【企業分析】4832JFEシステムズ/CMS預け金は今後もたまる
※ 本内容は2022/9/2時点の記事をWordPressからnoteに移行したものです
JFEシステムズは鉄鋼大手JFE HDの上場子会社です。業績は好調ですが、好調がゆえに稼いだCashの使い道がなく親会社グループCMSにて資金を吸い上げられます。このCMSの親会社預け金が総資産の1/3を占めるという異常事態です。当然ながらこのCMS預け金の利息はほぼゼロで資本コストを下回る資産運用先です。コーポレートガバナンス・コードに中指を立てるこの状況は解消するのでしょうか。
親会社の視点から考えて親子上場解消の可能性は低い
JFE HDにとって、JFEシステムズはグループの情シス部門の役割も果たしています。親子上場というのがコーポレートガバナンスの観点で世の中から批判されるとはいえ、この関係を解消する可能性は低いように思います。理由としては、JFEシステムズは(JFEグループとして)事業子会社ではないので100%子会社化するメリットは少ない(連携強化や意思決定迅速化など)、かといってグループの重要な機能を果たすので売却する選択肢もない。このまま今の関係をゆるゆると継続するのがベターなように思います。ただ、JFEシステムズにもっとグループ内の仕事のボリュームを増やしてほしいからという理由で100%子会社にする可能性はなきにしもあらず。ただ、株式取得のCashアウトを伴ってもするかな?とは思います。
あと、JFEシステムズのCMS預け金に関しては、親会社としてもこれがベスト。JFEシステムズに配当させても親会社に資金還流できますが、一部が少数株主に資金流出してしまいます。親会社として配当増やせとも言わないでしょう。このままでCMSで吸い上げた全額の資金を自分で自由に使えるのですから。少数株主を軽視していると批判されようが、子会社JFEシステムズとともにスタンダード市場の上場維持基準を満たしつつゆるく上場させ続けるのがいいように思っているのではないでしょうか。
JFEシステムズの業績好調は継続するか
JFEに限りませんが、巨大企業グループはどこもDX含めるIT投資を加速させています。特に巨大製造業は生産・販売・調達・経営管理・人事などの既存システムが複雑化し、グループ内のシステム運用保守を担う機能子会社は人員リソースのパンパンまで仕事を抱えデリバリーに必死です。システム開発の全部が全部社内で行うわけではありませんが外部ベンダーのITシステム導入という意思決定をした場合でも、既存システムとの連携やネットワークなどの基盤周りは自社システム子会社が担うケースが多いと思います。こんなことを考えるていると、JFEシステムズの売上の4割強がグループ向けという現状、同社の業績好調は当面続くでしょう。となると、さらにCashは積み上がっていきますな。
おわりに
基本的にはいい会社で、今後も堅調に成長しそうです。親子上場解消や多額のCMS解消というイベントの可能性は低いものの、成長目的で保有するにはいいように思いました(PERは切り上がっていかないまでもEPSが切り上がり株価も上がる。これまでのきれいな月足チャートのように)。
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