「東京暗黒街・竹の家」(1955)
山口淑子さんが亡くなったとき思ったのはサミュエル・フラー監督の「東京暗黒街・竹の家」を見なきゃでした。日本がうまく描かれていないらしいので、なんか見る気が起きなかったのです。
たしかに室内シーンはハリウッド風の変な日本。米軍の捜査官ロバート・スタックが居間の端にある風呂に入り、居間では山口淑子が朝食を準備している図は気恥ずかしい。でも、ロケーション撮影の日本はちゃんとしていて、このころカラーのワイド画面で撮影された東京の街って貴重な気がするし、なにしろ開巻の堂々とそびえる富士山をバックにした列車強盗がダイナミック。ロバート・ライアンが一味の親分というだけでフィルムノワールとして格好がつくし、パチンコ店の様子、セメント工場でのスピーディーな強盗、デパート屋上の遊園地での銃撃戦などなど、もし珍品だとしても、見どころの多い珍品です。
2014年10月10日