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【企業分析】9735セコム/セコム上信越TOB 親子上場解消へ

※ 本内容は2021/5/28時点の記事をWordPressからnoteに移行したものです

今日一番ショックだったニュースがこちらです。

2021/5/28 当社親会社であるセコム株式会社による当社株式に対する公開買付けに係る賛同の意見表明及び応募推奨に関するお知らせ

セコム上信越は親子上場解消によるプレミアム狙いで、1年弱ウォッチリストに入れたまま、様子を伺っていましたが、ついに本日親会社のセコムによるTOBが発表されました。

本日の株価終値3,820円に対してTOB価格は6,350円と、プレミアムは66%とTOB時の平均と言われる30%を大きく超えるものとなりました。

私は結果的に買ってなかったのですが、それにはそれなりに理由がありました。以下は恨み節というか、ただただ悔しいだけなのですが、以前、私がこの銘柄について考えてたことを残しておきます。もう株式市場から消えていくだけの銘柄ですけどね、、、


セコム上信越への投資を検討した理由と、買わなかった理由

投資を検討してた理由はただ1つ、親子上場解消狙いです。
親会社と少数株主の利益相反、ガバナンスへの配慮など、親子上場解消は昨今のトレンドです。そして親会社がTOBを仕掛けるとき、TOB価格には30%程度のプレミアムが付されることが期待されるからです。

セコム上信越という会社の業績は全く成長していないのですが、びっくりするくらい安定しています。毎期必ず営業利益で45億円を稼いでくれる会社でした。ですので、理論株価を計算しやすく、私はだいたい5,500~6,000円程度と見積もっていました。計算式に起こすと以下の表のとおりです。

もしTOBとなれば5,500円~6,000円くらいにはなるだろう、ただし、TOBが起きなければずっと塩漬けになる。何年先になるかもわからず、持ち続けたあげく、5,000円くらいのTOBになったらリターンとしては満足できないなと思ってました。

そして何より、セコム上信越には地元の創業一族が大株主かつ経営者として残っています。ここがうんと言わなければ何年も持ち続けることになる、、、というのが結果的に買わなかった理由です。

セコムにはあと2社優良な上場子会社があります

実はセコムには優良な上場子会社が2社存在します。(6744)能美防災と(9232)パスコです((9686)東洋テックもセコムの上場子会社ですが、業績的には2社に劣るので除外)。

実は私はパスコの方が狙い目かと思っており(同社の株価、かなり安いです)、それがセコム上信越を買っていない理由でもありました。ちなみに、パスコも無保有です。

パスコを買わない理由としては、パスコは(能美防災も)親会社であるセコムの非中核事業でだからです。
パスコはセコムの「地理空間情報サービス事業」セグメントに属していますが、セコム本業の「セキュリティサービス事業」に比べると規模が小さいです。

ちなみに、今回のセコム上信越はセキュリティサービス事業に属し、当該事業の地域子会社の位置づけでした。ですので、完全子会社化することでのシナジー発現や合理化等のメリットは享受しやすそうです。

一方でパスコはセコムの非中核事業であり、セコムは非中核事業に資金をかけて完全子会社化までするか?というところには疑念があります。セコムにとって事業売却という選択肢・可能性もありますね(パスコ側からしても流動株を増やす効果もあります)。

あと、パスコがTOBによって完全子会社化されることに理由を与えるとするならば、セコムが巨大なだけに、セコムにとって完全子会社する資金負担がそれほど大きくないということがあげられます(逆に完全子会社しても業績へのインパクトが小さいので、そこまでしてTOBするか?ということもあります。メリデメそれそれありますね)。

おわりに

親子上場解消の流れはますます加速しそうです。これは来年の東証再編を見据えた動きでもあります。流動性の低い上場子会社にとっては死活問題です。

一方で、昨年コロナで株価は一時的に大きく下がりましたが、その時の株価水準と比べてプレミアムを付し、結果的に今の株価と変わらない水準でTOBをする例も出てきました。
そのため、親子上場解消を狙った投資(投機ですね)にはあまりうまみを感じなくなってきたということもあります。

それにしても、今日のセコム上信越のTOB発表は悔しかったです、、、


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