Foals - Everything Not Saved Will Be Lost – Part 1
自分にとってFoalsの好きな所は楽器演奏を聴いていて楽しいとこにある。
重たいグルーヴであるけれど、ダンサブルであり、
胸がスカッとするような気持ちのよいプレイが魅力的であった。
そのような特徴である彼らの久しぶりにリリースされた新作は、
3年以上のスパンがかかっており、ベース脱退の影響がモロに見受けられる。
それは今作の音楽を聴いていても余計に感じる。今まであったベースが抜けた分、今作はどこかサウンドが軽い。(今作でも一応ベースの音はあるが)
それに10曲40分以上というシンプルなアルバム構成であるゆえに物足りないという印象を余計に受ける。
しかしながら、この「物足りない」という要素が今作のミソであり、良くも悪くも作用している。
物足りないゆえに、今作は最高傑作と呼べるほどの作品ではないと思う一方、「もっと聴きたい」という感想をどうしても得てしまう。
これこそ、彼らの狙いなのではないかとさえも思うようになった。
というのも、今作はあくまでも"part 1"なのであり、"part 2"は今秋出る予定だ。
今作におけるシンプルな構成で、焦らす事によって、Foalsの存在感が頭から離れられない。きっと2019年、今年は彼らのことばかり考えてしまうだろう。
といったように、彼らはメンバー脱退という、バンドにおけるマイナス要素を、2枚アルバム出すことによって、補おうとしていると思う。
先ほど、サウンドが軽いと述べたが、これに関しては別に悪い事ではない。
むしろ良い方向に行っていると思う。
というのは、この軽さによって曲が持つキャッチーさの魅力に拍車をかけてより良くなってるなと思った。
今まで兼ね備えた重たいグルーヴが軽くなった分、よりとっつきやすく、聴きやすくなったというわけだ。
しかしあくまでも、キャッチーになったとはいえ、売れ線ポップロックバンドとなったわけではなく、「Cafe D'Athens」のような実験的な試みを忘れたわけではなく、「Sunday」で見られる後半の転調のように、
彼らは自らの音楽をよりよくするための追及を忘れていないようだ。
私はこういった彼らのスタンスに好感を持てたし、このバンドのこうした音楽創造に対する追求にとても信頼を置ける。
初めてこの作品を聴いた時も思ったが、Foalsは4人という新しいメンバー構成、新しい環境の中で、新しい可能性を追求し、
我々リスナーを楽しませていく覚悟をつけたんだと思う。
新生Foalsでもきっと今までのように楽しませてくれるだろう。