見出し画像

イオンフィナンシャルサービス/イオンのグローバル展開のキープレーヤー?

先日親子上場の解消を狙う投資法について書きました。その中で気になったイオンフィナンシャルサービス(以下、イオンFS)を分析してみました。

イオンFSはイオングループ(以下、単にイオン、イオン本体)の金融事業を担当する上場子会社で、親会社イオンが約50%の株式を保有しています。
上の記事では、イオンの再編の中でTOBされるのではないかということを書きました。

イオンFSの事業内容

みなさんイオンで買い物しますか?イオンカードを持っていますか?
そうです、そのイオンカードの運営をしているのがイオンFSです。ただし、イオン本体と同様に大半を日本国内に依存していると思っていたら、金融事業に関しては、かなりグローバル化が進んでいるようです。以下はイオンFSの統合報告書2020と有価証券報告書(セグメント情報)からの抜粋です。

イオン4

イオン5

まだ利益の半数以上は国内で稼いでいる状況ではありますが、利益における海外の比率はかなり高く、今後の成長も海外に依存していることは間違いなさそうです(ここ数年、国際事業の会員数の伸びが顕著)。

イオン8

なお、注目は、中華圏・メコン圏・マレー圏のそれぞれの金融事業を統括する会社が各国の株式市場で上場しているという点です。各社50~60%程度をイオンFSが保有する、こちらも親子上場の関係となっています。各国で金融事業を展開するにあたって、信用や知名度という面からも上場した方がよいということなのだと思います(であれば当面は上場させておく??)。

NTTとNTTドコモのケースのように、イオン本体が子会社の非支配株主の利益も親会社所有者の利益として取り込むために残り株式を取得するとなると、イオンFSの株式取得だけではなく、香港・タイ・マレーシアでそれぞれ上場する子会社の株も買い占めないといけないということになります(3社の時価総額は調べれてませんが。。)。

イオン6

イオングループでの位置づけ

今度はイオン本体の有価証券報告書からイオンFSを見ていきましょう。

イオン1

イオン2

イオン全体の中での総合金融事業(イオンFS)の占める割合はかなり高く、イオンの稼ぎ頭という位置づけです。両社のPLも簡単にまとめてみました。

イオン7

利益の大半をイオンFSが占めるという点は上のセグメント情報からもわかるので蛇足なエクセルでのまとめPLだったようにも思います。
それにしてもイオンのPL面白い、親会社帰属利益より非支配株主帰属利益の方が大きいとはwww
イオンFS以外にも多数の上場子会社を抱え、それら子会社利益が少数株主に持っていかれたあげく、イオン100%で運営する事業に赤字を抱えているとこういうPLになります。。

事業運営、戦略的なところは、次のセクションで見ていきます。

イオングループの組織構造(事業別vs地域別)

以下はイオンの統合レポート2019からの抜粋です。イオンは小売、ディベロッパー、金融、サービスの4つの事業ポートフォリオを有していることが企業の特徴で、グローバル展開にあたってはこの4つの事業が一体となって展開するショッピングセンターモデルを軌道に乗せ、グローバル展開を加速させていくとCFOが語ります。

イオン3

一方で、イオンは事業ごとに上場子会社を置き、当該上場子会社が傘下の子会社を統括しながら事業運営を行います。イオンFSも金融事業を統括し、傘下には各国の金融事業会社を有します。

イオンの4つの事業間のつながりを強め、一体となって事業運営を行っていくためには事業ごとに統括会社(しかも上場会社)を置くストラクチャーはあまりうまいやり方ではないのではないかと感じました。事業という切り口よりも、地域という切り口で、地域統括会社を置き、その傘下に各国事業会社をぶら下げる方が、イオンが目指す4つの事業のシナジーは生まれるように素人ながら感じます。国によって顧客の特性や商慣行も異なるため、各国の現状にあった事業展開を行う必要もあります。また、イオンFSも上場会社ですから、イオン全体としての最適行動をとれるとは思いません。

ただ、これだけ大きくなってしまったグループで大掛かりな組織再編に手をつけるのは並大抵のことではないでしょう。イオンFSだけならまだしも影響する上場子会社が多すぎるため、親子上場解消投資法の対象としては、その実現可能性は低そうです。

おわりに

イオンFSを掘り下げていくつもりが、イオンの組織構造が気になりはじめ、話がどんどんそれていってしまいました。。

イオングループでは金融事業がグローバル化の先端に立ち、金融を起点に「アジアで成長していくイオン」が見えましたが、イオンの組織構造の根は深そうです(イオンのPLにもそれが如実に表れていた)。

PS
私はAmazon経済圏で生きており、イオン系列の店舗が近所にないので、イオンカードは持っていません。ただ、知り合いにイオンのヘビーユーザーがいるのですが、イオンカードを作り、イオンの株主優待まで持っています。イオンの店舗でイオンカードを使うと1%還元(その他の店舗だと0.5%還元なので正直低い)、20日30日の感謝デーだと5%還元になります。さらに株主優待を持っていると最大7%の還元もあり、感謝デーに限り10%の還元率を超えます。食料品や日用品のすべてをイオンで買い物する人にとっては、かなりお得ですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?