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それらしく

つれづれつづり。
これまでは一読者として楽しく拝読していましたが、ちょっとしたきっかけを頂き
今回から書かせてもらうことになりました。

皆さんのような波乱万丈激動の人生は歩んできていないと思うけれど、
私の等身大のエピソードや考えが誰かにとっての救いになったら嬉しいなと思い、ありのままに書かせてもらいます。

今回の共通テーマは、「恋愛観」。


これを語るにあたって、私自身のことについてまずは振り返ってみようかと思います。

つれづれつづり/016こと私は、100%ゲイです。
男として、男が好き。
恋愛対象としても、性的対象としても男性しか考えられない。
私にとって、この恋愛対象と性的対象というのは切っても切り離せないものなので、その辺ごっちゃにして書いてしまうかもしれないことを先にお詫びしておきます。

しかしながら、きっとゲイの方の多くがそうかと思うんですけれども
ご多分に漏れず私も初めから「男が好き」と認められていたわけではありませんでした。
学生時代は異性愛規範が遵守されたコミュニティの外に出ていくような経験はほぼなかったです。

ただ、抑圧していたとはいえ今思い返せば、私は物心ついた頃から少なくとも性的対象は一貫して男性でした。
小学校の頃から、体の大きな先生の膝の上に座ったり、少年野球をやってた同級生のミサンガの結ばれたふくらはぎを見つめて、それを絵に書いてみたりね(今思えば中々アブナイ)。

でもって恋愛対象はというと...

小学校生活も半ばを過ぎると、やっぱりいわゆる恋愛が話題の中でも大きなウェイトを占めるようになってきて、
「男は女を好きになるものだ」
という考え方を当たり前のように刷り込まれた私は、気づけば「○○ちゃんが好き」という設定を作り上げてました。
その女の子とは当時たしかに仲は良く、小学校を卒業し別々の中学に進学した後も手紙のやりとりを続けていたりして。
そうそう、ちょうどその頃ガラケーが中学生にも普及してきた時期で、やりとりは手紙からEメールに変わったな。
細かい部分はもう覚えていないけれど、そのメールのやりとりの流れで告白をして、フラれたことは今でも頭の片隅に残っています。

「実は好きな人いるんだよね」
『えー誰!?私の知ってる人?』
「そうだよ」
『えー誰だろ、××ちゃん?』
「違うよ、お前だよ」
( ^ω^)・・・

みたいな、すっごい気持ち悪い告白の仕方だったことだけは、未だに忘れることができません。
そりゃあ、フラれて当然だわ
どうした、当時の自分。

この頃は多分、自分が作った設定で自分自身を騙していたんだと思います。
騙し続けた結果、本当に好きかもよく分からない相手に告白してしまった。
中学生になると交際する男女も増え、性の話題も盛んになり、まわりに置いて行かれないよう必死だったのかな。

話は逸れますが、その頃はとあるギャルゲーにハマったりもしてました。
それ自体はとても面白く、女の子もみんな可愛いし、恋愛ありバトルありの名作で今でも好きなんですが、そのゲームには隠し要素のようなものがあり、女の子の親愛度を最大まで上げると、なんとメニュー画面に毎回下着姿で現れるんです。
人によってはとても嬉しい(?)機能なのかも知れませんが、私はその姿には性的興奮を全く覚えないどころか、可愛さすら感じませんでした。
その子が制服を着て動き回ったり、主人公のために頑張っている姿は本当に可愛くて、素敵だと思うのに。不思議ですよね。

うーん、「好き」って、何なんだろう。

結局自分の本当の恋愛対象もよく分からないまま、私は高校へ進学しました。

高校では、彼女ができました。
同じクラスの女の子に告白されたんです。

その頃は同じクラスの野球部男子をオカズにしていましたが、まだどこかで女の子を好きになれると思っていたんでしょう。彼女のことはほとんど知りませんでしたが、とりあえず告白を受け入れた私。

一緒に下校したり、近所の夏祭りへ行って同級生に目撃されたり、当時ハマっていたthe band apartのCDを半ば強引に貸したり、友達にプレゼント探しを手伝ってもらい、誕生日にピアスをプレゼントしたり。
幼いながらも上辺の「それらしいこと」はそこそこしていたように思います。

でも、本当に自分本位だったんですよねこの時は。付き合っても、自分のしたいと思うことしかしていなかった。彼女のことを知ろうとしなかった。極めて失礼な言い方になりますが、彼女にあまり関心がなかったんです。彼女なのに。

さらに言うと、性行為などは全くしませんでした。いや、できなかったんです。どんな場面、状況でも私は興奮しなかった、できなかった。
そんな状態が続くと、二人でいることも辛くなってきて、もう直接会うことがこわくなった私は電話で別れ話を切り出しました。

ただ「やっぱ自分ゲイだったわ〜ごめん(笑)」などとは、冗談でも言えるはずはなく、
精一杯「それらしいこと」を並べた結果、
私は彼女を泣かせてしまいました。

もうこの頃は自分自身のことでいっぱいいっぱいでしたが、振り返ると、「女性を好きになることができるか試すため」という極めて利己的な理由で、告白を承諾したことに気付きました。
そんな理由で彼女の人生に影を落としてしまったことは、本当に申し訳なかったと思っています。

彼女はこの経験をもういっそ忘れてくれていたらいいなと思う。
もう彼女と会う勇気もないけれど、そんな自分をどうか許してほしい。


あれ、懺悔になってしまった。

そんな経験を経て、高校生活の半ば、
私という人間は「相手が性的対象であるという前提がないと、恋愛感情を抱くのは難しい」と気付いたでした。

次回は、ゲイとしての自分について書きたいな。明るく。
それでは。


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