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【小説】雄猫ぶーちょの生活 10 ぶーちょ、プレゼントをもらう
ある朝、目が覚めると、私はネズミと一緒に寝ていた。丸々太った灰色の小さなネズミが、シーツの上に丸まっていた。最初はぶーちょがいつも遊んでいるネズミのおもちゃかと思った。
ネズミに気づいたぶーちょがベッドに上ってくると、ネズミは逃げ出した。本物のネズミだったのだ。
ぶーちょは初めての本物のネズミに、目を輝かせ、とびついた。そして、傷つけないよう口にくわえて居間に行くと、夫に見つかてしまった。ネズミは夫によってケガもなく無事に救出され、庭に放たれた。
ぶーちょはがっかりした。
それにしてもあのネズミはどこからやってきたのだろう。
夜中に散歩に出た縞尾が、ぶーちょのために捕まえて、持ってきたのかもしれない。そういえば、縞尾は、今年の春にもネズミを捕まえてきた。それはぶーちょの目に入る前に救出され、庭に放たれた。ちょうどぶーちょの誕生日の前後た。
縞尾は、今年の春十二歳になった年寄り猫だ。一方ぶーちょは一歳半のピカピカの若猫だ。当然ぶーちょと縞尾の関係には、一定の距離がある。一緒に寝たりするほど親しくない。それでも、ぶーちょが獣医に行ったりすると、縞尾は心配して、母猫が仔猫を呼ぶような声でなく。また、散歩に出た縞尾がなかなか帰ってこなかったりすると、ぶーちょはまだかまだかとおろおろして走り回る。
面白い関係だ。