令和2年4月16日_参議院法務委員会
令和2年4月7日の参議院法務委員会に続き、今回も嘉田由紀子議員の質疑が素晴らしかったのでnoteに残しておきます。
4月7日の記事はこちら
嘉田由紀子議員質疑
新型コロナウィルス問題、子どもたちが家庭で過ごす時間が増えております。特に120万戸を超える離婚後の片親、一人親家庭では民法上片親親権制度と言うところで、構造的に孤立を余儀なくされております。仕事と子育ての両立にも困難が生まれ、経済的困窮に追い打ちがかけられていると、私の知り合いの母子家庭のお母さんたちからも訴えがございます。
まぁそういう中で、例えば明石市は児童扶養手当を受けている約2100世帯に対して月3万円、特に5月です。3万円上乗せ支給をすると言う事で、この支援をすると言う事で御座います。
この片親家庭の経済的困窮に関しましては養育費支払い問題が常に取り上げられております。4月10日の日経新聞ですが、あの本日もおられます、小野田紀美議員の発言の紹介が御座います。えー、養育費不払い是正急ぐと、一人親コロナ追い打ちと言う見出しの ヤマウチナオコ 記者の記事が掲載されております。資料1として配布させていただきます。この記事では国民民主党が提出予定と言う養育費支払い義務付けの法案の紹介もされております。与野党の垣根を超え支援をと言う ヤマウチ 記者の意見も御座います。子どもの可能性が家庭環境で壊されないと言う方向を国家としての大事な共通目標でも御座います。また、ここでは欧米、政府が積極介入して米国、英国、オーストラリア、スウェーデン、ドイツ、フランスでは養育費支払いについて、国家として支援していると事例が紹介されております。
また偶然にも同じ4月10日には法務省民事局が父母の離婚後の養育に関する海外法制調査結果が公表されました。待ちに待った報告書です。この調査にご尽力いただきました関係者の皆様に感謝申し上げます。その概要は本日資料2として提示させていただいております。この海外調査では24か国を対象としております。EUと日本を除いた全てのOECD(経済協力開発機構)諸国18か国、日本と関わりの深いオランダ、スイス、スウェーデン、スペイン、タイ、フィリピンの6か国を加えた24カ国です。これだけの多様な国を同じ項目で比較対象とした調査は前例がなく関係者のご尽力に感謝いたします。ここでの調査項目は5点です。先ず1点目ですが、離婚後の親権行使の対応と父母が共同で親権を行使することを、許容する制度が採用されている場合の親権の内容。父母のの意見が対立した時の調整方法。2点目ですが、裁判所が関与しない協議離婚制度の有無。3点目は離婚時の取り決め内容、特に面会交流や養育費支払い方法。4点目は公的機関による面会交流支援の有無とその内容、そして5点目が離婚後の監視親の転居制限の有無内容で御座います。
そこでまず法務大臣にお伺いいたします。日経新聞が養育費支払いに政府が積極関与していると紹介している6カ国は今回の24カ国調査に幸い含まれております。その調査結果に基づき、この日経新聞の取り上げている6カ国では日本の民法819条で言うように離婚後は父か母のどちらか一方を親権者と定めなければならないと言うような単独親権の法的規定がある国は御座いますか?勿論親権と言う概念は国による内容の違いは大前提としまして、これら6カ国は今回の調査では、父も母も同時に監護者や親権者になれる、所謂共同養育あるいは共同親権の国と考えて良いかと思いますがいかがでしょうか?ご答弁簡潔にお願い致します。
森法務大
ご指摘のですね、海外法制調査の結果によればご指摘の6カ国については、いずれも父母の離婚後にもその双方が親権を行使する事も可能とする制度が採用されていると認識をしております。もっとも制度の詳細を見ますと、イギリスでは父母の離婚後は父母の双方が親権を持つが原則として、それぞれが単独で親権を行使する事とされているなど、必ずしも父母が共同して親権を行使する事とされている訳ではないものと理解しております。
嘉田由紀子議員
ありがとうございます。何れにしろこれら6カ国は家族婚法的には共同養育、共同親権が可能となると、選択肢として、或いは義務としてと言う事でございます。当然離婚後も父母共に共同養育の義務があると言う国であるならば、日常的に監護していない親が養育費を支払う事への抵抗感は少ないのではないかと思います。ではこれら6カ国で養育費の支払いを法的に義務化している国は何カ国ございますか?事務方の答弁お願い致します。
小出民事局長
お応え申しあげます。あの、海外法制調査の結果によりますとご指摘の6カ国のうち、オーストラリアでは両親は離婚時に養育費を含め子の養育、福利及び成長について合意しなければならないとされておりまして、養育費の取り決めが法的義務になっているものと承知しております。他方でそれ以外の5カ国につきましては離婚時に夫婦間で養育費の取り決めをする事が法的義務とされていないものと承知しております。
嘉田由紀子議員
ありがとうございます。法的義務はオーストラリアだけで、他の5カ国は法的義務はないと言う事で御座いますけれども、養育費の支払いの進める工夫と言うのはあると思いますが、その具体的工夫も含めて教えていただけますか?
小出民事局長
お答え申し上げます。あの先程申し上げました通り、オーストラリア以外の5カ国では、離婚時に養育費の取り決めをすることが法的義務とはされておりませんが、今回の調査結果によりますと、それらの国々でも各国の事情に応じ、養育費の支払いを促進する方策がこうじられていると承知しております。先ず離婚時における養育費の取り決めに関しましては、例えばイギリスでは養育費算定のための計算式が広く提供されていまして、ドイツでは行政機関が関係者間の合意形成等を支援する仕組みが設けられております。また取り決められた養育費の履行確保として、例えばスウェーデンでは義務者が養育費を支払らわない場合には国がまず、権利者に対して保護費を支払って、その後に義務者から保護費に相当する金額を求償する制度が採用されています。またアメリカのワシントンDCでは行政機関が権利者に代理して養育費債権の回収を行うといった制度が採用されていると承知しております。
嘉田由紀子議員
ご丁寧にありがとうございます。これら6カ国では、それでは面会交流はどのように表現されているでしょうか?日本語の語感で言う面会交流と言う表現、いささか限定的でして、常々私申し上げておりますけれども、何かいわば、犯罪容疑者に窓口で面会すると言うイメージに狭められている事が残念で御座います。共同養育、共同親権を理念とする国では、たとえ夫と妻が離婚しても父子、母子の関係、更にはその背景にある祖父母との関係は切れるものではない、共に繋げていこうと言う前向きの意欲と意思が離婚後の親子交流に籠められていると思われます。面会交流をめぐる表現について、この調査でわかったところ、言葉の表現も含めて法務大臣お願い出来ますか?
森法務大
はい、今回の調査では面会交流に関する離婚時…面会交流に対する…面会交流と言う言葉の用語の調査と言うのは特に行ってはいないんですけれども、調査により、判明した国もあるのでご紹介を致しますと、オーストラリアでは子と共に時間を過ごすspend time withと言う概念により離婚後の親と子の交流が規定されております。フランスでは訪問権との用語で表現されております。イギリスではコンタクトと表現されます。など国によって様々な表現が用いられております。
嘉田由紀子議員
ありがとうございます。この国の、法務大臣お答えいただきましたけど、それにプラスして私あの、カナダ(ブリティッシュコロンビア州) のPAS、Parenting After Separation と言う表現、これも大変わかりやすいと思います。またアメリカでは Parenting Time。常々申し上げておりますけれども、単にある時、時間を限っての面会ではなくて、Parenting いわば日常生活も含めてですね、親である事、その基で親子が交流するという ing が大変大事だろうと思っております。勿論虐待やあるいはDVの問題など御座いますから、ここにはそれなりの制限があると思いますが、この表現も大変大事であろうと思います。今回の24カ国の運用状況大変よくわかり、調査に感謝申し上げます。またこの6カ国の中で面会交流が義務化されている国はありますか?法的義務とはされていないが、公的機関が面会交流の支援をしている国がありますか?具体的にお教えいただけますでしょうか、法務大臣お願い致します。
森法務大
今回の調査結果によれば、ご指摘の6カ国のうち、離婚時に面会交流の取り決めをする事が法的義務とされているのはオーストラリアのみであり、それ以外の5カ国では面会交流の取り決めが法的義務とはされていないものであると承知をしております。もっともこれら5カ国でも面会交流が適切に行われるよう公的機関による様々な支援策が講じられております。例えばアメリカのワシントンDCでは子の監護に関する裁判所の手続きにおいて、全ての親が子育てに関するク ラス(Parenting Class)を受講しなければならない事とされておりまして、ドイツやスウェーデンでは行政機関による面会交流の取り決め支援が行われております。イギリスでは面会交流を実施する際の専門家による調整や監督と言った支援が行われております。
嘉田由紀子議員
ありがとうございます。それぞれ、事情に応じての支援、面会交流が大事だと言う基本的な理念に基づいた運用がなされているんだろうと解釈できます。今回の調査24カ国の中で日本のように単独親権、それが義務化されていると法的に、そういう国は何カ国あったでしょうか?逆に共同養育、共同親権とっている国、何カ国でしょうか?法務大臣にお願いします。
森法務大
法務省が実施した今回の調査結果によれば、調査対象国24カ国中、インド及びトルコでは父母の離婚後には父母のいずれかによる単独での親権行使のみが認められておりました。また英国及び南アフリカ共和国では、父母の離婚後は父母の双方が親権を持つが、原則としてそれぞれが単独で行使すると言う制度が採用されておりました。他方でこれらを除く20カ国では、父母の離婚後に父母が共同して親権を行使するを可能とする制度が採用されていたと認識をしております。もっとも、例えばメキシコでは父母の離婚後に父母の双方が共同で行使することとされているのは財産管理権のみであり、監護権については父母の一方が行使するとされているなど、離婚後共同親権制度が採用されている国に於いても、その具体的な内容は必ずしも一様ではなかったものと理解しております。
嘉田由紀子議員
ありがとうございます。新聞の日経新聞4月11日は共同親権導入22カ国、単独親権のみはインドとトルコだけと言う記事になっておりますけれども、今の法務大臣の表現ですと、20カ国がと言う事ですね。その、あの2カ国のズレと言うのはイギリスと南アフリカなんですけれども、私、あの知り合いもいながら調べておりますと、イギリスや南アフリカこれは日本のような単独親権では御座いません。日本は単独親権が義務化されていると言う事で、共同親権導入しているのは22カ国と言う方が、この調査結果の表現としては正しいと、私は思っております。もし異論があったらお願いしたいと思います。
さぁこのように、今回トルコとインドがある意味で日本と同じ単独親権のみと言う事で、これは今、本当に社会状況が変わっている中で、日本は大変出遅れていると言う事を申し上げ、そして次回以降はこの調査結果に基づきまして、協議離婚なり、或いは共同養育計画をどう作るかというところに絞らせていただきたいと思います。
以上です、ありがとうございました。
この記事が参加している募集
サポートは別居や離婚を経験した子どもの支援に活用させていただきます。宜しくお願い致します。