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避難器具と固定部のトルク
テキストを読んでモヤモヤしたところを メーカーさんに質問してみました
とても親切な回答をいただき感激しています 今後の点検や施工時の覚書としてここにまとめます
質問1:
緩降機 固定部 アンカーボルトのナット締め付けトルク
T=0.24DN
T:締め付けトルク kN・cm
D:ボルト径 cm
N:試験荷重 kN
対象機種:ORIROIII 降第28~1号
上記計算において N:試験荷重 の参照先を探しています
強度計算書の取り寄せが必要でしょうか?
また 強度計算書へ記載の場合 どの項の値を代入すればよいのでしょうか?
メーカーさん回答
N:試験荷重の値は 取付金具の種別 ( D1/D2/D3/B/C/LE等 ) 及び
アーム長さにより異なります
参考までに D3金具の強度計算書を添付させていただきます
D3金具であれば P.6の式番号24の数値をNに代入して下さい
※ 赤枠の記載もメーカーさんによるものです(めちゃ親切)
※ P.6以外のページは割愛します
計算してみた
▶ アーム長さ 80cm を想定・アンカーボルト呼び径 M12
T ( kN・cm )= 0.24 × 1.2 ( cm ) × 3.35 ( kN )
= 0.9648
結果:締め付けトルク 964 N・cm ≒ 約 10 N・m
点検実務必携に記載された締め付けトルク
M10×1.5 1500~2500N・cm
M12×1.75 3000~4500N・cm
M16×2 6000~8500N・cm
さて 実務ではどうするか
点検実務必携の数値とは かけ離れてしまいました
みなさんどうされていますか?
質問2:
緩降機 アンカーボルトの適切な呼び径の選定
引き続き 緩降機 固定部の計算について
F/N <P
F:固定部に発生する応力 kN
P:許容引抜荷重 kN
N:引張力のかかるアンカーの本数
上記計算における固定部に発生する応力の参照先を教えて頂けませんでしょうか?
また、許容引抜荷重は アンカーボルトメーカーの謳う 許容引張荷重(短期)と解釈してよろしいでしょうか?
許容荷重一覧:
https://www.sanko-techno.co.jp/products/sys_qa_pdf/201301_14-19.pdf
メーカーさん回答
D3金具強度計算書のP.5の式番号24を参照願います
許容引抜荷重はコンクリート強度21/㎟・M12ボルトの場合 10.5KNです
上記数値は避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目(H8年4月16日消防庁告示第2号)を根拠としています
※参考資料の項に該当箇所の画像を貼り付けました
※メーカーさんは細目のPDFも添付して下さっていました
計算してみ・・・しなくてよかった
すでに 引張力 T は 質問1の項で提示してもらった 計算結果一覧表に数値が記載されていました
上にスクロールで戻るのも手間なので ▽に再度貼り付けます
質問3:避難器具ハッチの固定ブラケット
F/N <S
F:固定部に発生する応力 kN
S:材料許容せん断荷重 kN
N:ブラケット本数 ≧ 4本
先述の 質問2同様に 固定部に発生する応力の参照先を教えて下さい
メーカーさん回答
USD66NB強度計算書のP4の4.躯体鉄筋と固定プレートの検討参照願います
計算してみ・・・してくれていました
上の画像内部 1025 N
これが固定部の ブラケット1本にかかるせん断荷重
参考資料
避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目
(H8年4月16日消防庁告示第2号)
ボルトのせん断荷重・アンカーボルトの許容引抜荷重 の部分を抜粋してみました
▼ せん断荷重
▼ 許容引抜荷重
雑記
まずメーカーさんには感謝の気持ちが言葉では言い尽くせないほどあります
モヤモヤがスッキリ晴れた清々しさをひとしきり味わいつつ 神対応に脱帽です
緩降機の固定部 アンカーボルトの締め付けトルクは点検実務必携と数値がかけ離れてしまいました 実務ではみなさんどのように折り合いをつけていらっしゃるのでしょうか