ジャコウネズミ
トガリネズミの仲間。大人の体長は12センチから16センチくらい。
生れたばかりの赤ちゃんはとっても小さいのです。
生れたばかりの赤ちゃんはとってもとっても小さいし、まだ目が見えません。まだ目が開かない生まれたての赤ちゃんを迷子にしない為、
お母さんが編み出した移動方法は数珠繋ぎ方式。
お母さんは赤ちゃんジャコウネズミたちに言いました。
「さあ、さあ、みんな!お出かけしますよ。
迷子にならないように一列に並んでいきましょうね。」
お母さんは、赤ちゃんたちを一列に並べました。
「さあ、前の子のお尻にしっかり噛みついて、放さないように。」
みんな、前の赤ちゃんのお尻にカプッと噛みつきました。
一番後ろに並んでいる子以外は、「イタッ!」と言ってお尻を振りました。
痛い痛いとみんな言って騒ぐので、列はほどけてバラバラになってしまいました。
お母さんは赤ちゃんジャコウネズミたちに言いました。
「さあ、さあ、みんな!お尻を噛んで繋がらないとお出かけできませんよ。
お尻が痛いということはみんなと繋がっているということ。
迷子になっていないってことなのよ。
みんなはまだ目が見えないんだから、みんなと繋がっているという証拠がお尻を噛まれて痛いということなの。
痛くなくなったら、その時、後ろの子は迷子になっちゃったってこと。
迷子になるのは嫌でしょう。
独りぼっちは寂しい、悲しい、お腹が空くわ。」
赤ちゃんたちは、迷子は嫌だと泣きました。
お腹が空くのは嫌だと泣きました。
お母さんはもう一度みんなを一列に並べました。
そして最後尾の赤ちゃんに言いました。
「あなたは最後に並んでいるから誰にもお尻を噛まれることはないからね。
しっかり前の子のお尻を噛んでいてね。」
その赤ちゃんは、自分のお尻が噛まれないことを喜ぶより、少し不安がりました。
お母さんは、赤ちゃんたちの中で一番責任感があるその子を最後尾にしたのでした。
「大丈夫よ、あなたなら出来るわ。しっかり前の子のお尻に噛みついていてね。」
その赤ちゃんはこくりと頷きました。
それからお母さんは、先頭の赤ちゃんに言いました。
「あなたはお母さんのお尻をしっかり噛んでいるのよ。絶対に放しちゃいけませんよ。」
その赤ちゃんは、モジモジしていました。
お母さんは、赤ちゃんたちの中で一番弱虫なその子を先頭にしたのでした。
「大丈夫よ、あなたなら出来るわ。しっかりお母さんのお尻に噛みついていてね。」
その赤ちゃんはこくりと頷きました。
「さあ、さあ、みんな!お出かけしますよ。迷子にならないように一列に並んでいきましょうね。さあ、前の子のお尻にしっかり噛みついて、放さないように。」
みんなは慌てて前の子のお尻にカプッと噛みつきました。
痛かったけれど我慢しました。
「さあ、みんな!お尻は噛みつかれて痛いわね。急いで行きましょう!」
みんなお尻が痛いので、お母さんの言う通りに大急ぎでついていきました。
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