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【企業分析】4478フリー(freee)/2022/6期の減損損失90億円と中長期経営計画
※ 本内容は2022/8/15時点の記事をWordPressからnoteに移行したものです
クラウド会計ソフト大手のフリーが2022/6期本決算にて90億円の減損損失と中期経営計画を発表しました。
巨額の減損損失の計上もそうですが、2025年6月期に調整後営業利益がようやく黒字化する(それまでは赤字)というなかなか衝撃的な内容です。減損損失に関してはここ2年で取得した子会社ののれんや無形資産に対するものですが、子会社株式を取得して即減損するというちょっと違和感のあるものでした。
2022年8月12日 中⻑期経営戦略の公表及びそれに基づく特別損失の計上について
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減損損失90億円の内訳
減損損失90億円の内訳は前期取得のサイトビジット社ののれん及び無形資産(顧客関連資産)が約40億円、当期取得のMikatsu社ののれん及び無形資産(顧客関連資産)が約35億円、その他はフリー本体のソフトウェア等の固定資産です。
有形固定資産と無形固定資産はキレイにゼロになっています。この状況だと、今後も固定資産を取得した都度減損していくでしょう。
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Mikatsu社については、取得時即減損となっています
Mikatsu社は2022年6月に取得し、そのタイミングで全額の減損損失を計上しています。これって、取得する資産に価値がある正当化する一方で、自分で資産の価値がないと言って減損する、ここに矛盾はないのでしょうか。
おそらく答えは、資産価値を算定する範囲の違いに起因するもので、Mikatsu社単独ではfreeeとの統合効果もあって資産としての価値はあるとしつつ、freee全体では(減損判定でのグルーピングはfreee全体のプラットフォーム事業)今後もっと赤字を掘るので減損しますということでしょう。
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理屈はなんとなくそうなんだろうと思いつつ、なんだか釈然としません。もし、Mikatsu社の会計処理と整合性をとるならば、Mikatsu社がなかったと仮定した場合の事業計画は今回開示の中長期経営計画よりももっと大幅な累計赤字(Mikatsu社単独なら累計黒字)ということでしょうか。
事業の将来性と減損テストでの事業計画について
freee全体の減損テストにおいて、将来キャッシュフローの見積もりを行いますが、その前提となった中長期経営計画にて2025/6までの3期は営業赤字だとしてもその後は黒字化する計画を前提にすれば、長期のキャッシュフロー計画では累計黒字となるはずです。しかし、固定資産全額の減損ということは将来キャッシュフローがゼロを意味しますので、その計画自体が減損テストで否認されているということです。実際の事業計画と会計上利用する事業計画は違うんだ!という説明(フリー社がそう説明しているわけではないですが、経理屋の私はなんとなくそうなのだろうと想像します)を信じて、同社に投資するというのはあまりにも不確実性が高いように思います。