フレンさんの「ロストジャッジメント」実況を通しての感想
はじめに
長編ゲーム配信はプレイヤーの考え方や生き方を見ることが出来るのも楽しみのひとつだと思っている。特にテーマがしっかり深掘りされたゲームなら尚更だ。
そしてリアルタイムにそのテーマに向き合う姿勢を見て、より好きになるのもゲーム配信の楽しみだと思う。
先日エンディングを迎えたフレン・E・ルスタリオさんの「ロストジャッジメント」の配信シリーズをようやく完走できたので、簡単な感想をまとめておきたいと思ったので書いてみます。
ちなみに自分は「龍が如く」シリーズや、前作の「ジャッジアイズ」に触れたことは無く、あくまで「ロストジャッジメント」とその実況に対する感想なのでご注意。
ゲームへの感想
「ロストジャッジメント」は難しいテーマを難しいなりに真摯に描いたゲームだと思います。
いじめ問題に端を発した個々の問題とそのつながりによる大きな事件。それに巻き込まれる、あるいは引っ掻き回す人物の群像劇。
内容についてはこの記事では触れないですが、非常に見応えもあり、描き方も丁寧な良いゲームだと思います。
その上でまず第一に思うのは、いじめが起こるのは防げないが、起こった段階でどう対処出来るかがその先への影響してくるという事なのだと思います。
このゲーム内の登場人物たちは殆どがその対処で「失敗して」いる。それはいじめの被害者・加害者だけでなく、それを見ていた周囲の人間や教師・親もそうで。そしてその失敗の積み重ねが今回の事件だったのだと思います。
極端なことを言えば、いじめが発生した時点でしっかり対処していれば今回の事件そのものが起こらない、あるいは非常に規模の小さなものにできていた可能性があると言うことです。
人間も動物です。雑多に集められた群れの中で優劣を付けようとしたり、気に入らない相手を害しようとする振る舞いをなくす事は出来ないでしょう。また、特定の相手を助けたとして、その事で生じるフラストレーションは別の誰かに向く可能性もあります。いじめを完全に防ぐことは不可能です。
しかしその上で、ほとんどの人間は会話することができます。言葉で無くても、(言い方は難しいですが、)スポーツなどの適度な運動で不満をやわらげることができます。いわばガス抜きの行為です。
そのガス抜きを上手く働かせるには周囲の人間の働きかけが必要であるし、その働きかけが自然なものである方がガス抜きそのものが上手くいきます。
ですが、今のシステムはいじめそのものを認識しようとしません。認識したとしても「認識した」という事実を認識しようとしません。言うなれば「臭いものに蓋」をします。それはいじめを行う側に体制がお墨付きを与えるようなもので、そのシステム内でのいじめ行為は更にエスカレートしていきます。
「ロストジャッジメント」は学校や半グレ、社会といったそれぞれのシステム内でのいじめを丁寧に描いていると思います。また、それと同じくらい周囲の無関心、システム側の対応も描いています。法治国家における法の不完全さも。
非常にわかりやすい。
しかしそうした欠陥を持っていることを自覚し、変革を生む流れを起こすことができるということもしっかりと描かれています。
しっかり向き合うことができた人間は強く変わることが出来る。
このこともこのゲームが描きたかった事なんだと思います。
次に、どんなものであれ「犯罪は割りに合わない」ものだと言うことです。
大前提としてバレなきゃ犯罪では無いと言うのはまず成立しません。と言うよりは、犯罪を犯したと言う事実は犯罪者自身にバレています。犯罪を犯した瞬間から、犯罪者は犯罪を犯したという事実が露見しないか不安に陥るというマイナスを背負うことになります。
また、(ゲームに倣うならば)仮に痴漢で半年の実刑判決を受けたとして、その後の人生には必ず「犯罪者」という経歴がついて回ります。その後の人生における機会損失を大きく生むマイナスは、実際の刑を大きく上回り、いわゆる微罪とされるものでも必ず割りに合わないものです。
その上で、登場人物たちは犯罪行為に加担してしまいます。そしてその犯罪行為そのものがあらたな犯罪を誘発し、新たな犠牲者を生みます。
そうして犠牲者が増えるたび、犯罪を犯した後ろめたさや露見する事への恐れが大きくなり、負担はどんどん大きくなります。
それがどんな犯罪であれ、割りに合うものではないという事です。
以上が、ゲーム本編に対して思った大きな2つの感想でした。
配信への感想
そして、ここからはフレンさんのプレイへの感想です。
改めて、フレンさんは非常に真面目で、とても思いやりと優しさのある人物だと思いました。
常に目の前の登場人物を思い遣った言葉を選んだり、なにも言えなくてもしっかり頷いたり。その上で違うと思ったことをしっかりと言葉にしたり。
悪いと思った事へは声を大にして「違う」と口にしたり。
自分の中にしっかりとした判断基準を持っていて、その上で相手の立場を考えて、相手の主張の正しさも尊重できる。その矛盾に向き合うことが出来るのは、フレンさんの人柄の魅力だと思います。
また、子供や親子への思いの強さも、フレンさんの良いところだと思います。
「ポケットモンスター/ソード」配信でも思いましたが、子供世代への愛情や思いの深さ、向き合う姿勢はとても心温まる優しさを感じました。
フレンさん本人が度々言っていた「理解力が乏しいから」という部分は、まぁ正直思わなくも無いですが、それを気にさせない配信の魅力だと思います。
そんなフレンさんの魅力を再度感じられる良いゲーム配信だったなぁ、と思います。
どんな事でも一生懸命に向き合って、その時出せる思いを出し続けてくれるのも、フレンさんの素敵なところだと思っています。
終わりに
以上が、フレンさんの長編ゲーム「ロストジャッジメント」配信への大まかな感想でした。
もちろん、こうして書いている以上に思ったことはありますが、上手く言葉に出来ていません。それだけの内容があるゲームです。
ただ、個人的に難点や疑問点が残った事だけ下に箇条書きしておこうと思います(備忘録として)。
ゲームへ
・物語のスタートから中盤までのテンポが遅い
・ミス研や天沢のその後はどうなったのか
・(メインストーリー中でも)不必要なバトルや選択肢要素で流れが悪い部分があった
・相馬がいなくなった後のRK、神室町はどうなったのか
配信へ
・声の大小の幅が大きく、場合によってはうるさい
・ストーリーへの理解が追いついていない時もある
・コメント欄の治安が悪い時もある
といった具合でしょうか。
非常に長時間のシナリオと配信なので、幾分かは仕方ない部分もあると思いますが。
気になった方は、下にフレンさんのチャンネルと「ロストジャッジメント」の再生リストのURLを貼っておきますので、是非見てみてください。
再生リスト全体だと大雑把に30時間くらいあるので、本当に長編ですね……。
フレン・E・ルスタリオ|YouTubeチャンネル
ロストジャッジメント再生リスト
それでは本日はこれくらいで。
またなにか書こうと思った時に。