックで結構面白いがGenesisファンなどマニア受けする音楽性であったが、ここにきて一気に万人ウケできる傑作を作り上げた。内容はポップでこれまでの作品以上にかなり聴きやすい。「Sledgehammer」や「Big Time」はファンクなノリで聴きやすく、演奏面もテクニカルで面白い。そして音の鳴り方もかなり鮮明に聴こえるのでプロダクションの完成度も高いのであろう。Peter Gabrielの声もちょっと妖しい感じに聴こえるので、ポップな作風であっても、哀愁を感じその辺のありがちな音楽のように感じない。この作品を聴いて、現代の80’sリバイバルの正体の一部になっているに違いないと思った。後世に大きい影響を与える傑作であろう。

オススメ: 「Sledgehammer」「Big Time」

22. Metallica - Kill 'Em All (1983)

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スラッシュメタル四天王の一組の若々しいデビューアルバム。まさにファースト特有の荒々しさや未熟感が逆に楽曲にトゲトゲしさが増してて良い。一曲目の「Hit the Lights」という曲、wikiによればこの曲が「スラッシュメタル」の誕生であるという諸説がある。確かに、めちゃくちゃスピードが速い。個人的にこの曲のサビのグルーヴ感と後半の速いギターソロがかなりカッコよく、最初聴いた時は怒涛の展開に思わず閉口してしまった。次の「The Four Horsemen」の冒頭のギターリフ、「チャンカチャンカ」と文字にすると間抜けだが、耳に残る特徴的なフレーズで良いし、中間のギターソロには思わずうっとりするほどの「美しさ」があるので必聴。次の「Motorbreath」は疾走感ありながらキャッチーなサビかつ、最後のギターソロがカッコよく、欠点の無い曲。その後の曲も良いが、この作品は冒頭の3曲が兎に角完璧すぎる。

オススメ: 「Hit the Lights」「The Four Horsemen」「Motorbreath」

21. The Smiths - The Queen is Dead (1986)

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イギリスロックバンドのThe Smithsの三枚目のアルバムでこの作品を最高傑作と挙げる人も多い。1st、2ndと聴いてきたけど個人的に今作が一番曲の精度が高い気がする。あとは「重さ」があってロック的に個人的には一番しっかりした作品だなと感じる。相変わらずジョニーマーのギターワークは冴えてて、「Bigmouth Strikes Again」の間奏のギターは「ああ、かっけえ」と陶酔してしまう。「The Boy with the Thorn in His Side」のジャカジャカ弾いているギターの音もカッコいい。というかThe Smithsはこのジャカジャカしたギターが良いんですよね。「There is a Light Never Goes Out」はモリッシーの伸びのある声が美しいし、「To die by your side」って歌う時に高音になるとこも魅力。The Smithsはモリッシーの声が特徴的で慣れ不慣れがありそうだが、この声が大丈夫だ!って人はどのアルバム聴いても楽しめると思う。

オススメ: 「The Queen is Dead」「Bigmouth Strikes Again」

20位~

20. Sade - Promise (1985)

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イギリスのバンド。今作は二作目。キャリア全作聴けてないので分からないが少なくとも80年代のSadeの音楽は衰えというものを知らない。今のソウル系の歌手と比べても全然昔の作品だからって見劣りはしない。一曲目からして良い。「Is It a Crime」はソウルとジャズが混ざったようなもので、品があって美しい曲。そしてSadeの幻想的な歌声はとても魅力的で、洗練された楽曲の大人の落ち着いた午後を演出するのにぴったりである。「You're Not the Man」「Punch Drunk」などがお気に入りだが、ジャズをソウルポップにフュージョンしたのはグッジョブすぎるというかSadeは自分好みドストレートな音楽やってて最高だ。

オススメ: 「Is It a Crime」「You're Not the Man」「Punch Drunk」

19. ABBA - Super Trouper (1980)

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スウェーデン出身のポップグループであり今作は個人的に最高傑作。A面に関して言うと、理想的なポップアルバム。完璧。「Super Trouper」のキャッチーなメロディや「supa-per, troupa- per」と歌う男性陣のバックコーラスも耳に残る。「The Winter Takes It All」も、一見バラードな曲調だが、溌溂としたドラミングなどアップテンポな感じでしおらしくないし、美しいメロディを堪能できる。A面の最後の「Me and I」も綺麗なハーモニーも素晴らしいが、サビの最後でロボット風の声に加工するのもザ・80’sって感じで良い。B面はA面に比べると少し勢いが下がるが、「Lay All Your Love on Me」のディスコチックな曲の出来は良いし、最終曲「The Way Old Friends Do」のライブ収録はおそらくポップグループ史上最もレベルの高い美しいハーモニーと豪華な演奏で聴き終わったときはスタンディングオーベーションをしたくなる。このアルバムはABBAというポップグループの凄さを再認識させられる完成度の高い作品だった。

オススメ: 「Super Trouper」「Me and I」「The Way Old Friends Do」

18. Prince - Sign ''O'' the Times (1987)

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今作はPrinceの作品の中でも最高傑作と名高い作品の「一つ」だ。全体的にポップな仕上がりだが、Princeならでのエグいアレンジが魅力。「Play in the Sunshine」は分かりやすいポップだが中盤のギターソロのぶっ壊れ具合はクセになる。(ちょっとFunkadelicっぽい)「Housequake」はヘリウムガスを吸ったような声とファンクなリズムの曲でこれも面白い。「The Ballad of Dorothy Parker」のちょっとダウナーなダンスビートはBlood Orangeっぽい。「U Got the Look」「I Could Never Take the Place of Your Man」はポップロック風味で時代の音に合わせている。これら豊かなジャンルの曲を一人で作り一人でプロデュースし、多くの楽器を一人でこなした、あまりの才能やDIY精神に今もなお多くのアーティストの支持を集めるのだろう。めちゃくちゃ凄すぎる。

オススメ: 「Play in the Sunshine」「Housequake」

17. Misfits - Walk Among Us (1982)

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アメリカはニュージャージー出身のハードコアパンクバンド。この時代のハードコアパンクは幾つか聴いたが、Misfitsのこれが一番良かった。My Chemical Romanceが彼らから影響を受けたらしい。見た目の格好だけでなく、音楽を聴く限りだとパンクロックからMCRを引き付けたのだと思う。他のハードコアパンクバンドよりかなりキャッチーであり、そのキャッチーさは、MCRだけでなく他の現代のパンクバンドに近しいものを感じる。なので圧倒的に聴きやすい。現代のパンクバンドが好きな方は、13曲24分とコンパクトな内容なので騙されたと思って聴いてみてはいかがだろうか。

オススメ: 「Astro Zombies」「Braineaters」

16. Prefab Sprout - From Langley Park to Memphis (1988)

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47位でも紹介した「Steve McQueen」のほうが思い入れは強いのだが、アルバムとしての完成度の高さはこっちかなと思う。「Steve McQueen」の次作に当たる作品で、前作の成功かは知らないが余裕と自信が見えるアルバムとなっている。前作は、憂いや儚さが散りばめられたセンチメンタルな音楽性であったが、今作はバンドの持ち味である珠玉で甘美なメロディがポジティブな方向に向いていて、聴いているとその美しさにうっとりするし、ポップスアルバムとして楽しめる。「Hey Manhattan!」のキラキラしたシンセポップ、「Enchanted」の透明感あるハーモニー、「The Golden Calf」は毛色がやや違ってロック色強い曲などそれぞれ個性ありながらもアルバムの統一性が損なわれずそれぞれが光ってて良い。ヴォーカルでありながら作曲しているPaddy McAloonのセンスの素晴らしさに感心する。

オススメ: 「Cars and Girls」「Hey Manhattan!」「I Remember That」

15. The Fall - The Wonderful and Frightening World of... (1984)

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The Fallは多作なバンドで知られていて、80年代も9作品出している。それらの間でThe Fallの音楽は変わったわけではないが変わってないわけでもない。個人的にはそれといったハズレ作品はなくどれも高水準だがこのアルバムは特に好きな曲が多かった。知性とやけくそが同時に混じった混沌さが好きだし、ヴォーカルMark E Smithの吐き捨てるような歌い方は時々Arctic Monkeysの初期Alex Turnerっぽい。「2 By 4」の特徴的なギターフレーズと気だるそうなヴォーカルで終盤につれてやけくそになっていくのがなんとも中毒性高い。「Copped It」はポストパンクな音だが、低音で「higher-higher-higher」と繰り返し歌われていくところはどこかDavid Bowieっぽくて面白い。この曲にはサビらしいサビが見当たらないが、やはり中毒性ある曲になっており、「Slang King」もシンセの鳴りどころが病みつきになる。The Fallというバンドはどこかネジが壊れていてそのポイントに他のバンドにはない中毒性高いアレンジを加えているところがある。イカれたバンドだ。

オススメ: 「2 By 4」「Copped It」「Slang King」

14. Prince & The Revolution - Purple Rain (1984)

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色んなメディアでも80年代ベストのトップ10に必ずと言っていいほどある作品。その評価の理由に、この作品に限ったことではないが色んなジャンルの要素を取り入れながらもアルバムとしてちゃんと整っているところにあるとか。冒頭の曲、「Let's Go Crazy」はハードロックなノリがありつつもシンセのサウンドでポップ化し、全体的にはファンクロックな仕上がりになっているし、歌詞の「Oh No! Let's Go」は歌詞に合わせて歌いたくなるキャッチーさがあってまさに一曲目にしてふさわしい。「The Beautiful Ones」では最初はスローテンポにPrinceのファルセットが美しいが、徐々に盛り上がり最終的にAerosmithのスティーヴンタイラーのように喉を絞った力強いシャウトが聴ける感動の名曲。「When Doves Cry」にいたっては、あるべきベースの音が全くない。この曲調ならあって自然と思うように違和感ではあるが、ちゃんとポップスとして成立してる!と驚く。相変わらず凄い発想だなと。Princeは曲の良さももちろんだが、どっからそのクリエイティビティが湧くんだと毎回思う。そしてほぼ一人作り出し、多くのリスナーを感動させてる。まさに本物のアーティストだ。

オススメ: 「Let's Go Crazy」「The Beautiful Ones」「When Doves Cry」

13. Kate Bush - Hounds of Love (1985)

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1985年で最も素晴らしいアルバムの一つ。前作の「The Dreaming」は実験要素の強いアートポップであったが、今作はA面に至っては、人間味のある優しさを感じる。ちょうどFlorence and the Machineが2ndから3rdにいったときに近い。「Cloudbusting」のストリングスアレンジなんかまさにF&TMの3rdっぽい。そして「The Big Sky」の後半の重ねたコーラスとギターソロで盛り上がる展開はかなり良い。そしてB面は実験的な傾向にあり、「Waking the Witch」はベストトラック。イントロの美しい旋律から急に「The Dreaming」みたいな狂ったリズムに変わる。しかしながらしっかりとダンサブルな要素があって、リスナーを置いてかない。Kate Bushの音楽は独創性があって時代の流れに飲まれない唯一無二のサウンドを作り上げている。この人も本物のアーティストだ。

オススメ: 「The Big Sky」「Waking the Witch」

12. Michael Jackson - Thriller (1982)

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アメリカを代表する偉大なアーティスト、今作は現在までに6500万枚売り上げており、世界一売れたモンスターアルバムとなっている。この時代の文脈は知らないが、このアルバム「以前/以後」の基準が出来上がってそうなくらいポップスとしてレベルが高すぎる。「Thriller」「Beat It」「Billie Jean」とは言うまでもなく楽曲としてもコマーシャル的にもアプローチできるハイクオリティな楽曲。個人的には「P.Y.T.」のディスコな曲がお気に入り。サビの加工されたバックコーラスのスペリングが好きですね。もはや語るのも無用に感じる程有名で素晴らしい作品。

オススメ: 「Beat It」「P.Y.T. (Pretty Young Thing)」

11. Wipers - Over the Edge (1983)

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41位でも紹介したアメリカのバンドの3rdアルバム。Wikiにはパンクロックと書かれているけど、グランジロックの先駆けにもなっている。彼らの音楽を聴くと後世のNirvanaの世界観と共通するものを感じる。相変わらず音質は悪く演奏も荒れててアングラ感たっぷりだけど、キレのあるロックンロールには他のバンドでは感じないカリスマ性がある。そこが好きなんだよなあ。それに私はやっぱりキャッチーなものに惹かれるので、このバンドのパンクロックの中にあるポップさも良い。後半の「Now is the Time」から最後の曲まで大好きだが、特に「No One Wants an Alien」は哀愁さのあるギターと二日酔いみたいなやる気のないヴォーカルの歌い方もクセになる。前半にも「Over the Edge」の痺れるシャウトと爽快なパンクロック、「Romeo」のヘヴィメタルなグルーヴに半ば歌う事をやめているわけわからなさもカッコいい。名盤なのでぜひ。

オススメ: 「Over the Edge」「Romeo」「No One Wants an Alien」

10位~

10. Sade - Diamond Life (1984)

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20位でも紹介したバンドのデビューアルバム。「Promise」とそんなに音楽性は変わらないが、Sadeという存在を知ったアルバムはここからでそのインパクトのデカさ、衝撃を受けたという意味でこっちのほうが好き。「Promise」はジャズ方面に強いが、こっちのほうがソウルの要素が強い気がする。「Your Love is King」のサックスの演奏は雰囲気作りが最高で一気にロマンティックな気分になるし、Sadeのスモーキーでソウルフルな歌唱も最高。「Hang on to Your Love」のちょっとディスコっぽいノリのグルーヴ、Sadeとバックコーラスと紡いでくメロディも心地よい。「Frankie's First Affair」の中盤の盛り上がる展開、サックスソロ、ピアノの存在など完璧な美しい瞬間。ロックバンドでいったらギターソロみたいに、ここぞとばかりにサックスの音が活躍していていわゆる「俺得」な展開が多くて素晴らしい。この音楽との出会いは衝撃。そしてSadeの音楽は衰えを知らないと改めて思うのであった。

オススメ:「Your Love is King」「Hang on to Your Love」「Frankie's First Affair」「When Am I Going to Make a Living」

9. Paul Simon - Graceland (1986)

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アメリカを代表するシンガーソングライターの一人。今作は7作目にあたる。Paul Simonは生粋のメロディメイカーで、優しい声とは裏腹に天才的なメロディをさりげなく作り続けた男。今作は南アフリカのミュージシャンと協力して作られ、それはワールドビートな音楽に反映されている。「Diamonds on the Soles of Her Shoes」では南アフリカのコーラスグループ「Ladysmith Black Mambazo」の冒頭での美しいアカペラから始まり、晴れ晴れとしてピースフルなポップソングが始まり、Paul Simonの優しくて芯のある歌声と調和のとれたグルーヴがこの曲の精度を上げている。次の曲の、「You Can Call Me AI」は特にお気に入りの曲であり、その当時に主流であっただろう、ダンスポップなサウンドと、この作品の特徴のワールドビートを融合させた素晴らしいポップソング。それ以外にもこの曲のベースソロはとても素晴らしい見どころを演出していて最高。「Homeless」はLadysmith Black Mambazoの美しいコーラスとPaul Simonの美しい歌声という「声」だけで構成された曲であり、彼らの息の合った掛け合いはこのアルバムの美しい瞬間の一つである。南アフリカの言語と英語での掛け合いは音楽で言語の壁を越えた意味でこれもまた美しい。今作は1987年のグラミー賞最優秀アルバム賞を獲得したそうだ。納得の出来だ。

オススメ: 「Diamonds on the Soles of Her Shoes」「You Can Call me AI」「Homeless」

8. Tom Waits - Rain Dogs (1985)

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アメリカ出身のシンガーソングライター。この作品、異質すぎてもしリアルタイムで聴いたらすぐには受け止められないかもしれない笑 実験音楽とくくられるがそんな固い表現では分かりにくいのでとにかく聴いてみてほしい。個人的にこの音楽聴いて思うのはバンジョーとカズーイの大冒険、ドンキーコング、ディズニー映画に出てくるくたびれた海賊が歌いそうな曲、ラッパーDanny Brownがヘンテコなビートでラップするときにサンプリング元で使われてそう。自分の語彙ではこの音楽をどう形容すればいいか分からないから、分かる人には分かってくれそうな例えにしてみた笑(確かこの音楽につけられる正式なジャンル名を見たが忘れた笑) 他にもカントリーやブルース、ルーツロックなど渋い曲があるが、統一性のある作品となっている。それはTom Waitsという超個性的なしゃがれた声色を持つシンガーが、ただ歌うだけでなく、自分には「演じて歌っている」ように感じるのだ。なのでこのアルバムを聴いているとどこか異国に旅をしたような気分になる。個性的な音楽、そしてTom Waitsの表現力、この作品もまた見事な芸術に仕上がっている。

オススメ: 「Singapore」「Tango Till They're Sore」「Big Black Mariah」「Anywhere I Lay My Head」

7. Cowboy Junkies - The Trinity Session (1988)

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カナダで結成されたバンドのセカンドアルバム。このアルバムを一言で言うならば「奇跡」。教会でたった一本のマイク、14時間のみでレコーディングされた作品。一曲目の「Mining for Gold」のボーカル一人のアカペラで何かが始まる予感がする。ブルース、フォーク、カントリーといった曲調がここで鳴らされているが、バンドサウンドだけでなく教会という録音した場所も楽器やボーカルワークをアシストし、生み出された教会のリバーブがこの世のものとは思えない尊さ、儚さ、切なさなどを生み出す。The Bandと同じ時代にいたら、The Bandはきっと喉から手が出る程嫉妬しそうだ。曲が良くなきゃ好きにならないが曲を紹介するのは何となく野暮だ。この80年代屈指の録音環境最強のアルバムを是非聴いて欲しい。

6. Metallica - Master of Puppets (1986)

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メタル史に残る世紀の大傑作。このアルバムの存在を長らく知っていたが、聴けずにいた。聴けば納得のクオリティの高さ。一曲目にしてMetallicaといえばの大名曲「Battery」はリフ、重さ、キャッチーなメロディと完璧にして、聴いてるこちらも「Battery!!」ってならざるを得ない。表題曲「Mater of Puppets」は前半は重いリフ、「マスター!マスター!」と耳の残るフレーズとこれだけでカッコいいものの、中盤でいきなりシュンとなり、泣きのギターソロが入り、また元のテンションに戻る。そして痺れるギターソロ。なんとなしに聴いちゃうけどこの構成ヤバすぎるでしょう。「Leper Messiah」はまたもやギターリフで聴かせてくるし、メリハリの効いたドラミングもなかなかツボに刺さる。そして後半に一気にスラッシュメタルっぽくスピードアップするのも面白い。やはりこの構成の素晴らしさはこの作品の魅力でしょう。最終曲「Damage, Inc.」はやはりスラッシュメタル四天王の名に恥じないスピードっぷり。ギターソロのピロピロ感も凄くクセになる。このアルバムには自分にとって完璧のメタルであって最高。

オススメ: 「Battery」「Master of Puppets」「Leper Messiah」「Damage, Inc.」

5. Motörhead – Ace of Spades (1980)

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イングランドのロックバンドによる4枚目のアルバム。一言で言うならば「リフ狂い」。とにかくギターリフがヤバすぎる。「Ace of Spades」「Shoot You in the Back」「(We Are) The Roadcrew」「Dance」など聴いてて頭を振りたくなるギターリフがいっぱい。オーストラリアのAC/DC同様、小手先のテクニックなどいらねえと言わんばかりのシンプルなロックに一貫していてカッコいいし、ダミ声のレミーも実に漢気に溢れていてパワフルだ。ギターリフ良し、楽曲良し、ヴォーカル良しと単純明快シンプルなロックンロールで楽しめる作品だ。

オススメ: 「Shoot You in the Back」「Dance」

4. New Order - Brotherhood (1986)

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4枚目のアルバム。New Orderは色々聴いたが、この作品が一番ポップで親しみやすいと感じた。「Weirdo」のサビでの駆け上がり方や「Bizarre Love Triangle」など全体的に甘酸っぱさが際立っている。「Way of Life」や「Broken Promise」など鳴っているギターの音やリズムが妙にクセになって面白い。バンドの特徴のテクノやハウスよりギターサウンドがプッシュアップされている。スピードの速い曲が多いため不安定気味なヴォーカルも誤魔化されている(?)非常にダンサブルな作品で、パワフルでエネルギーに満ちている名盤だ。

オススメ:「Weirdo」「Bizarre Love Triangle」「Way of Life」

3. Janet Jackson - Janet Jackson's Rhythm Nation 1814 (1989)

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61位でも紹介した「Control」の次作にあたる作品だ。プロデュースも前作から、ジャム&ルイスが主に担当している。この作品は構成がユニークで面白く、1~10曲目まで1曲ごとに短いインタールードを挟んでいる。20秒近くのものもあれば数秒で終わるものもある。このやり方は最近で言ったらSolangeが採用していたが、元ネタはJanet Jacksonなのだろうか、それともJanetも何かを参考にしたのだろうか。とにかく、このインタールードはアクセントが効いている。前半の歌となっている曲はどれも大味なアレンジでダンストラックなアンセムが続く。これが連続で続いたらもし名曲であろうがきっと聴き疲れしてしまうだろうが、間に間奏を挟むことで用意っていうか覚悟ができ、どの曲も公平に楽しめる。楽曲のほうも80’s特有のクソデカパーカッションが踏んだんに使われているのにここまでアンセムに仕上げ、良い曲にしたソングライティング力も高い。後半は前半の流れが続くもややアプローチが異なっており、R&B、ポップ、ハードロックの要素があるキラーチューンが並んでいる。アーティストやプロデュース陣は元はMichael Jackson, Princeなど近くにいたがこの作品はこの二人の天才とは独立し、そして80’sを代表する素晴らしいポップアルバムであると思う。

オススメ: 「Rhythm Nation」「Escapade」「Black Cat」

2. The Fall - Hex Enduction Hour (1982)

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はじめてポストパンクで超傑作にあったと思った。まるで私がお世話になった2000年代以降のポストパンクリバイバルバンドの音楽で楽しめた要素がここにギュッと濃縮された感じ。「Jawbone and the Air-Rifle」はキャッチーなギターフレーズにパンク由来のちゃんと歌わないで吐き捨てるかのように歌詞を刻むMark E Smithのヴォーカルなどは面白く、サビでいわゆる「踊れるロック」っぽくなったかと思ったら、急にテンポをスローにしだすなど面白い構成をしている。やはりThe Fallというバンドは知性とやけくそが入り混じったバンドだ。「Mere Pseud Mag. Ed.」「The Classical」ではジャカジャカしたギターやベースのグルーヴ重厚なバンドサウンドとMark E Smithの特徴的な歌唱法のマジックによって良いロックに仕上がっている。最終曲の10分ほどある「And This Day」に至っては、サイケで縦ノリのグルーヴはKasabianっぽくて面白い。ちなみにThe Fallのこういった長尺の曲は超ユニークなグルーヴでたいていノリノリになる面白い曲が多い。ポストパンクというジャンルは面白いバンドも多くいたが、好みでないバンドも多くいた。そんな中で脳天に突き刺すユニークなアイデアを持ったThe Fallのこのアルバムにかなりの衝撃を受けた。

オススメ: 「Jawbone and the Air-Rifle」「And This Day」

1. Guns N' Roses - Appetite For Destruction (1987)

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アメリカ出身のロックバンド。失礼ながらこのアルバムが一番で良いのだろうかと思っていた。何せこの作品は、他のアルバムよりずっっと思い入れの深く、まさに海外の音楽の世界にハマるきっかけになった原点である。そりゃもう特別視中の特別視。そういう背景がある中でも、フェアに聴こうと思って聴いても「やっぱこのアルバム、最高だな!」ってなりましたね。「Welcome to the Jungle」のヴォーカル、アクセルローズの個性的なシャウトから、Slashの切れ味満載のギターリフ、「It's So Easy」でのヴォーカルの低音と高音の使い分けのインパクト、「Paradise City」や「Sweet Child O' Mine」など後半に怒涛の展開を持つ曲などデビューアルバムにしては完成されすぎている。Slashのギタープレイが前面に出ているが、ドラムやベースなどのグルーヴも重要にアシストしている。楽曲の強さでいったり、ヴォーカルAxl Roseの縦横無尽な歌唱や演奏隊の生み出すロックグルーヴなどまさに非の打ち所がないデビューアルバムだ。原点にして頂点。やっぱガンズは最高だ。

オススメ: 「Welcome to the Jungle」「Paradise City」「Sweet Child O' Mine」

#洋楽  #音楽 #1980s #1980年代ベスト

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