「皆殺しの天使」(1962)
ブニュエルの1962年のメキシコ映画「皆殺しの天使」は80年代初めに日本で初公開。
題名から血なまぐさいものを期待していたら、見事に肩透かしを食らわされました。あれから30数年、クライテリオンからブルーレイが発売され、今どのように見えるのかワクワク。
10年後の「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」同様にブルジョワをコケにしたコメディながら、なかなか夕食にありつけない連中と対照的に、ここでは晩餐会のあと部屋から出ることができない連中を描く。
別に何にも邪魔するものがないのに、なぜか部屋から出ることができない。10数名の男女は何日間も狭い場所に閉じ込められた人質か被災者のようになり、次第に本性をむき出しにし始める。
リアルに描いていないし、白黒だしで、ほどよい上品さ。たとえば、クローゼットの中には高価そうな壺がいくつか置いてあり、ときどき一人一人がその中に入ったり出たりするのは、そこで何かをしていることを匂わせます。
2016年12月20日