【小説】仔猫ぶーちょの生活-10 一人遊び
ぶーちょが我が家に来て四カ月が過ぎ、筋骨隆々の少年猫になった。
ぶーちょ以外は猫も人間も年寄りなので、ぶーちょの遊び相手にはならない。ぶーちょは一人遊びするしかない。
そこで、ぶーちょが編み出した一人遊びは、まず最初は、電源ケーブルの攻撃だった。生後一カ月くらいの、まだ跳躍もままならない頃だったので、床の隅に転がっている、くねくねした蛇のようなひものようなものは、格好の相手だった。電源ケーブルをがしがしかじっていた。
気づいた飼い主は、慌ててホームセンターに行き、ケーブルカバーを大量に買い、家中のケーブルを保護した。
そして、ネットで猫が遊べるシャカシャカトンネルを買い与えた。縞尾が大昔使っていた 短いものを取り出した。この二本のシャカシャカトンネルを、出たり入ったり飛び跳ねてでんぐり返りしたり、昼寝用に使ったりしている。
最終兵器は、ネズミのおもちゃだ。以前買ったネズミが大量にあったので、それを与えた。いろいろな色のネズミがあるが、どれでもいいというわけではないらしい。
顔が白く体が黒いのがお気に入りだが、よくどこかに転がしてしまう。なくしたのかと思ったが、そうではないらしい。ぶーちょ的には隠してとっておいたらしい。気が向いたときにトンネルの中から取り出して遊んでいる。
だが、本物の最終兵器は、おもちゃではない。書類用のトレイに入った大事な紙やレシート、薬の瓶のふたなど、絶対おもちゃではない飼い主たちの所有物だ。夢中になって遊んでいるが、時々飼い主たちをチラチラ見て、怒られないかどうか確認することも忘れていない。
冷蔵庫の側面に張り付いたマグネットにも夢中になった。冷蔵庫の上に飛び乗るのに邪魔だったのか、どうかわからないが、ほとんどのマグネットを落としてしまった。とりわけ向日葵の飾りのついたのに執着して遊んでいたが、これはどこかに転がしてしまった。
きっと、いつか大掃除をしたとき、出てくるだろう。