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児童虐待

残念なことですが、児童虐待の悲しいニュースが後を絶ちません。

 児童相談所は、2004年の「児童福祉法改正」により、都道府県や政令市だけでなく、中核市程度の人口規模を有する市や特別区でも設置できるようになりました。現に東京都の特別区では世田谷区と江戸川区、荒川区では今年度から児童相談所が開設しています。

 今、児童相談所は急増し、深刻化する児童虐待への対応に追われています。全国でも専門職員数は不足していますが、大阪市はさらに深刻で、2018年4月1日時点での専門職員の配置不足は61人で、政令市でワースト1でした。

 この状況を受けて大阪市は、児童相談所の数を2ヵ所から4ヵ所に増設し、職員数も約260人から527人に増員するとしています。

~それぞれの専門職が持つ知識やスキルを補い合うことで複雑で困難な児童虐待案件に対応している~

 これが政令指定都市としての大阪市の大きな強みとなっています。
 そのうえで、人員を増強し、次代を担う人材を育て上げていくことが、今、重要ではないんでしょうか?

 大阪市を廃止・分割する『大阪都構想』では、特別区ごとに児童相談所を設置するとしています。これだけ聞けばすごく「いいこと」のように感じますが、実際には厳しい現実が待っています。

 児童相談所が4つの特別区に分割され、人材も4つの特別区に分かれてしまうことで、特別区同士は異なる自治体となりますから、助け合う、補い合うということはできなくなります。

 スケールメリットは完全に失われ、困難事例への対応や児童相談所にとって極めて重要な人材育成もままならなくなります。

 当初から、高度な知識や技術を持つ専門職がそれぞれの特別区に配置できるならそれも杞憂に終わることでしょう。

 しかしながら、各自治体で専門職の人材不足が問題になっているなか、果たしてそれが可能でしょうか。現に東京都特別区では人材が集まらず特別区としての児童相談所の設置を断念した区もあり、東京都23区中、児童相談所の設置に至っているのは前述の3区だけとなっています。人材が集中する東京でさえ、こんな状況です。

 はたして本当に大丈夫でしょうか。すごく不安になります。


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