プラットフォームの話

今週はユーラシア舞浜に泊まってしこたまサウナに入りまくったり、子供のちんちんの皮を剥きすぎて病院沙汰になったり、お盆なのに仕事もまぁそこそこに忙しかったり、先週の撮影からドタバタした日が続いてた気がする。


アップルとフォートナイトの話。ざっくりまとめるとアップルのapp storeはユーザーが支払った金額の30%をプラットフォーマーとして得る料金体系なんだけどフォートナイトはそれをかいくぐる独自の課金システムを導入したところアップルのガイドラインに違反したとしてアプリを削除されたと。そもそも30%は高すぎるってフォートナイトの以前からの姿勢もあり控訴したという経緯。

パロディCMはよくできているけど、まぁ元のappleのCMの出来がいいからこれは逆に訴えられるのではとも思う。むしろこのCMを見て「実はアップルの広告大好きなんじゃないの」って勘違いしそうになる。


さて。プラットフォーム税は高いか安いか。これは普通の人も物販サイトを利用していれば支払っているので楽天やamazonやメルカリやBASEなんかを調べればわかると思う。もっと言えばコンビニやスーパーだって商品を置くスペースやそれに付随する陳列スタッフ、輸送費、レジの人などなどのお金だって商品に含まれている。当たり前だけど製造にかかるコストや運営にかかるお金、ポテトチップス新味20食も毎日食べさせられる開発部長の給料も含まれている。僕らは商品を買うときに商品のバックグラウンドにもお金を払っている。そりゃそうだ。


じゃあ30%ってどうだ。商品を置かせてもらうだけで30%も持っていかれることは、酷い話なのか。


「じゃあそのプラットフォームを利用しなきゃいいじゃん」というのはまぁそうなんだけど、莫大な売上の30%である。フォートナイトの2019年の売り上げは1990億円。もちろんgoogle playとか他のプラットフォームも含まれるけれど、それらにもプラットフォーム利用料はかかるのでざっくり換算500〜600億円。アベノマスクがもう一回全国民に渡る以上の金額である。それを大した労力なく得るapple。リンゴマークの入ったマスク、配布してほしい。


でもapple側だって、プラットフォームが認知されたのはiphoneのハンパない普及率のおかげであって、長年に渡って築き上げた商品とブランドが成したプラットフォームである。スマホを普及させ人類を一歩進めたと言っても過言ではない時価総額2兆ドル企業。築き上げてきた全世界のユーザーとのコネクションを得られるプラットフォームを利用するのであれば、30%ぐらい妥当なものじゃないか。何なら利用するだけ利用して、売れたら自分たちのプラットフォームで展開すればいい。


appleとgoogleがアプリ市場を独占しているのが問題なのかもしれない。それほどこの2社は強力すぎる。iphoneにはappstoreを介してしかアプリを入れることができないし、デバイスにプラットフォームが限定されることがまぁ問題っちゃ問題なのか。


でも、これはゲームの歴史的に任天堂とSONYでもある。当たり前だけどスマブラはプレステでできない。


当時は「マルチプラットフォーム」って概念がなくて(そもそも64とプレステ両方で動作するゲームなんてコストがかかりすぎたのかもしれないけど)、だいたいの家庭ではどちらを買うか選択を迫られた。FFができるからプレステ、スマブラできるから64、ソフトによってプラットフォームが選択された。だからプラットフォーム税なんてのはほとんど無かったのではないかと推測される。

ハードを売るためにはソフトを充実させなきゃいけない。人気タイトルをうちのプラットフォームで出してほしい。むしろ、ソフトの開発費をプラットフォームが何割か負担していた記憶すらある。なぜならソフトが売れればハードも売れる。持ちつ持たれつの関係。そもそもプラットフォーム事業はハンパないリスクを抱えているものだ。だって、めっちゃコストかかるもん。そのくせ、ハードの性能が良くても魅力的なソフトがなければ誰も買ってくれない。そう、ドリームキャストのように。98年に発売されたのに「インターネット対戦」ができるのだ。まだダイアルアップ回線の時代である。


実際、ソフトから撤退するゲーム企業は少なかった(分社・合併は多かった)けど、セガやハドソンのようにハードから撤退するケースは幼い頃に何度か目撃した気がする。ワンダースワンとかバーコードバトラーとか・・・


mixiを誰もやらなくなったときにも似たような気持ちだったかもしれない。


それぐらいプラットフォームが衰退するのは時代の終焉みたいなものを感じる。だからプラットフォームは頑張って維持し続けてほしいなぁと思うし、ソフトを提供するサードパーティは良質なコンテンツを届けてほしいなと思う。ましてや、開発費だってファミコンやプレステの頃に比べればだいぶ安価になっているはずで。


だからフォートナイトはバカ売れしたので独自プラットフォームでやっていけばいいと思う、例えうまくいかなくても。訴訟は自由だけどプラットフォームが世界中のデバイスにコンテンツを届けてくれたことには感謝してほしいなと思う。


話は変わるけど、学生の頃にアートギャラリーで展覧会をやると、会場の利用費とは別に「作品が売れたら売上の30〜50%をギャラリーに支払う」というマージンがあった。会場の立地や内装の素晴らしさは施設の利用料に含まれているので、作品からマージンを取るのは「ギャラリーオーナーのコネクションでアーティストを顧客に紹介する紹介料」みたいなものだと思う。それが学生の間では「高い」という意見が多く、実際来る客は友人知人ばっかりでギャラリー側が積極的に作家を売り出してくれるわけでは無いケースの方が多かった。もちろんギャラリーが企画する展覧会では施設利用料はかからないし、ギャラリー側が好きなアーティストを呼んで展覧会をするので積極的に動いてる印象があるけど貸しギャラリーとして作品のマージン持っていくのはどうかなと未だに思う。

あとは今のアイドル業界みたいだけど、銀座のギャラリーではオーナーがやたら女性の学生作家に手を出すとかそんな噂もたくさんあった。


アート業界ではそういう小さいプラットフォームがたくさんある。おしゃれな雑貨屋さんから、古典的な絵画しか置かないギャラリーまで。そしてそれらを利用するのは前途あるかないかわかんないけど売れてない若い作家だったりする。良質なものを、適切に陽のあたる場所に置いてあげてほしいなと思う。ゲームでもアートでも。まだ誰も知らない名作を、世の中に良い形で発信できるようプラットフォームは良いプロデュースを心がけてほしいなと思う。

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