2020/3/8 市民からの請願書

これも批判を受ける内容かもれません。

今議会で提出された議案の中に、市民からの請願書の審議がありました。請願内容は「本人の同意のない防衛省への名簿提供を行わないこと。」かなり重い内容の請願。

防衛省は、自衛官の募集(案内の送付)のため、毎年全国の自治体の住民基本台帳を閲覧し、18歳から22歳までの方の名簿を書き写していました。さらに数年前より防衛省は各自治体に対し、住民基本台帳の名簿を提供するよう求めていました。全国の自治体で名簿提供を行っているのは36%、閲覧のみは53%。気仙沼市も数年前から名簿提供を行っており、平成29年2月にその事実を公表、全国同様かなり波紋を呼びました。

今回の請願に関しては、請願者と相談のうえ、請願者から許可を得て名簿提供が個人情報保護法に違反しているか否かという点に絞り審議を行うことになり、自衛隊の在り方の是非とは切り分けた審議となりました。可能な限り調べたのですが、自分の実力では現状をひっくり返すだけの明確な根拠を見つけることができませんでした。ただし代わりに、提供を希望しない市民を名簿から除名するという方法にたどり着きました。
請願の審議において第3の提案というものができればよいのですが、そのような選択肢がないため請願には不採択とせざるをえなかったのですが、名簿を提供するというのであれば除名申請の仕組みをとるべきだと思います。そしてその結果、除名を希望する若者があまりにも多ければ、それは名簿提供の在り方を考え直す必要があると考えます。つまり若い世代に考え決めてもらった方がいいと思います。 

今回、自衛隊の在り方に関してのイデオロギー的な議論だけでは、物事は動かないと判断しました。この請願内容で不採択することに賛成討論するのは、批判の的となることでしたが自分としては物事が少しでも動く方向性を示したく、委員会内での意見だけでなく議場でそのことを述べさせてもらいました。

請願に不採択の賛成21人(自民、公明、その他)、不採択に反対3人(共産、社民)
賛成多数で不採択となりました。

以下、本議会で自分が討論した内容になります。
 今回請願者の意見陳述を通し、請願者の意図する個人情報保護の観点から審議を行いました。関係法令等は 住民基本台帳法、自衛隊法、自衛隊法施行令、個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、気仙沼市個人情報保護条例です。
・住民基本台帳法では、台帳の閲覧は許可されている。
・自衛隊法の97条では市町村長が自衛官候補生の募集に関する事務の一部を行うことが出きるとしています。
・自衛隊法施行令120条では防衛大臣が募集に関して市長村長に対して、必要な報告又は資料の提出を求めることができるとしている。これが受託事務にあたる。
・気仙沼市個人情報保護条例 第8条、目的外利用・外部提供に関する項目で、事務に必要な限度で利用し、かつ、使用する相当な理由があると認められるとき、国等に提供できるとしている。
受託事務であるから義務ではありません。その裁量は市町村にあります。
「相当な理由」の「相当」を法律用語で「合理的な」、や「妥当な」と解釈します。
現在、報道等により全国の自治体で名簿提供は36%、閲覧のみは53%と伺っています。名簿提供している自治体と閲覧のみにしている自治体では、それぞれ法令等の解釈が異なります。自治体ごとの首長や法制主幹の見解が異なるのだと思います。法の解釈に幅があるため、また、個人情報保護法第1条(目的)では、個人情報の活用や有用性を配慮したうえでの保護、つまり活用と保護の両面を謳っていることから、名簿提供は個人情報保護の観点からは、はっきりと法令に違反しているとまでは言い切れないと考えます。
ただし、個人情報保護法 第三条(基本理念)では、個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。と謳っています。
市民には名簿提供をしてほしくないという方々も多くいます。基本理念に乗っ取れば、そのような方々の気持ちや考えに対する配慮が必要だと考える。他の町の事例をみると、山口市や福岡市は名簿を提供しているが、名簿提供を希望しない市民の除名の申請もしっかりと告知して受け付けている。名簿提供を行うのであれば、そのような対応が必要だと思います。
また、名簿の提供を判断する際、個人情報保護審査会にかけて判断している自治体も多く、本市では審議会に諮っておらず、他の自治体で解釈が大きく分かれるということは、本来審議会に諮るべきだったと思われます。今後同様の個人情報を扱う案件は、本市でも審議会に諮る手続きが必要であると考えられます。
以上の点から、私は本人同意をとらずとも市民が選択する機会をつくり出せる可能性があると判断し、請願第一号に対し反対致します。

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