視聴者の気持ちを代弁する人たちがドラマをリアルに近づけている@愛の不時着
また不時着話です。ネタバレ満載なので完走してない方はご注意ください。
『愛の不時着』では視聴者の気持ちを代弁するかのようなセリフを言う人物が出てきます。
11話、セリがジョンヒョクを連れてデパートでスーツを買いに行くシーン。
試着室から出てきたジョンヒョク。視聴者、ジョンヒョクを摂取しすぎて発作起こした人いるんじゃないだろうか。
うっとり見るセリ、完全に推しを見る目つき。完全にこういう感じ。
さらに店員さんが「お似合いですわ〜♡」とジョンヒョクにベタベタするので、セリがムッとするところ。セリの
「推しに触るな!!!!」
って気持ちがダイレクトに来るんですが、視聴者もセリと同じ感情になったはず。もちろん「お似合いですわ〜♡」な気持ちも。
12話、セリの誕生日。
第5中隊+耳野郎くんの6人でサプライズ的に花束やケーキを用意したところ、セリが泣き出して逃げてしまったところ。
こうなるだろうと思ってたんだよね。
ジョンヒョクがどうしたらいいのか困っていたら、チスがぬいぐるみをゆらゆらさせながら「(はよ!追っかけて!)」という仕草をし、ジョンヒョクはセリを探しに行きます。
その後、部屋には泣き出したセリに不安を覚えた5人が残ります。一番動揺していたのはおそらくチス。北朝鮮ではセリに対し、事あるごとに「この女に迷惑をかけられた!」などとキツい言葉を吐いていたのに……あろうことかこんなことを言い出したからです。
「二人で誰も知らないところに逃げればいい!(半泣き)」
うん、視聴してた人全員そう思ってたよたぶん。でもまさか君がそんなこと言うとはね。
その場の全員がチスの発言に「えっ……」という顔。「とんでもないことを言い出したぞこの人……」「散々セリさんに悪態ついてたくせに……」など、いろんな感情が混ざってたでしょう。
すると中では一番の年長者(ですよね?)耳野郎ことマンボクは「めったなことを言うな」「体育大会が終わったら全員帰らないと」とチスをたしなめた。だがこの人もチョルガン少佐に命令されて盗聴してた時、セリとジョンヒョクが孤児の子たちに食べ物をあげたことを知って穏やかな表情になってたりしてたので人のことを言えた義理はない。でもマンボクが言う通り、現実にはそうするしかなかった。
このようなメタ発言的なセリフや、視聴者が抱くであろう感情を登場人物たちに表現させると、ドラマとしてはどう評価されるだろうか。
急展開やご都合主義的な部分が出てくると視聴者はどうしても不満を抱く。だが、脚本は時々こうして一瞬だけ視聴者の感情に寄り添い「ドラマの登場人物たちはちゃんとその辺はわかっている」ということを示していた。
夢ばかりじゃない、現実の世界に時々引き戻すことできっと、視聴者はドラマをよりリアルに感じられているのだ。
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