③進化をつづけるそろタッチ・決して揺るがぬコンセプト
本記事は、全①〜④部で構成されるマガジン『そろタッチに突撃!そろばん暗算十段が根掘り葉掘り聞いてみた!』の第③部です。
▼前編▼
①そろばん式暗算を最速で身につけるための教材開発に迫る!
②そろタッチ『教室』がある?!アプリ学習との違いや特長について
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高橋(以下ーー):さあ、今回はそろばん式暗算学習アプリ『そろタッチ』創業者である山内千佳代表取締役会長の回です!みなさん興味津々だと思いますので、ガンガン質問いきますよ!!!
山内(以下省略):お手柔らかにお願いします(笑)
ーーHPの経歴を拝見しましたが、もともと理系出身だったのですね。
そうですね。私がというより、家系ですかね。父も母も兄も理系なので自然と理系に進んでいました。卒業後は金融業界で16年ほどモーレツに働いて、部門の日本撤退を機に退職しました。
出産を経て、子育てをしつつも「何かしたい!」という欲求はいつもあって。ただ金融にもどるのも違うと感じていて。
しばらくなやむ期間がつづきましたが「まずは働いてみるか!」と、興味があったeラーニングの開発会社で働かせてもらうことにしました。
世界がつながる経験「あのネクタイ変だったね」
ーー「eラーニングに興味があった」というのもおもしろいですね。原体験などあったりするんですか?
シティバンクで働いていたときのことです。世界中に20万人の従業員がいて、社内のeラーニングシステムで「社長の四半期報告を全社員が視聴しなさい!」なんて通達がよくありました。
トレーディング部門で海外のトレーダーと仕事をしていて、雑談をしたときです。「今回の社長メッセージ見た?あのネクタイ変だったね」って、お互い笑い合ったんです。
『顔を合わせたこともない外国の方と、同じ話題で盛り上がった。』
eラーニングで世界がひとつになったあのときのこと、今でも忘れません。
eラーニングからそろばん教室開校へ
ーーそろタッチのキーワード『世界がつながる経験』の原点はここにあったんですね!この経験からすぐ、そろタッチ開発に進んだんですか?
いえ、このときはまだそろタッチの姿は描けていませんでした。もうすこし段階があって、ちょうどこの頃、5才の息子がそろばんを学びはじめて、暗算もメキメキ上達していたんです。
年齢から生まれた年を当てたり、バスの時刻表を見て「あと何分で来るね」と言ったり・・・。みるみる自信をつけて、計算だけでなく新しいものにドンドン取り組んでいく姿に驚愕しました。
「そろばんはすごい!教室を始めよう!」と思ってからは早くて、珠算教師資格を取り、自宅で『富士見そろばん教室』を開校し、1年後に教室を構え『かるトレ』と名前を変えました。
ーー生徒が集まりすぎて「入会をお断りするのが辛かった」という、伝説の『かるトレ』・・・!このあたりで、より効率をもとめた独自教材を必要としたのでしょうか。
もうすこし後で、きっかけは2012年です。暗算段位を取得した娘の付き添いで、トルコの世界暗算大会に行き、そこからですね。教材を意識するようになったのは。
世界の『スタンダード』をリサーチ
ーー教材開発の歴史、待ってました!そろタッチにつながる膨大な積みかさね、お聞きしたいです!
日本のそろばん教材で購入できるものは、ぜんぶ揃えたと思います。国内で暗算トップ選手を輩出されているそろばん教室も、多く見学させていただきつつ、世界中の教室や大会も駆けまわりました。
トルコに始まり、ドイツ、イギリス、シンガポール、マレーシア、サンフランシスコも行きましたし、中国は2回行っています。
ーー各国のそろばん式あんざん事情や、詳細なエピソードは山内さんの著書に譲りたいと思いますが、特に印象深いものを何点か、今のそろタッチにつながるような話をお聞きかせ願えますか。
両手で計算する
まず、ほぼ全員が両手をうごかして暗算していることに驚きました。そろばんも習い始めから両手で、暗算のときも両手を使うんです。
1手で弾ける珠の数が多いので、そろタッチもはじめから両手式を取り入れています。
ーー日本のそろばんでもトップ選手は両手で弾きますが、習い始めは片手が主流な気がします。まして暗算のときに両手で弾いている選手は、私も見たことがありませんね。
両手式のカリキュラムは、片手式のステップとは違うので、中国にある両手式のそろばん教材や指導書は大量に購入し、とにかく死ぬほど研究しました。
本当に苦労しました・・・。岩佐さんは研究後半、中国語が読めるようになっていましたからね(笑)
計算以外の種目も多い
海外の暗算大会では、四則演算だけでなく『素因数分解』や『ルート計算』『カレンダー計算』といった計算から派生した種目も多く存在します。
また『どれだけ数字を覚えられるか』『どれだけカードを覚えられるか』といった記憶と結びつけた種目もありました。
そろタッチに上記種目は現状ありませんが、どこかのタイミングでこういったものも入れていきたいという思いはあります。
ーーとても興味深いです。国によっては『カレンダー計算』なども含めて【そろばん式暗算】としているところや、マインドスポーツのひとつとして暗算を含めているところもある、と。
同じ言葉でも、人によって意味や範囲が異なる・・・。【幸せ】みたいですね。
歌を上手く取り入れている
中国の教室では、座学だけでなく、歌や体を動かすリトミック、紙芝居など、あらゆる角度から計算力を高めるためのトレーニングをつくっていました。
珠算研究誌にある様々な実証研究報告を参考に、そろタッチでも九九ソングをはじめ、歌をたくさん使ったり、キャラクター、BGM、ゲーム仕様を加えたりと、
自信を持って、多くの遊びや楽しさを実装していきました。
『あんざん1級』の上は目指さない
世界的に広がっているフランチャイズを見て、どの国発祥のものも共通していると思ったのは「あんざん1級以上をするところはなかった」ということです。
また目的も、高度な計算力を身につけさせるのではなく、子どもが楽しみながら学習を習慣化し、数学的思考力の育成につなげることでした。
さらに、カリキュラムは『週1回の授業+宿題形式/2〜2年半で3級/アドバンスとして1級まで』がスタンダード。
日本の珠算人口は50~60万人と言われていますが、海外では1ブランドで生徒数が百万人を超える教室もいくつかあります。効果が実績として示されているため、そろタッチも海外のスタンダードを基準にしました。
▼各国のエピソードを詳しく掘り下げた山内さんの著書はコチラ▼
かるトレ→そろタッチまでの試行錯誤
ーーなるほど・・・そろタッチは『世界から求められている基準』を軸に、教材を開発しているのですね。
ちなみに『かるトレ』時代は、そろばんもされていたと思うのですが、どのような過程を経て『そろタッチ』に進化していったのでしょうか。
この音声ペンと黄色のそろばんが、そろタッチの前身、最初の両手式教材です。
すべて算数に結びつけたり、九九を歌にしたり、数字をタテだけでなく横に並べてみたり、そろばんの珠を描いたり・・・本当にいろいろなことを試しました。
ちなみに音声ファイルは数千個にのぼるのですが、はじめは娘と息子と私の3人でスピードを変えて、すべて声に出して読んで作ったんですよ(笑)
音声ペンのときには、音声合成ソフトも世に出ていたので幾分マシにはなりましたが、それでも本当に大変でした・・・。
ただ、音声ペンでは『学習記録が残らない』という課題や、他にも音声ペンならではの技術的課題があり、そして何より『珠の形をイメージせず筆算式で進めてしまう』問題ですね。
「どうしたら頭の中が見えるようになるのか?」と色々試しているうちに、タッチ式のそろタッチを思いつきました。
試行錯誤を続けるなかで、Excel名人のママスタッフの力も借り、初代そろタッチはWindowsPCで誕生しました。
その後、テンキーや特注デバイスなど、子どもが使いやすいデバイスをあれこれ探す過程を経て、最終的にiPadで開発を進める決断をしました。
ーー気の遠くなるような長い戦いでしたね・・・。かるトレも走りながらの開発となると、チームメンバーやお客さまとのやりとりも大変だったのではないでしょうか。
まずたくさんの物を購入いただくことになってしまったので、当時の保護者様には申し訳なく思います。そろタッチの前身はもちろん、並行して、そろばん自体もいろいろ変えていたので・・・。
そして、そろばん教室から完全にそろタッチに移行を決めたとき。
「そろばんを習いたい!」と入会してくださった生徒保護者様、「そろばんを教えたい」と入社いただいた先生スタッフたちに「そろばんはもう使いません」と伝えることは、精神的にかなりこたえました。
情熱の源泉を聞く
ーートップの苦悩ですね・・・心中お察しします。ただ、ここで一点踏み込んでお聞きしたいです。多くの経営者や企業が「変えたいけど変えられない」という苦しみを抱えるなかで、山内さんはなぜこれほどまでに、変えることができたのでしょうか。
世界中のそろばん指導を見てきた経験が根底にあると思います。中国や中東、東南アジアで特に感じた『子どもの能力を伸ばすことに死に物狂い』という熱意。
彼らは大学や研究機関、脳科学者、数学者、IT企業などと一致団結して、子どもの能力を最大化させる暗算教育に挑んでいました。
ーー『死に物狂い』ですか。(スゴいパワーだ…。)
私は十進数に合わせた『5珠が1つ/1珠が4つ』の現代そろばんを、日本がつくった【人類の最高傑作】のひとつだと考えています。
その日本がつくりあげた【人類の最高傑作】を日本以外の国々が進化させるとあっては、私も数学科卒の端くれとして、高度な和算と算盤技術を築き遺してくれた先代に申し訳が立ちません。
その思いが、私を死に物狂いにさせてくれます。
「変わらないと人は離れる」
ーー身が引き締まる思いです。そろタッチ進化の源泉にも納得がいきました。とはいえ、やはり変化が続くと「人が離れてしまうのではないか?」と不安になりませんか。
いえ、逆です。「変わらないと人は離れる」と考えています。
イベント後や保護者様のアンケートでは「アップデートを楽しみにしています」というお声を多くいただきます。
もちろん「以前の方が良かった」というご指摘もいただきますが、アップデートが基本にあるからこそ、そういった次につながるお声をいただけるとも感じています。
世界とつながるそろタッチ
ーーありがとうございます。最後に、今後のそろタッチについて、一言いただけますか。
そろタッチは最速で暗算力を身につけるためのプロダクトであり、
またその過程を通して、成長の喜びや自信を育み、新しい世界へつながるきっかけとなるものでありたいと考えています。
この思いが変わることはありません。
『世界がつながる感動』を、より多くの子どもに届けられるよう、これからも全力で邁進していきます。
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「あのネクタイ変だったね」の感動が、そろタッチの土台につながっているのは興味深い・・・。
次回はそろタッチの経営を率いる橋本恭伸代表取締役CEOに突撃!!
【④Digikaのビジョン!そろタッチが切り拓く未来】にて、またお会いしましょう😁
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