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「中学生から知りたいパレスティナのこと」を読む。
話題の本「中学生から知りたいパレスティナのこと」を読んだ。いゃ、過去形にしたらいかんので、読んでいる…とする。著者は岡真理さん、小山哲さん、藤原辰史さん…いずれも学者、専門家なのだ。出版社はミシマ社。本来ならパレスティナの問題については大手の出版社が本を発行してもよさそうなもんなのに、なぜ、沈黙を守るのか疑問なのだけど、よくぞミシマ社が頑張ってくれたと思う。もう1年以上、ジェノサイドが続けられているのに日本の名のある作家先生、出版社が何故、無言を貫くのか、残念というか呆れてしまう。表現しない自由ですか。新聞 (産経・読売は除外) やNHKはまだましな方。
2024年は最悪、最凶の1年だった。僕もいい年だし、持病もあるので寿命もそんなに長くはないのだが、まさか自分が生きている時間に数万を超える人々が殺害されている世界がやって来るとは思わなかった。折角だからブログに自分の気持ちを書く事にした。もちろん、アフリカ、ミャンマー、シリアの地域でもジェノサイドが起こっているのだけど、パレスティナのように、無実の人々を井戸の底に押し込んで逃げ場を失くし、その人々の頭上に繰り返し爆弾を降り注ぐ残虐性はない。更にその井戸の上から爆弾を落とすイスラエルに爆弾を補給する欧米人の鉄のような差別意識には寒気を覚える。
僕のスマホの写真画像には死者の写真が、数えきれない程保存されている。僕が死んだとき、遺族はスマホの写真を見たらぞっとするだろう。SNSのおかげで、パレスティナで何が行われているか、日々、リアルタイムで戦場の景色が送信されてくるのだ。日本のマスコミは何人殺されようが、アナウンサーの10秒にも満たないコメントで終わる。つまり現地で何が起こっているのかは誰も知らないまま、知らされないまま、チャンネルを変えるのだ。ジェノサイドで殺される人々の声が、コマーシャルでさっとかき消される。
最近使われ始めた「オールドメディア」という呼称されるマスコミより、新しいSNSなどのメディアでは死がすぐそこにある。目の前に死者の動画が分単位で送られてくる。デマを拡散するだけの評論家のコメントより、その画像を見て自分がどう感じるか問われ続けるのだ。訳知り顔で論評なんて誰もできやしない。
瓦礫の下で子供をかばいながら白い灰にまみれてなくなる母親と幼子。飢えに苦しみながら長い行列に鍋を手に持ち並ぶ子供たち。PRESSと大きく書かれた防弾チョッキを着て報道する記者の胸に、イスラエルの狙撃兵の「いつでもお前を殺すことが出来る」と青いレーザーポイントが揺れる。顔半分が吹き飛ばされた子供の死体。国連の銃弾の穴だらけの車。狙われ狙撃された医師の死体が白い布に巻かれ、並べられている。目隠しをされ、両腕をくくられビルの屋上から蹴落とされる住人の死体。つい最近では、イスラエルのジェノサイドの記録映画を撮影していた映画監督がガザではなく、フランスのマルセイユで暗殺された。これこそ世界の報道機関が取り上げるべき大ニュースなのだが日本のオールドメディアで報道されたか?
イスラエル兵はそんな行為が楽しくて仕方ないらしい。押し入った民家で女性の下着を身にまとい記念撮影をする殺人チーム。子供たちを何人殺したかを競い合い、ダンスを踊る若い女性の兵隊のチーム。先祖代々、開墾したオリーブ畑を焼き払い、老人の抗議を突き飛ばし、ブルドーザーで整地する兵士…。食糧支援物資を積んだトラックを砲撃し、人々を飢えに追いやる彼らは第二次世界大戦で、ナチスドイツのホロコーストで生き延びた人々の子孫だそうだが、それは大嘘だろう。嘘でなければ自分の先祖がやられたことを、見ず知らずの他人に行うことなんてできるはずはない。待ち望んだ食糧の中の砂糖の袋に砂を入れた奴は誰だ?
イスラエルを支援する欧米人はオリンピックの競技、大リーグの試合にお金を賭け、狂喜し、肉を頬張ばり、酒をあおり、歓声を上げる。全て同時進行、同じ時が地球の上で進んでいった。奴らは心底有色人種が嫌いらしい。
「中学生から知りたいパレスティナのこと」によれば、戦争により影響を受けるのは戦場どころか、世界の農産物市場でもあり、その作物の出来不出来で投資する人々は一喜一憂する。アメリカの民間での最大農地所有者はウィンドウズの開発者、ビルゲイツと言う事に驚く。彼は巨大な土地の不在地主なのだ。ビルゲイツに続けと、世界中の金持ちは戦争を金儲けの機会として投資し利ザヤを稼ぐ。世界の貧しい人々は新しい奴隷制により、生かされたり殺されたりしている事をこの本で知る。
僕の意識は錯綜、混迷している。ジェノサイドが終わった時、ジェノサイド実行した兵士はもちろん、その行為を支持したイスラエルの国民の一人一人は処罰されるのだろうか?イスラエルのスパイ機関「モサド」は第二次世界大戦が終わった後、ナチスの幹部を追い続け、アルゼンチンで身を潜めて暮らしていたところを拉致し、裁判にかけ絞首刑にした。今回、立場は真逆で、国際司法裁判所が彼らを追い詰め、裁判にかけるとして、誰がどう処罰するのだろうか?その殺人者を後方支援した欧米人の罪は問われるのだろうか。そもそも罰を与えた事で、確信犯の彼らの考え方は変わるのか。きれいごとを言うが、彼らの犯罪は、彼ら自身で裁かれるしかないのだ。
僕のブログなんて誰も読みはしないだろうが、せめて日本国内に居るデマ拡散者、イスラエル支援者を「口撃」したい。タレント評論家どものタチは悪い。彼らのデマの間にも支援は遅れ、人々は死んでいく。佐藤優、宮家邦彦…元外交官(現役時はさぞ有能だったんだろね)とやらの二人組…いったい彼らはどんな意図があり、デマを流すのか?パレスティナのニュースの前に必ず「ハマスのテロ」と言うフレーズで、デマを流す。「ハマスはテロ」ではなく彼らはイスラエルの長年の圧政、ジェノサイドに抵抗しただけなのだ。2023年10月のハマスの抵抗時にイスラエルの赤ん坊が殺されたとか、オーブンで焼いた、性暴力があったと言うのは、遺体収容にあたった民間ボランティアの虚偽の証言というのが判明している。このやり口は、過去に大量破壊兵器があるとして2003年にアメリカがイラクで起こしたイラク戦争のやり方と同じやり口で、同じやり方でアメリカは何万人も人を殺し国を破壊してきた。佐藤優は口ごもりながらもいつも最初に「ハマスのテロがきっかけ」と言う。元外交官なら、そうではない事は分かっているはずなのに、そういう発言を意図的にする。宮家邦彦は「パレスティナ」は国家として承認されていないと発言するが、2024年で国連加盟国193 の中で145の国が国家として承認しているではないか。承認していないのは欧米と日本の差別国家48か国。国家としてみなされていないのならジェノサイドが許可されるとでもいうのだろうかね。
この本を読んだ中学生の子供らは死ぬまで悩み、考え続ける事になるのだろう。救いのない世界の仕組みについて、この本を読んでいる僕も、死ぬまで悩み考え続ける事になる。
みんなの意識も混迷している、どうしていいか分からない。とりあえず、デモに加わる、スタンディングして抗議を続ける。今の若者の方が、したり顔の大人よりはるかに、理知的でまっとうじゃないか。「戦争を止めろ、人を殺すな」とボードを持って抗議する。天草で一人、スタンディングしている人をXで見つけた。会いに行って話をした。熱い人だった。彼の横を冷ややかなライトをつけた車が行き来するのだろう。
世界は闇だ。