ホークスの 「特急ニ十世紀」(1934)

ハワード・ホークス監督、ジョン・バリモア、キャロル・ロンバード主演の「特急二十世紀」 (Twentieth Century) は、1934年2月終わりに公開された「或る夜の出来事」から約二か月後の1934年5月初めに公開されました。これもコロンビア制作の映画です。コロンビア映画の米盤DVDはソニーから発売されているからか、日本語字幕が付いていて、ありがたいです。ただし、地域コードにご用心。

とにかくジョン・バリモア演じる舞台演出家がエキセントリックでハイテンションなので、スクリューボールコメディが変人の喜劇という意味なら、この作品がその典型であり、本当のスクリューボールコメディはここから始まったと言ってもいいぐらい。このワイルドさから比べたら、ずいぶんマイルドな「或る夜の出来事」がスクリューボールコメディが始まりだと言われるようになったのは、たぶん、大ヒットして、アカデミーの主要賞を総なめしたインパクトと、ある程度の道筋をつけたからでしょうね。

舞台演出家バリモアは素人のキャロル・ロンバードを舞台劇の主役に抜擢し、スターに仕上げ、いい仲になります。何年間かは二人のコンビで、ヒットを続けますが、バリモアの嫉妬深さのためにケンカ別れし、ロンバードはハリウッドで映画スターになります。バリモアはシカゴで興行に失敗し、失意のうちにニューヨーク行きの「二十世紀」号に乗ると、たまたまロンバードも乗り合わせていたので、彼女を自分の舞台の主役に引きずり戻そうと奮闘します。

ロマンチックなものを期待すると、失望すること間違いなしです。ハワード・ホークスの他のスクリューボールコメディ、「赤ちゃん教育」や「ヒズ・ガール・フライデイ」同様、登場人物がエキセントリックすぎるし、映画自体が騒々しすぎます。バリモアの部下を演じるウィリアム・コノリーとロスコー・カーンズも傑作だし、どこにでもペタペタとシールを張りたがる奇人の中年エチエンヌ・ジラルドも笑わせてくれます。単なる味付けではなく、ちゃんとストーリーにからんでくるのがうまい。

2013年3月18日

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