低Na血症
低Na血症について
最も頻度の高い、電解質異常である。緊急性が非常に高いものから
【生理学的に】
血清Naは浸透圧規定において重要な役割を果たす。
主に低Na血症で臨床上問題となるのは、細胞浮腫を起こすことによる神経障害(脳浮腫)
低Na血症を見たら、血清浸透圧低下による症状があるか?が重要
【治療】
緊急での治療適応の評価
評価と、補正速度(急激な補正は浸透圧脱髄のリスク)
治療前のアセスメント
・経過(Acute・Chronic)
⇒48時間以内か?48時間以上ないし経過不明か
・症状(本当に是正すべき低Naか評価)
⇒Moderately severe:嘔気、頭痛、精神症状
⇒Severe:傾眠/痙攣/昏睡(GCS<8)/嘔吐/心肺機能不全
・重症度
⇒mild:130-135mEq/L
⇒moderate:125-129mEq/L
⇒profound:125mEq/L未満
+尿張度(尿Na+K)の評価
+フォーレと尿量測定(尿量>100ml/hは過補正リスク)
【原因精査】
NaはADHで調整を受ける
・ADH分泌はどうか?(通常血清浸透圧250-270ではADH分泌は抑制される)
希釈尿となるはず
⇒尿が濃いか?(尿酸や尿のNa、)
尿からNa(浸透圧の喪失をしているか?)
尿浸透圧<100mOsm/kgであれば、尿は薄くしている
尿浸透圧<200ではほとんどADHは分泌されていない。
・血清の浸透圧はどうか?
高張度:(浸透圧物質の存在)&等張度:(TG血症、パラプロテイン)
⇒いわゆる偽性低Na血症
低張度⇒ 本物の低Na血症
・体液量
【治療】
①重症・緊急での(3%食塩水を使用)低Na補正が必要な症例
②緊急性はないが低Na補正は必要な症例
③水制限のみで自然に改善が期待できる症例
①の場合
Na125以下で、Severeな症候性の低張度低Na血症
デバイスとモニタリング環境を整える。
・A-line or CV
・尿道カテーテル
救急病床で行う!
目標:5mEq/L上昇すれば症状改善は得られる。
1日でのNa上昇は、5mEq程度が理想、高くても10mEq/L未満
5mEq/L上昇後は生理食塩で維持検討
3%Naについて
NS500から100cc抜いて、10%食塩水20ml*6を混注すると3%食塩水となる。
Edelmanの式より3%NaCLを2ml/kg 投与で約1.7mEq/L上昇する。
体重(kg)×2-3mlを20分かけて投与し採血フォローを行う。
症状が安定するまでは、6時間おきに血液検査フォロー
過補正の対応
・水中毒などで起こりやすい
・尿張度(尿Na+K)<血清Naでは過補正が起こりやすい
・尿>100ml/hも過補正のリスク
5%ブドウ糖液の使い方
・10ml/kgを1時間で投与する(Naが2.5mEq/L低下する)
・5ml/kg/hが血糖上昇を起こさない上限(50㎏の人では2時間で1本)
デスモプレシン
・尿量が異常多い場合
・補正に必要なブドウ糖が交流量になる場合
・高血糖もある場合
保険適応外使用を検討する。
点鼻約で、鼻をかんでから、左右の鼻腔に2Pushずつ行う
30分で効果出現し、2-3時間で効果消失6-8時間おきに繰り返す
フォローアップが必要
自由水経口投与(エビデンスはない)
利点:高血糖の心配がない
欠点:吸収に時間がかかる、投与後の予測が困難
②緊急性はないが低Na補正が必要な場合
体液量に応じて治療
Severeな症候性ではない、尿張度>血清Na
経口摂取可能⇒梅干し1つで34mEq補給できる。
経口摂取困難な場合は、尿張度より濃いNa濃度の補液を行う
③緊急性はなく、
軽度の低Naで症候なし、
尿張度<血清Na
水制限で経過観察
体液量の低下がある場合は補液
体液量の増加ある場合は
肝硬変や心不全の場合は塩分制限やスピロノラクトン、トルバプタンの投与検討