【小説】雄猫ぶーちょの生活 16 ぶーちょ、カーテンを開ける
我が家の部屋の仕切りはカーテンが多い。これまでたくさんの猫と生活していたので、猫たちが出入りしやすいよう、仕切り戸やドアを取り払い、カーテンに替えたからだ。
そのカーテンをぶーちょは前足で開ける。前足を器用に内側に回し、開けるのだ。
なぜ人間のように外側に足を回さないのか。それは、猫の体の構造上無理だからだ。縞尾は普通の猫なので、カーテンと壁の隙間に首を突っ込み、カーテンをすり抜ける。
しゃっと音がする。振り向くと、ぶーちょがカーテンを前足で開けている。面白い。
縞尾にはできない芸当だ、と思っていた。ぶーちょに比べて、縞尾は前足の使い方が下手なわけではない。彼は、自分の要求があると、じっと私の目を見つめる。それでも自分の要求を理解されないと、前足をわたしの頬に伸ばして、軽く爪でひっかく。
昨日、縞尾が前足でカーテンを開けているのを目撃した。縞尾は今年の春で十三歳になる老猫だが、ぶーちょからカーテンの開け方を学習したのだろうか。