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【小説】雄猫ぶーちょの生活 14 ぶーちょ、専用ヒーターを獲得

冬が深まるにつれてとにかく寒くなった。夜、縞尾のために猫ドアを開けるため、ぶーちょを夫の部屋に誘導しようとするが、ぶーちょは私の部屋の押入れの天袋に立てこもってしまう。ぶーちょが高いところに立てこもるのは、私の部屋では午後からずっとオイルフリーヒーターをつけており、そこに暖かい空気があるからだ。と、私は推測した。

そこで、夫の部屋にもオイルフリーヒーターを置くことにした。

年末ぎりぎり、私の部屋にあるものとまったく同じ製品のオイルフリーヒーターをオンラインストアで購入し、配達してもらった。

これで、年末年始、ぶーちょの夜の移動に悩まされることなく、心穏やかに過ごせる、と期待した。

でも、期待は常に裏切られる。

オイルフリーヒーターには即効性はない。じわじわと部屋を暖めることはできるが、時間がかかる。おまけに、それを置くために夫の部屋の家具の配置を変えなくてはならなかった。

ぶーちょは、家具の位置が変わったのが気に入らなかった。すぐに部屋が暖まらないのも気に入らなかった。それで、天袋のお気に入りの場所から動くのを拒否するようになった。お気に入りの猫じゃらしを使っても駄目だった。

仕方がない。最後の手段、夫の出番だ。

ぶーちょは男の人が大好きである。男の獣医さんの言うことはよく聞くのは、去勢手術の時に体験ずみだ。家でも夫と大の仲良しだ。
いーた
それで、ぶーちょの誘導に失敗すると、夫に迎えに来てもらう。夫は、ぶーちょのお気に入りのぬいぐるみを使い、ぶーちょの気をひき、天袋からおびき出す。これは大体成功する。

ぶーちょの移動に手間暇かかるのは、オイルフリーヒーターが来る前とあまり変わらなかった。

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